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十年前の話である。 行きつけのバーで働いていた新井さんが独立して自分のお店を構えた。 ホステスとして十年間溜めたお金を元手に、とあるビルのワンスペースを賃貸してバーを開いた。こぢんまりとしたお店だが、良い雰囲気だという噂は耳にしていたが、なかなか飲みには行けないでいた。 その年の冬、会社の忘年会が終わった後、ふとその事を思い出した。 久しぶりに顔を見せようと思い、曖昧な記憶を頼りにやっとお店を見つけ出した時には午前零時を過ぎていた。 「久しぶり」とドアを開けるとカウンターの向こう、薄暗いライトの下に新井さんはいた。 「いらっしゃい」と元気の無い返事を返してきた。 店内は誰一人、お客さんはいない。噂ではそこそこ流行っているように聞いていたのだが… とりあえずビールを注文し、新井さんと乾杯をした。 新井さんは以前に比べると痩せこけており、顔色も悪そうに思えた。 「今日は暇なの?」と尋ねると一ヶ月前頃から開店休業状態が続いているという。 体調も良くないが、家賃の支払いもある為、休む事も出来ない状態だという。 確かに年末にお客さんがこれ程まで来ないというのは問題だろう。しかし、馴染みのお客さんもいるだろうにここまで暇になるものだろうか?などと考えていると「実はね…」とゆっくりと話し始めた。 開店日、前のお店のお客さんやホステス仲間も駆けつけてくれ、座る場所が無いくらいに繁盛した。それから半年は忙しい日々を送っていたという。余りにも目の回る忙しさに、お客さんからもパートナーをつけたほうがいいとアドバイスされ始めた。 実際、新井さんもその事は考え始めていた。 数日後、求人情報誌に広告を載せ、応募してきたのが沙耶さんだった。 沙耶さんは二十歳で、明るく可愛らしい子だったという。 勤務開始から数日後のこと、店内には新井さんと沙耶さんの二人しかいなかった。 すると突然、沙耶さんが壁に向かって「出て行きなさいよ!」と怒鳴ったという。 どうしたのか問い掛けると沙耶さんは「幽霊を祓ってるんです」と得意そうに言い放った。 訳の分からない展開についていけない新井さんは「ありがとう」とだけ言い、その系統の話には触れないか、あしらう事にした。 ところがその日から沙耶さんはお客さんにも、やたらとそういう話をし始めた。 何度か注意したが一向に治まらない。お客さんからの苦情もあり、沙耶さんにはお店を辞めてもらう事となった。 「最後にあの子が言ったの、あたしがいなくなったらこのお店は幽霊だらけになる。その時に後悔しても遅いんだからって」 そしてその言葉は現実になった。 カラオケの機材の故障が頻繁に起こる。 グラスが縦にきれいに割れる。 厨房に見知らぬ男の人がいる。 お客さんの間でも肩を掴まれた、壁から女の顔が出てきたなどという話が挙がってきた。 「飲みすぎですよ」とあしらいながらも陰ではお祓いを数回してもらったらしい。 ただ、効果は無かった。 お客さんの数は次第に減っていき、この現状となったという。 お店を移すのも辞めるのにもお金がかかる為、とても悩んでいる。 怖さを感じるが、夢にまで見た自分のお店だったからと堪える日々を過ごしていた。 「どう、やっぱりいる?」新井さんは真剣な表情だった。 店内はどことなく暗い感じはするが、これといったものは特に見えなかった。 どうしてあげたらいいのか考えていると、適任者が一人頭に浮かんだ。 携帯から連絡を取る。 三十分後、店のドアが開くと飲み友達の福田君が立っていた。 とりあえず呼びつけたお詫びとしてビールを振舞い、事情を説明した。 一通り話を聞いた福田君は店内をくるりと見回し「ああ、これだ」と壁に飾られた額縁の裏から一枚、対角にあるカウンター端の裏側から一枚、小さな御札を見つけ出した。 新井さんが怯えている中、福田君は淡々と話し始める。 「その沙耶って奴の仕業。簡単な呪術で札と札の間に道を作るの。そこから出てくるわけ。 多分、注目を浴びたい性格じゃないかな。それでこんなものを仕込んだ。パフォーマンスをした後に札を取れば完成。これで霊能力者誕生って皆から認められる段取りだ」 満足そうにゴクゴクとビールを飲み干す。 「あ、ちなみに最後に札を取って行かなかったのはクビへの腹いせ。まあ、こんな事をしでかすんだから今頃、ろくな人生歩んでないだろうけど」 新井さんは福田君に何度もお礼を言い、福田君は顔を真っ赤にして照れていた。 その後、新井さんのお店は徐々に賑わいを取り戻し、五年前の結婚と同時に閉店された。 友人のホステス間の噂では、沙耶さんは界隈のお店で働いていたが、原因不明の病気にかかり里帰りをしたらしい。 この件で自分の使命感に目覚めた福田君はその道に進む為に、修行に行って来ると言ったきり、音沙汰が無い。
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■講評
福田君もそくな事にならなかった、って事でしょうか? 福田く〜ん(つT)!! そんなお札の事を知っている一般人、 普通に居て欲しくないですが。 ま、そういう本は出回ってるからか…。 もう少し、ゆったり話を進めても良かったような。
文章1 福田君に1 |
名前: ほおづき ¦ 09:48, Saturday, Feb 07, 2009 ×
怪奇2 文章1 心霊現象と思いきや、呪術とは!? 吃驚の展開ですね。 昔にもいましたよね自称霊感少女とか。注目を浴びるためにそんな姑息な事をするとは許せないですね。怖いのはやはり人間の念でしょうか。福田君のその後が気になります。 |
名前: じゅりんだ ¦ 10:32, Saturday, Feb 07, 2009 ×
まるで出来の悪いテレビ東京あたりの深夜番組みたい。やめた女の子の行方まで、どうやって調査したか、その記載がありませんね。1点減点。 それと冒頭の開店したという記載がくどすぎ。描写が大事だって思っていますが書けばいいってもんじゃない。3点減点。
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名前: くすだまん ¦ 11:34, Saturday, Feb 07, 2009 ×
文章 1 怪異 1 怖さ 1 衝撃 1
超自然のモノよりも人間のいやらしさの方に嫌悪感を覚える。 「沙耶」さんは自業自得にしても、よくある霊感少女のなれの果てか。 「どうしてあげたらいいのか考えていると、適任者が一人頭に浮かんだ。」というのは出来すぎのようにも思えたが、怪談ハンターをしているとそちら方面での知り合いも出来てくるのだろう。 「福田」君がバージョンアップして戻ってくるのを期待している。 |
名前: くりちゃん ¦ 15:41, Saturday, Feb 07, 2009 ×
福田君についてにの記述がもう少しあっても良かったのかなと・・・ 何故 彼が適任者だったのかの説明も欲しかったです。 |
名前: SPダイスケ ¦ 16:50, Saturday, Feb 07, 2009 ×
文章0 怪異+2 恐怖0 そのお札もかなり凄いもののように思える。 福田君がちゃんと修行にいったのであればよいのだが…。 |
名前: スロトレ兄さん ¦ 16:52, Saturday, Feb 07, 2009 ×
恐ろしいのはまさしく人間の歪んだ心ということですね。沙耶という女が怪しいと思いつつ読んでいましたが、きれいに(思った通りに)決着できてこちらも晴れやかです。実話怪談で晴れやかというのもなんですが・・・
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名前: ひ ¦ 17:20, Saturday, Feb 07, 2009 ×
うーん。 やはりこの世で一番怖いのは、幽霊などではなくて生きている人間、というお話の典型というか。その意味でも怖い話ですね。 |
名前: ひぐらし ¦ 18:55, Saturday, Feb 07, 2009 ×
福田君の情報をもうちょっと欲しかったですね。 適任と思った理由とか…。 で、福田君は大丈夫なんでしょうかね…? そっちのが心配になりますね…。
文章:0 怪異:1
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名前: PM ¦ 22:17, Saturday, Feb 07, 2009 ×
何より生きてる人間の悪意が怖いですね。 全体的にもう少し文章を削ったほうが読みやすくなると思います。
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名前: ゑな ¦ 23:59, Saturday, Feb 07, 2009 ×
人が怖いという考え方には強く共感できます。水商売の世界は足の引っ張り合いという面もあるでしょうし、様々な過去を持つ人が多く集うところですから、こういう話は探せば沢山あるのでしょうね。 文章・0 構成・1 ネタ・1 恐怖・0 |
名前: 暗沌子 ¦ 11:20, Monday, Feb 09, 2009 ×
個人的にこういう話は大好きなので面白かったです。 適任者がすぐにみつかり、あっさり解決したのがうまく行き過ぎているように感じましたが、福田君と知り合いでよかったですねぇ。 こういう妨害に気づかず、潰れる店もあるのかもしれませんから・・・・ |
名前: 黒蜜椿 ¦ 14:40, Tuesday, Feb 10, 2009 ×
よくある「幽霊の出るお店」話なのかと思って いたら……実に意外な展開でした。 こういう、どこか滑稽な感じのものも悪くない。 |
名前: こたつ ¦ 15:54, Saturday, Feb 14, 2009 ×
あっさり見破る福田君、すごい! すごいけど! 沙耶さんがすごすぎる…何者?いや、単に札がすごいのか? 危ない人の手に危ないアイテムが加わるとこうなるんですね。 +3
福田君の「注目を浴びるため」という推測は正しいのかなあ。お客が来なくなったら自分が持て囃される機会もなくなるでしょう。沙耶さんが何をしたかったのかわかりませんね;
前半の文章がだらだらしていて、盛り上がってくる前に少しめげます。 -1 本題に入ってからはスムーズでした。 |
名前: 眠 ¦ 19:11, Sunday, Feb 15, 2009 ×
福田君、頑張って修行しているんでしょうね。 いいキャラクターです。
こういう呪術って誰でも使えるものなのでしょうか。 それとも沙耶さん自体能力があったのかしら。 怖いですね。 結局最後は自分のところに跳ね返ってきますから。
よくある酒場の風景ではありますが キャラクターがいいので楽しく読ませていただきました。
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名前: 桜子 ¦ 15:09, Tuesday, Feb 17, 2009 ×
話者は何でいきなり呪術に詳しい福田君を呼んだのでしょうか。 てっきり、心霊に詳しい人か「見える人」だと思ったのですが。 まあ、福田君は多分両方の素養があるのでしょうが。 終盤の展開は面白かったです。
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名前: キザラ ¦ 05:26, Tuesday, Feb 24, 2009 ×
| −4 あまり言いたいことつたわらないし、文章としてもまとまsりがない。 |
名前: ジャック ¦ 03:12, Sunday, Mar 01, 2009 ×
話は面白かったと思います。 ただ若干書き方で損をしている印象も受けました。 前半が長かったわりには福田君が登場してからがあっさりしすぎていたような。 登場シーンにももう少し描写が欲しかったです。 もしかしたら狙ってあっさり書いたのかもしれませんが、この話に関しては、福田君をもう少し目立たせてあげれば、さらにインパクトのあるものになったような気がします。 |
名前: へみ ¦ 06:25, Sunday, Mar 01, 2009 ×
福田君かっこ良かったです。 さらっとしていて、謙虚で、素敵です。 修行に行っているそうなのでピンチの時に現れたらまさしくヒーローですよね。 沙耶さんの感じの悪さが狙い通り書かれていると思います。 |
名前: わんぴー ¦ 13:33, Friday, Mar 06, 2009 ×
文章・・・-1 希少度・・・1
きっちりとあったことが解りやすく書かれてはおりますが、その文章が細かい部分でいちいち引っ掛かります。 リズム感が無かったり、同じ終わり方をする文章が続いたりと、それは全体に及んでおり、とても据わりが悪く感じられました。 実話怪談も読み物である以上、読みやすい文章を心掛けるべきだと考えておりますので、文章に関してはマイナスにさせてもらいました。
話の内容の方ですが、注目されたい、人に必要とされたいという願望が間違った方向に働いてしまう怖さを感じました。 やっぱ生きてる人の方が怖いんですよね。 |
名前: 鹿太郎 ¦ 23:08, Monday, Mar 09, 2009 ×
私もBARを経営していますので、他人事とは思えず楽しく読ませていただきました。特に「照れる福田くん」の描写とか、「使命感に目覚め〜音沙汰が無い」の含みあるラストとか、実話怪談としては不要なのかも知れませんが、純粋に読み物として楽しめました。
ただ一説によると、水商売のお店には一体二体は憑いていた方が良い、との話も聞きます。お客様を連れてきてくれるんだそうです。 |
名前: 魔音 ¦ 17:55, Friday, Mar 13, 2009 ×
| 新井さんの店に応募してきた沙耶さんは、ちょっとばかり霊能力があることをいいことに、壁にはられた額縁の裏とカウンター裏から1枚ずつ貼って、そこから霊道を作って、首への腹いせに札をとっいかなかったので、福田君の話のとおり病気になり、里帰りをしたが、当の本人もこの道に進むため修行にいったきり音沙汰ないところをみると係わってはいけない道なのだから。 |
名前: ジャック ¦ 01:00, Tuesday, Apr 07, 2009 ×
怪談の怖さよりも、人間の怖さが際立った作品ですね。悪意ってのは怖いです。福田君は何者なんでしょうか?彼のその後も非常に気になります。 一つ難を言うなら、出だしの文章が入りづらいと思いました。 |
名前: 星クラゲ ¦ 23:43, Sunday, Apr 12, 2009 ×
お札2枚で素人でもそんな効果が!? コミックになっていてもおかしくなさそうなお話ですね。 でも本当にお水の世界って、何故だか突拍子も無い霊現象が多いんですよね…。 |
名前: 緋咲 ¦ 14:51, Sunday, Apr 19, 2009 ×
| 前半が少しくどいです。その分いくらか福田君に回して欲しい。 |
名前: 悪夢狂乱丸 ¦ 17:59, Monday, Apr 27, 2009 ×
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