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嫌われ者
 真田さんはその年の秋に、店長としてとある100円ショップに配属された。
 元はスーパーだったというその100円ショップは2階建ての建物であり、1階は売り場とバックヤード、2階は倉庫や店長室、従業員の更衣室などになっていた。
 初出勤の朝、店に着くなり異変は起こった。
1階のバックヤードに入ると、2階からバタンバタンと大きな音がする。
真田さんは先に来ていた古参の男性従業員に尋ねた。
「2階うるさいな。何やってるの?」
「いえ、誰もいませんけど」
「え?じゃあ、あれ何?」
「店長、いきなり変なこと言うようですけど、ここ幽霊が出るんですよ」
 おかしなことを言う子だなと思いつつ、真田さんは確認のため2階に上がってみることにした。
「今は行かない方がいいと思いますけど」
 後ろでそう言う彼を尻目に真田さんは業務用エレベーターに乗り込んだ。
 2階に着き、エレベーターの扉がガシャガシャンと音を立てて開いた瞬間、真田さんの全身に悪寒が走った。音は止んでいる。2階は明るかった。秋とはいえまだ暑い。半袖一枚でも充分なくらいの気温なのだが、なぜか肌寒く感じる。
 エレベーターから出た真田さんはダンボールがうずたかく積まれた中を一歩一歩奥に進んだ。誰もいない。音もしない。しかし一歩進むたびに足といわず手といわず、全身に鳥肌が立つ。ダンボールの間を縫うようにして進み、トイレの横を抜けて休憩室まで来た。右側が店長室、左側が従業員の更衣室だ。ここまで来ると鳥肌どころか髪の毛の一本一本まで逆立つのが解るほどだ。怖い、というより気味が悪い。もうここまでで充分だ、戻ろう。そう思った時、1階から女性の悲鳴が聞こえた。
 慌てて1階に取って返すと、先ほどの従業員と後から来たのだろう別の女性従業員が真っ青な顔をして立ち尽くしていた。
「今・・・売り場の方に行きました・・・女です・・・」

 翌日からも毎日のように怪しい出来事は続いた。
例えばこうだ。
 朝、出勤してきた真田さんが2階に上がると、若い従業員が更衣室に向かって挨拶をしている。
真田さんが声を掛けると物凄く驚いて
「店長、今来たんですか?じゃあ更衣室にいたの、誰なんです?」
 真田さんが更衣室を確認しても誰もいなかった。

 またこんなこともあった。
真田さんが1階のバックヤードで作業をしていた時だ。
 2階で作業をしていた従業員が大きな音を立てて階段を駆け下りてきた。
「出ました!子供と・・・女が・・・」
 詳しく話を聞いてみると、彼が倉庫の整理をしていると、すぐ横をパタパタと音を立てて幼稚園ぐらいの男の子が走り抜けたという。
驚いて行く先を見ると通路の奥にいつの間にか髪の長い女が立っていてこちらを見ている。
それで逃げてきたというのだ。
「あのバタバタ走り回るような音は君じゃなかったのか?」
「僕は走ったりなんかしませんよ、そんな前から走る音してたんですか?」
「君が上に上がってしばらくしてからだから、5分以上はしてたなぁ」
 後で確認のために2階に上がったが、やはり誰もいなかった。

 このような出来事が毎日のように繰り返された。
そこで分かったことがいくつかある。
まずこの店に出る幽霊は30代くらいの女と幼稚園くらいの男の子だということ。
別々に出ることもあれば、一緒に出ることもある。
二人がボソボソと話しているのを見た従業員もいることから、どうやら親子らしい。
出るのは2階が多い。特に更衣室で気配を感じることが多く、そこが中心になっているのかもしれない。
従業員の中に一人、近所に住む女性がいるが、彼女によるとこの建物が建つ前は駐車場で、その前は田んぼだったのだそうだ。

そして何より奇妙なのは、真田さんだけはその親子の幽霊を見たことがないということだ。
音や気配、嫌な雰囲気は感じても、その親子は決して真田さんの前に姿を見せない。
真田さんが2階に上がると必ずといっていいほど1階で悲鳴が上がる。
慌てて1階に駆け下りると真っ青な顔をした従業員にこう言われるのだ。
「店長、2階に行かないで下さいよ。また下りて来たじゃないですかぁ」

 真田さんはもう辞めてしまったが、今でもその100円ショップは営業を続けている。



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■講評

文章 1
怪異 1
怖さ 0
衝撃 0

「真田」さんには退魔師の素質でもあるのだろうか。
彼だけには見えないというのは珍しい。また彼のいない階に現れるというのも興味深い。




名前: くりちゃん ¦ 16:00, Sunday, Feb 08, 2009 ×


てんこもりですね。
話をいくつかに分けた方がよかったのでは?

名前: ひぐらし ¦ 16:16, Sunday, Feb 08, 2009 ×


 ちょっと描写が多すぎて読みにくい気がするけど、減点するほどとは感じませんでした。
 しかし、その店長、よっぽど嫌われているんですね。

名前: くすだまん ¦ 17:30, Sunday, Feb 08, 2009 ×


まさかその真田店長が霊にではなく、従業員たちに嫌われて(煙たがられて)ということじゃないですよね? 真田店長が配属された時にさっそく「ここ、幽霊が出るんですよね」と脅かされているし。店長に倉庫がある2階に長くいてもらいたくない原因があるとか? と、なにやら犯罪チックな想像をしてしまうのも、真田さん自身が又聞きで、はっきりした怪異に遭遇してないからだと思いますので、これはちょっと講評しづらいです。すいません。

名前: ひ ¦ 19:05, Sunday, Feb 08, 2009 ×


一つ目の小さな怪異の書き込み量に対し、残りのものが妙にこざっぱりした感じになっていたのが気になりました。
もう少し配分に気を使ってまとめてもらえると良かったかなぁと思います。
真田さんは霊が逃げる体質なんですかね?
ちょっと羨ましい気がします…。

文章:0 怪異:1

名前: PM ¦ 21:31, Sunday, Feb 08, 2009 ×


中盤からの怪異例は少しまとめて書いたほうがよろしいかと。

名前: SPダイスケ ¦ 22:13, Sunday, Feb 08, 2009 ×


文章ー1 怪異+2 恐怖0
皆に頻繁に目撃されるというのは凄い。
最初のエピソードはそれほど大きな怪異でもないので、もっと短くまとめた方がよかったと思う。
真田さんと霊の奇妙な追いかけっこが一番面白いところであると思うので、そこに的を絞ってもう少しすっきりとまとめれば、点数も伸びたのでは?

名前: スロトレ兄さん ¦ 22:44, Sunday, Feb 08, 2009 ×


怪奇1 文章0 
個人的にその100円ショップに取材に行きたいなあ。死後も親子で一緒に買い物しているのでしょうか?お店の怪異としては王道ですね。

名前: じゅりんだ ¦ 22:51, Sunday, Feb 08, 2009 ×


全体的に長く感じました。
店長が幽霊に避けられてるのがメインだとしたら、最初の怪異部分はさらっと流すくらいにした方が良かったかも。

名前: ゑな ¦ 01:04, Monday, Feb 09, 2009 ×


全体的にばらけたイメージになっているのが、
残念です。
多くの方に指摘されている様に、焦点が纏まっていない故でしょうか?
って言われても、私にもわかんないですが(^^;)
文章自体に大きなミスも問題もないだけに、残念です。

文章1

名前: ほおづき ¦ 14:24, Monday, Feb 09, 2009 ×


そんなことは無いとは思うのですが、従業員がグルになって店長を苛めてるとか。実際には何も起こっていないのかもしれません。 講評し難いです。
文章・0 構成・0 ネタ・0 恐怖・0

名前: 暗沌子 ¦ 15:34, Monday, Feb 09, 2009 ×


これでもかというくらい、いろいろ起こってしまったんですね。
その気持ちは解るのですが、その中で体験者、或いは筆者の方が一番怖いと思ったところに的を絞ってもよかったような気がします。
真田さんが霊に避けられているという点を書きたかったのかなぁと思うのですが、詰め込みすぎで少しその辺が霞んでしまってますね。

名前: 黒蜜椿 ¦ 11:49, Wednesday, Feb 11, 2009 ×


もう少し整理して書かれたらよかったかもしれません。
怖さが薄れてしまっていている気がします。

真田さんとは絶対に顔を合わせない親子の幽霊ってなんなのでしょう。
理由が知りたいです。

真田さんが2階に上がってからの描写がいいですね。
一生懸命状況を伝えようとしているのがわかります。

名前: 桜子 ¦ 16:50, Tuesday, Feb 17, 2009 ×


鈍いな、私…。
「真田さんは気配しかわからないんだ、へえー」位に思ってて、最後の一言を読むまでタイトルの意味もピンとこなかった…。
いや、その分、「おお、なるほど!」と感動できたから良し! +1

幽霊親子は真田さんを嫌がって逃げ回っても、出て行く気はないんですね。
その場所に強い思い入れがあるのかな。
従業員の皆さんがある程度受け入れてしまっているのが面白いです。 +1

名前: 眠 ¦ 22:10, Tuesday, Feb 17, 2009 ×


「嫌われ者」というのが幽霊からではなく、従業員から見た店長の意味だという可能性もあるのですが、その場合でもなかなかな怪談ですね。
怪談として読むと、所謂店舗怪談としてよく聞く部類のものですが、店長の前にだけは姿を現さない奇妙な親子の霊がいるという点に妙味があるとは思うので。

名前: キザラ ¦ 00:34, Monday, Mar 02, 2009 ×


霊体験のパターンとしては新鮮な部分もあり良かったと思うのですが、文章がやや説明くさく、この話の場合はそれが成功しているようには思えませんでした。
この内容で「嫌われ者」というタイトルの付け方はよかったと思うのですが。
±0ということで。

名前: へみ ¦ 09:16, Saturday, Mar 07, 2009 ×


小粒な怪異を詰め込みすぎた感がありますね。霊に避けられるのは面白いと思います。
少しシンプルにされた方が良かったかもしれませんね。

名前: わんぴー ¦ 08:35, Monday, Mar 09, 2009 ×


なるほど「嫌われ者」とはそういう意味だったんですね。あまりにも鮮やか過ぎてショートショートを読んだような感じが。

名前: 魔音 ¦ 19:16, Friday, Mar 13, 2009 ×


文章・・・0
希少度・・・1

みんな見えているのに自分だけ見えていない、あるいは自分だけ見えていて他の人には見えていない、そういうパターンは多くあります。
しかしこの話の場合、明らかに霊から避けられているというところが新鮮に思いました。
真田さんに何かあるのか、それともただ単に霊にも好みがあってどうしてもそばに居たくない人がいるのか。
現象としては極々オーソドックスなものですが、霊に避けられる怪という辺りはちょっと面白いと思いました。

名前: 鹿太郎 ¦ 02:01, Tuesday, Mar 17, 2009 ×


幽霊のでる所は、決まって人が集まる場所だから100円ショップなんかは、格好の箇所で、必ずと言ってよいほど暑くても寒く感じるのであるから。

名前: ジャック ¦ 00:44, Monday, Apr 06, 2009 ×


1つ1つの怪異が少し弱いかなという印象でした。
真田さんが実際に一度も見たことが無いというのだから仕方ないことだと思いますが。
それにしても他のスタッフの方は、そんなところでよく働き続けていられますね(笑)

名前: 緋咲 ¦ 22:22, Sunday, Apr 19, 2009 ×


何か笑える。
もしかしたら、真田さんの後ろの人が最強なのかも。

名前: 悪夢狂乱丸 ¦ 15:17, Thursday, Apr 30, 2009 ×


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