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ばたばた
加藤君が学生時代に住んでいた下宿で起こった話である。

ある夜、自室のベッドで寝ていた。
すると隣の部屋からやけに騒がしい音が聞こえてくるのに気がついた。
それは部屋の中を誰かが走り回るような足音だった。
隣の住人は加藤君の友人だった。
〈きっと他の連中と酒を飲んで騒いでいるんだ。こんな真夜中に迷惑な話だ…〉
と、思いながら布団を頭から被り、気にせずに寝ようと思った。

しかし、一向に静まる気配はなく、走り回る足音はさらに激しさを増していく。
ついに我慢の限界を超えた。
「うるさい!」
加藤君は怒鳴って、隣の部屋の壁に向かって思いっきりガツン!と拳骨をぶち込んだ。

その瞬間、隣の部屋からバーン!という物凄い大きな音がした。
それと共に、加藤君の部屋に向かって誰かが外の廊下を走ってくる音が聞こえた。

ばたばたばた…

足音が近づいてくる。
驚いたことに足音は、外から玄関のドアも開けずにいきなり加藤君の部屋に侵入して来た。

ばたばたばたばたばたばたっ…

寝ているベッドの横で、足音はぴたっと止まった。
〈ドアも開けずにいきなり部屋に入って来るなんて。一体何者だ?〉
加藤君は布団を被りながら恐怖を感じていた。
今、ベッドの脇には得体の知れないモノがいるのだ。この恐ろしい状況をどうやって打破すべきかを真剣になって考えた。
そのうち金縛りにはなっていないらしく、身体は動く事に気がついた。
加藤君はとにかく電気をつけて部屋を明るくしようと思った。

足音の正体を見たくないので、布団を頭から被ったまま後ずさるようにして、そっとベッドから降りた。
そして、布団を被った状態で背後にある壁の電気のスイッチを探り当て、ようやく電気をつけることができた。
部屋が明るくなっても布団を頭から被った状態で、加藤君はうずくまりながら朝になるのをひたすら待った。

夜が明け、窓から明るい日差しが差し込む頃。
隣の部屋の友人が飛び込んで来た。
そして開口一番、加藤君に言った。
「ここにやって来ただろう?」
そう言う友人の目の下には黒い隈が出来ていた。



06:31, Tuesday, Feb 10, 2009 ¦ 固定リンク ¦ 講評(21) ¦ 講評を書く ¦ トラックバック(7) ¦ 携帯


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■講評

そこまでして、断固足音の正体を見なかった、
加藤君に拍手(笑)。
なんか、笑えました。
本人達には怖かったろうけどね(^^;)

文章1 面白さ1

名前: ほおづき ¦ 08:52, Tuesday, Feb 10, 2009 ×


怪奇2 文章0
一体、ばたばたの正体は何だったのでしょうか?
体験談を聞くものとしてはぜひ確認していただきたいものだけれど、当事者は怖くってそれどころじゃないですよね。現実的に。
決してばたばたを見ようとしなかった加藤君に執念みたいなものを感じて面白かった。(笑)

名前: じゅりんだ ¦ 15:11, Tuesday, Feb 10, 2009 ×


隣の友人がどこかで拾って来ちゃったのですかねえ。でも金縛りも起こさないうえ、子供が遊んでいるような無邪気な感じがするので、悪いものではなさそうなのですが。でもやはり見たくはないですよね。

名前: ひ ¦ 16:27, Tuesday, Feb 10, 2009 ×


これは実際に体験したらかなり怖いんじゃないかと。
バタバタの正体はどんな姿だったのかな。でも見ちゃったらもっと大変な目に遭ったのかな。
最後の隣の友人の言葉が効いてます。
友人は正体を知ってるのかな?

名前: ひぐらし ¦ 18:48, Tuesday, Feb 10, 2009 ×


足音の質というか、どんな感じの人のものだったんでしょうか?
何か履いてたとか、軽そうだったとか、そういうのがあると、もうちょっと想像し易かったかなぁと思います。
友人の方は、足音の正体見てたりするんですかね?
その辺、ちょっと気になりました。

文章:0 怪異:1

名前: PM ¦ 18:59, Tuesday, Feb 10, 2009 ×


文章 1
怪異 1
怖さ 0
衝撃 0

「加藤」君の格好が既にキャスパー系のお化けのようなんですが。
この行を読んでから、ホラーなのかオモシロ怖い話なのか判断がつかなくなった。
扉を開けずに玄関から入ってくるくらいならば、そのまま壁を通り越して入ってくればよかったですのにね。

名前: くりちゃん ¦ 22:00, Tuesday, Feb 10, 2009 ×


隣室の友人には何があったのか聞いてみたいですね。
電気をつけてからもうずくまり続ける加藤君がいい感じです。

名前: ゑな ¦ 23:44, Tuesday, Feb 10, 2009 ×


この後の友人とのやりとりも書いて欲しかったです。

名前: SPダイスケ ¦ 11:35, Wednesday, Feb 11, 2009 ×


チラリとでも見てくれれば良かったのにぃw 最後の友達の件が無かったら、並の話に終わっていたかも。
文章・0 構成・1 ネタ・0 恐怖・0

名前: 暗沌子 ¦ 17:49, Wednesday, Feb 11, 2009 ×


 これは怖い、描写も迫力があって面白い。

名前: くすだまん ¦ 17:57, Wednesday, Feb 11, 2009 ×


友人の一言が良い味出してます。
決定的な何かを見たわけではないですが、十分面白かったです。

名前: 黒蜜椿 ¦ 11:45, Thursday, Feb 12, 2009 ×


なにが来たの!なにが!
気になってしょうがない。
足音だけなんでしょうか。
隣の住人も姿は見ていないのかしら。

慌てふためく様子がうまく書かれていて面白く読めました。
可愛そうに…。
この日は二人とも寝不足だったのね。

名前: 桜子 ¦ 10:39, Wednesday, Feb 18, 2009 ×


>〈ドアも開けずにいきなり部屋に入って来るなんて。一体何者だ?〉
妙に冷静だな…と思いきや、電気をつければ何とかなると信じて必死になってるところがすごくかわいいw +1

隣の部屋の方が駆け回っている時間が長かったようですね。その間、友人はどんなパニックぶりだったんだろう。
なんていうか、うん、微笑ましいですこの二人。ずっと仲良しでいてほしい。 +1

>この恐ろしい状況をどうやって打破すべきかを真剣になって考えた。
終始ドタバタした雰囲気の中で、急に固い文章が出てくるとやけに可笑しいw
良いお味でした。 +1

名前: 眠 ¦ 18:52, Thursday, Feb 19, 2009 ×


話としては残念に思ってしまいますが、実際に体験すれば正体を見たくないと思ってしまう気持ちもわかります。
友人は何かを見ていたなら、書いて欲しかったです。

名前: へみ ¦ 11:02, Monday, Mar 09, 2009 ×


足音は隣室から廊下に出て、ドアをすり抜けて部屋に入ってきたようですが、それだったら直接壁を通り抜けた方が手っ取り早いような気が……。
あと「何物だ?」と冷静に考えている割りに正体不明の相手を確かめようとしないあたりに違和感を感じてのめり込めませんでした。
やはり、部屋に侵入してきた正体不明の相手というのは、危害を加えそうな物かどうか、人間は本能的衝動として確かめるんじゃないかと思います。

名前: キザラ ¦ 01:32, Friday, Mar 13, 2009 ×


電気を付けようとしたのに姿を見なかったとは惜しいですね。
私なら怖くて布団かぶったまま朝まで震えているかも。
友人の一言はオチとしては面白かったです。

名前: わんぴー ¦ 18:07, Wednesday, Mar 18, 2009 ×


この加藤君が学生時代に下宿で起こった隣の部屋をばたばたと走り回る音は、一体何者?布団を被った状態で壁の電気のスイッチをつけたら、その足音の正体を見て欲しかった。しかし、朝一「ここに来た」と目の下に隈を作った友人には吹き出してしまうから。

名前: ジャック ¦ 22:21, Saturday, Mar 28, 2009 ×


文章0 怪異+1 恐怖+1
普通、怖いもの見たさでついつい布団から顔を出してしまう所を、意地でも足音の正体を確認しない加藤君がコミカルでいいですね。
よっぽど怖かったんでしょうね。
わざわざ夜が明けてから言いに来る友人もちょっと意地悪ですよね。
面白い話です。

名前: スロトレ兄さん ¦ 02:32, Monday, Apr 20, 2009 ×


布団をかぶりながら意地でも顔を出そうとしない加藤君が何だかおかしかったです(笑)
いや、笑い事じゃないでしょうが、もしこの世のものでない何かがベッドの横に立ってその光景をずっと眺めていたとしたら、しかも笑いをこらえていたりしたら面白いなぁなんて妄想が膨らんでしまいました。

名前: 緋咲 ¦ 15:18, Monday, Apr 20, 2009 ×


文章・・・-1
希少度・・・0

結局足音だけで何が来たのかは分からず仕舞いだったんですね。
こういう話を読むといつも惜しいと感じてしまいます。
体験される方にはもっと勇気を持って何が出たのかしっかりと見てもらいたい。
というのは怪談好きの勝手な言い分なんですが。

全体の構成としてはきちんと考えられており、それなりに効果も出ていると思います。
ただ一つ一つの文章が細かい部分で損をしているように思えます。
体験者がその時に感じたことが、なんだか全て稚拙な表現でさらりと流されているように思えるのです。
こういった作品の場合、体験者がその怪異のどこにどういった恐怖を抱いたのか、その恐怖が時間とともにどう変わっていったのかがしっかりと描写できていれば楽しめるのですが、そこがおざなりになってしまうと読み手としてはパンチのない作品に見えてしまいます。
そういった理由でこの点数を付けさせてもらいました。

名前: 鹿太郎 ¦ 20:17, Saturday, Apr 25, 2009 ×


友人が何を見たのか気になります。
このばたばた君、早く見ろよーこのへたれってイライラしてたかも。

名前: 悪夢狂乱丸 ¦ 16:49, Wednesday, Apr 29, 2009 ×


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