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かみふうせん
藤木奈菜さんがその男性と知り合ったのは取引先でだという。
松坂博之は十三年上の三十七歳。
バツ一で女性関係の噂が絶えない。
不倫がバレて離婚したとか、何人もの女性と付き合っているとか。
女から別れ話が出るので問題にならないんだとうそぶくそうだ。

しばらくして松坂に誘われて飲みに行くことになった。
しかし想像していた人物像とは違っていた。
話題が豊富で楽しくお酒が飲めた。
そして終電まじかになっても近い年齢の男性達とは違い下心を全く見せない。
憎らしくもあり、スマートでもあり。大人の魅力を強く感じた。

怪異は二人で飲みに行った四度目の夜に起こった。

その日は松坂がお勧めの小洒落たおでん屋に行った。
看板の『隠れ家のようなお店』に偽りはなく粋な個室がいくつもある。
密会にはもってこいの作りなので、こういう場所で口説くのかと少しドキドキしたが今回も何もなく終電前に帰る事になった。

一人暮らしをしているマンションに着いたのが24時過ぎ。
少し酔っていた事もありすぐに眠りについた。

何時間ぐらい眠ったのだろうか。
息苦しくて目が覚める。
自分の両腕で胸を抱き抱える様に腕をクロスさせていた。
不自然な格好で寝ていた事に驚き腕を伸ばそうとすると、手首を捕まれて下へと引っ張られる。
何が起こったのか理解できなかった。
しかし畳の下から見えない腕に両手首を捕まれているとしか思えない。
自分の両腕で拘束されたようになり起き上がる事が出来なかった。
逃れようと足をバタつかせていると全身が金縛りになった。
苦しい。とにかく苦しい。
今度はガバッと顔面を見えない何かに押さえつけられた。
大きな掌だ。
目の前の闇から見えない腕が伸びてきて顔面を掴んでいるのだ。
鼻と口を押さえられて息が出来ない。
顔を左右に振り空いた隙間から呼吸をする。
見えない掌はその度に位置をずらし何度も何度もしつこく鼻と口を押さえに来る。
呼吸をするために必死に顔を動かし続けた。
相変わらず両腕も下へと引っ張り続けられている。
胸を圧迫されて苦しい。
呼吸を何度も止められて苦しい。
意識が遠退いて来た。
ガクッと体が動き金縛りが解けた。
電気仕掛けの玩具のように勢い良く上半身を起こす。
ゼイゼイと息を切らしていると視線を感じた。
天井の角にソフトボール大の紙風船の様な物が浮いていた。
肌色でシワシワになっている表面に顔が付いている。
目と鼻と口らしきモノがクシャクシャになっていた。
呆然と見つめていると人の頭ぐらいの大きさに膨らんできた、それにはシワが伸びてツルツルになった肌色の表面に女性の顔が付いていた。
記憶にはない女性だった。
年齢は三十歳前後だろうか。
目の下にある泣きボクロまでハッキリと分かる。
喜怒哀楽を感じ取れない能面のような顔。
虚ろな目で上から見下ろしている。
しかし無関心な表情とは裏腹に、強烈な嫉妬と怒りと悲しみが発せられているのが分った。
そして何よりも恐ろしいのは『また来るぞ』と言う強い意志のようなイメージが伝わってきた事だ。
女の顔は萎むように小さくなると消えた。
今度は殺されると思った。

松坂に電話をした。
昨夜と同じ店で会うことになった。
心の奥底にある何かが、あの女性は松坂に関係があると感じていたのだ。

20時前に松坂は店に現れた。
昨夜の体験は話さずに、あの女性の特徴だけを話した。
理由を問われると覚悟をしていたのだが、松坂は何も言わず黙り込んでしまった。

自分の思い違いだ。話題を変えよう。

松坂は『俊子』だと言った。
『俊子』とは元不倫相手の女性。
元妻にバレて揉めに揉めて別れた女。
妻との離婚をするきっかけを作ったのが『俊子』だという。

無意識に涙が止め処もなく溢れた。
今まで抑えていた感情に歯止めが効かなくなったようだ。
昨夜あったことを全て話した。
松坂は何も言わず最後まで話を聞くと「そうだったのか」と呟いた。
そして、この店に女性を連れてくると別れ話が出るのはそういうことなのかと言った。

ここは不倫相手だった『俊子』と何度も何度も何度も密会を重ねた店。
『俊子』との思い出深い場所だったのだ。
考えてみれば、確かにこの店に来た夜にあの女が現れた。
どういったメカニズムになっているのかは分らないが、この店に女性を連れて来ると呪いのトリガーが引かれ発動するのだろうか。

しかしもっと恐ろしい事に気づいた。

自分には見えないだけで
もしかすると目の前の壁から、
もしかすると目の前の天井から、
もしかすると自分達の目の前に立ち
この店に怨念として残っている『俊子』が二人を凝視しているかも知れないのだ。

松坂からまだ聞きたいことは多くあったが、とにかくこの店から逃げ出したかった。

その日の夜、また金縛りなった。
再び顔面を押さえつけられたら今度こそ殺されると恐怖した。
しかし体が動かないだけで何も起こらない。
天井の角に肌色の紙風船のようなものが現れた。
ゆっくりと膨らむと目の下に泣きボクロがある昨夜の女の顔になった。
虚ろな目で上から見下ろしている。
嫉妬と怒りと悲しみが強烈に発せられているのが分った。
負けるものかと睨み返す。
そして心中で何度も何度も「負けるものか負けるものか」と叫び続けた。
女はゆっくりと萎んで行くと消えた。

しばらくして松坂とつきあう事になった。

初めて松坂の部屋に行った日、『俊子』の写真を見せてもらった。
泣きボクロがあるあの女に間違いがなかった。
しかし『俊子』は松坂と別れた後すぐに結婚をして幸せに暮らしていると聞き愕然とした。
松坂は『俊子』の話題を出すとあからさまに不快な表情をする。
彼女の話題は出さないでおこうと心に誓った。

その後も『俊子』は松坂がいない夜にだけ現れ続けた。
彼の部屋だろうが自分の部屋だろうが関係なく天井の角に『俊子』の顔は浮いていた。
その都度心の中で何度も何度も「負けるものか負けるものか」と叫び続けたという。
日に日に膨らむ大きさが小さくなっていくのが分かった。

今夜も『俊子』が天井の角に現れた。
しかし金縛りにはならなかった。
『俊子』はもはやピンポン玉ぐらいの大きさしかない。
小さすぎて表情までは分からないが泣いているようだ。
今夜で『俊子』は完全に消えてしまうと思えた。
彼女から愛おしさにも似た不思議な気持ちだけが伝わってきた。
ゆっくりと小さくなっていくとやがて見えなくなった。
涙が溢れ声を出して泣いた。

『俊子』が現れなくなってから数日後、奈菜さんは松坂と別れた。



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■講評

え?
そんな思いしたのに、別れちゃったの?
もう、愛情とか言うより意地だったんでしょうか?
俊子さんは結婚して幸せになってるんだから、
そんな自業自得男の事は放っておいても良かったのに。
うう〜ん、不可解。

文章1

名前: ほおづき ¦ 10:59, Sunday, Mar 22, 2009 ×


全体的に展開が急過ぎて着いていけません。
何故そう思ったか、何故そういう行動に出たか、等、所謂「間」が演出されていないため、なんだかダイジェスト版を見せられたような感覚です。
表現力はある著者様かと思いますので、もう少し構成面で考慮いただければな、と思います。

文章:-2 怪異:0

名前: PM ¦ 16:36, Sunday, Mar 22, 2009 ×


怖い話だとは思うのですが…なんだか男女間の泥沼恋愛話の心霊ドラマバージョンの様です。

名前: ひぐらし ¦ 20:42, Sunday, Mar 22, 2009 ×


文章 0
怪異 1
怖さ 0
衝撃 0

何だかよく分からないなあ。
金縛りで襲われている場面の文字の堆積はすごい。が、ガーっと責められた割に、作品の終わりが尻つぼみになっている。
また、最後に「松坂」と別れるところ、説明不足で分からない。「俊子」の出現の理由も推測は出来るが、やはり分からない。
分からないことが多すぎる。

名前: くりちゃん ¦ 21:03, Sunday, Mar 22, 2009 ×


奈菜さん、そりゃその松阪さんと別れもしますよ!だって自分が浮気の相手で別れる理由を作った俊子が生き霊として、何度も通ったお店に部屋に呪いの連鎖のようにとりついているんだから。

名前: ジャック ¦ 22:23, Sunday, Mar 22, 2009 ×


体験者に感情移入はしないことにしているのですが、それでもどこかおかしな印象を受ける。
思い込みで書いているところもあるように思うので、一度整理してからもう一度読みたい話。
どろどろした怪異に仕上げたかったようにも感じるのですが、文章の流れが変な感じがする。
話がうまく繋がっていないように思う。

名前: 黒蜜椿 ¦ 23:20, Sunday, Mar 22, 2009 ×


俊子さんの残留思念というか、執着だけが残っているのでしょうか。
怪異部分はとても詳しく書かれていて厚みがありましたが、なんだろう全体的にはあまりのめり込めないまま読み終わってしまいました。
最後の一行は意外な展開で個人的に好きです。

名前: ゑな ¦ 00:32, Monday, Mar 23, 2009 ×


根っこが無い文章なので、著者が伝えたい事柄の十分の一すら伝わってこない。 一度書いたあと、二度、三度と読み返し、不要な部分は捨てていく練習をされた方が良いのではないでしょうか。
文章・−1 構成・0 ネタ・−1 恐怖・0

名前: 暗沌子 ¦ 14:20, Wednesday, Apr 01, 2009 ×


 文章のつながりが悪く、意味が通じていない。演劇の台本のようだ。
 怪異自体さほど珍しいものではなく詳細に書かれてはいても目新しさもない。その一方で体験者の行動・心理が理解できず話しについていけない。
 第一、女性にもてる男というのは基本的に話題が豊富でスマート、こちらの方が王道に思える。一体どういうイメージだったのだろうか。

名前: ときの ¦ 13:41, Monday, Apr 06, 2009 ×


結婚をして幸せに暮らしていても、生霊になるものでしょうか。念って怖いです。

名前: 悪夢狂乱丸 ¦ 22:00, Thursday, Apr 09, 2009 ×


怪奇1 文章2
小説のような文章ですね。ある意味読み応えがありました。実話怪談でも文章は雨宮さんの雰囲気ですね。しかし、俊子は死霊なのか生霊なのか女の憎悪の念て怖いですね。奈菜さんも松坂への思いというより意地でつきあっているという所が恐ろしく感じました。
女の念対決ですかね。面白かったです。

名前: じゅりんだ ¦ 03:36, Friday, Apr 10, 2009 ×


途中から文章の流れ方が小説臭くなってしまっています。怪異は生き霊ですから、そちらをメインにして、もう少し短くしたほうがいいかと思います。で、え? 別れてしまったの? 俊子に勝ったとたん、同情してしまったから? と、ついツッコミたくなるのは、奈菜さん自身の語る言葉がぜんぜんなかったからだと思いますよ。

名前: ひ ¦ 17:20, Tuesday, Apr 21, 2009 ×


いやいや何とも……。
現れていたのは俊子の残留思念が具現化したもの?
負けるものかという気持ちが愛情の火付けになったのでしょうか。
現れなくなったら別れてしまうって……。
書き方が違えばまた全然違った見え方がしたんだろうなぁと思うと少し残念です。

名前: 緋咲 ¦ 07:44, Tuesday, Apr 28, 2009 ×


文章の流れが悪く、読みにくく感じました。

名前: SPダイスケ ¦ 14:06, Wednesday, Apr 29, 2009 ×


文章は上手いと思うのですが、書き方が全体的に小説っぽく感じてしまい、印象を悪くしていると思います。
人間模様を書いている場面と霊の描写を書いている場面が同じテンポで進んでいるような印象があり、せっかくの怪異も恐ろしさが読者に伝わりにくかったというところでしょうか。

名前: へみ ¦ 16:27, Wednesday, Apr 29, 2009 ×


うーん 何だろう恋愛小説を読んでるような変な感覚です。
奈菜さんは俊子さんに負けたくないだけで松阪さんと付き合ったんですね。 奈菜さんの女の部分が強い作品だったと思います。

名前: わんぴー ¦ 19:33, Thursday, Apr 30, 2009 ×


文章・・・-1
希少度・・・1

各場面の描写に力を入れすぎたため、くどくなってしまったような感があります。
書き手が頑張れば頑張るほど、読む側は却って白けてしまいます。
少し肩の力を抜いてあっさり目に書かれた方が効果的だと思います。
構成や文章にはしっかり練られた跡がありますので、今度は逆の視点で考えてみてはどうでしょう?

名前: 鹿太郎 ¦ 21:02, Thursday, Apr 30, 2009 ×


 金縛りの場面は緊迫感があったが、話全体がなんとも寄せ集めのようで繋がっていない。
 『俊子』はこの松坂はろくな男じゃないから別れろ、とでも念を送ったのかな。
 


 【文章技術評価】 0
 【体験談希少度評価】+1 
 【話の構成】 0
 【怖さ】 0

名前: ミミちゃん ¦ 23:32, Thursday, Apr 30, 2009 ×


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