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墓地にて
幼い頃のことなので、私にはあまりはっきりした記憶が無い。
なのでこれは、大きくなってから母に聞いた話と、私の記憶とが入り混じった話。


私が8歳の頃に、母と2人でお墓参りに行った。
うちの家系はちょっと色々と複雑で、お墓が2つある。
私の家が中村家(仮)、もう1つは祖父の弟が養子に入った長野家(仮)の墓だ。

両方のお墓にお花とお線香を供えて手を合わせ、さぁ帰ろうかと母が私の手を引くが、私は正面の一点を凝視したまま動かない。
それは長野家の墓の真上辺りだった。
母が「どうしたの?」と聞くと「血だらけのお兄さんがいる」と私は答えたそうだ。
日頃から色々見ていたらしい私に慣れていたとは言え、さすがにこれには母もギョっとしたそうだ。
とりあえず行こうか、と母は私の手を強く握って歩き出した。
母は歩きながら、そのお兄さんの顔立ち、服装、見えたもの全部に対して詳しく聞きたがった。
そのお兄さんについて根掘り葉掘り聞かれた事は記憶にある。
私は子供の言葉で、そのお兄さんが二十歳くらいの若者であること、綺麗な顔立ちであること、迷彩服のようなものを着ていたこと、体が穴だらけであること、体のあちこちが欠けていたことなどを話した。
彼は何も言わなかった。
感情の読み取れない表情で、ただじっと私を見ていた。

母はそのお兄さんに心当たりがあったらしく、その日に田舎の祖父に連絡し家系図のコピーを送ってもらうよう頼んだ。
その電話のやりとりは、今でも覚えている。
非科学的なものは頭ごなしに否定するような祖父に、何故家系図なんかがいるのかと事情を求められたが、私がお墓でこういう人を見たと言っていると母が言うと、祖父は言葉に詰まりながら「写真か何かどこかで見たんだろう」と言っていた。
「8歳の子供がどうやってそんな写真見つけるの!しかもサトミちゃん(仮)が長野家に行ったことだって戦争に行った事だって知らないのよ!」

と声を荒げていた母が印象的だった。

母は私を良い意味で子供扱いしない人で、どんな些細な質問にも丁寧に答えてくれた。
家系図が届くと私を呼んで、色々なことを教えてくれた。
詳しくは書けないが、主にサトミちゃんと呼ばれる祖父の弟さんが、中村家から長野家に養子に行った理由、何故その墓を中村家が管理しているのか、というような事だ。
サトミちゃんは美男子で、二十歳でレイテ島というところへ行った。
帰ってきたのは、爪だけだった。
そんな事を話した後、母は「供養してあげようね」と言った。

母が何処でどんな供養を頼んだのか知らないが、その供養は最低3年は続ける必要があったようで、定期的にそのために足を運んでいた。

それから1年半ほど経った頃だろうか、雨の降る夜、私はファミリーレストランで母と食事をしていた。
大好きなハンバーグセットを食べていた私はふと何かの気配を感じ、大きな出窓の外に見える花壇をじっと見つめた。
そんな私の様子に気付いた母が、冗談ぽく「なに?また何かいるの?」と聞いてきた。

「サトミちゃんがいるよ」

母の表情が凍りついた。
上ずった声で「どんな顔してる?」と聞いてくる。

「凄く、怖い顔して睨んでる」

母は本当に、しまった!!というような顔をして「今月、ご供養忘れてた……!」と言った。

翌日、慌てて供養のために出かけていった。

その後も何度か「最近サトミちゃん見た?」と聞かれたが、私は「いないよ」と答えていた。
私の言うことを疑っていたわけではないが、にわかには信じられない話だったので、若干カマをかける意味合いで聞いていたようだ。
母はその後一度も忘れることなく、ちゃんと3年間ご供養をやり遂げた。


この話を聞くたびに思うのは、当時ははっきり見えていた筈の記憶が、何故大人になった今では全く思い出せないのかということ。
それからサトミちゃんは、本当にあれで浮かばれたのだろうかということ。

あの墓地で出会わなければ、異国の地で一人で死んでいった彼の名前さえ知らずに生きてきたかもしれない事を思うと、悲しいような、やるせないような、何とも言えない気持ちになるのだ。



08:52, Friday, Apr 03, 2009 ¦ 固定リンク ¦ 講評(16) ¦ 講評を書く ¦ トラックバック(5) ¦ 携帯


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■講評

うう〜ん、書かれない事には事情があるのでしょうけれど、
お父様は?
お母様の「見える事」に関しての寛容かつ、
迅速な対応も一般的ではないですよね…?
普通は「馬鹿な事言ってないで」で済まされそうですが…。
過去に何か、手痛い教訓になるような事があった
ような態度が気になります。
怪異よりも、そっちの方が奇異です。

文章1

名前: ほおづき ¦ 10:21, Friday, Apr 03, 2009 ×


ううーん、なんだかあまりスッキリしない文章ですね…。
無駄な描写があるせいか、なんだかごちゃごちゃした印象を受けます。
怪異としても非常によくあるものですし…。

これ、3年間供養をやり遂げたのに、「本当にあれで浮かばれたのだろうか」と思ったのは何故なのでしょう?
何か起こったんですかね?
最後に思わせぶりな文章があったので、話として締まりきらずに終わってしまった感がありました。

文章:-1 怪異:0

名前: PM ¦ 19:17, Friday, Apr 03, 2009 ×


他の講評者の方々からも指摘があるでしょうが、(仮)という表記は不要です。他の作品でそんな書き方がされていますか?そういった書き方をしている作品は同じ様な指摘を受けていると思います。
他の作品と講評をよく読んで投稿するべきだったのでは。
また、作者さんの個人的な、詳しくは書けない様な事情云々という表記も不要では。怪異とは関係ないところでごちゃごちゃとしてしまいます。
養子にいった、というくだりはただ単に“○○方の親類”とすればよいだけでは。
お参りするお墓が複数ある、というのも別に珍しい事ではないと思います。
話の内容が“散らかった”状態で、ただの雑談の様になっていますね。


名前: ひぐらし ¦ 21:13, Friday, Apr 03, 2009 ×


2人分の情報を合わせて書かれているのでどうしても読んでいて集中できませんでした。
「サトミちゃん」については供養してもらえる良いきっかけだったとは思いますが
本当にあれで浮かばれたのかと投稿者さんが疑問を持っているのがとてもひっかかりました。
そう思えない理由が何かあるのなら、書ける範囲で書いて欲しかったです。

名前: ゑな ¦ 22:24, Friday, Apr 03, 2009 ×


この作者は8才で幼い為、たまたま純粋な気持ちゆえに血まみれのお兄ちゃんが見え、そのお兄ちゃんは、中村家から長野家に養子にいった祖父の弟美男子のサトミちゃんで、20歳でレイテ島に行き帰ってきたのは爪だけなので浮かばれない為でてきたのだと思ったから。

名前: ジャック ¦ 00:26, Saturday, Apr 04, 2009 ×


文章 −1
怪異 1
怖さ −1
衝撃 0

文章がややこしい。「サトミ」ちゃんは長野家に養子にいって戦死したそうだが、どうせ仮名を使うなら、性別のはっきりわかる名前にした方がよかったと思う。私は女の人かと思っていた。
またそんないわれのある叔父の供養を忘れたりするだろうか。お母さんは叔父のことを「サトミ」ちゃんって名前で呼ぶの?目上の人なのに?
そして最大の疑問、なぜ「サトミ」ちゃんが浮かばれたかどうか疑問に思うのですか?説明不足です。

名前: くりちゃん ¦ 11:06, Saturday, Apr 04, 2009 ×


(仮)に関しては、これ以上述べることもあるまい。
迷彩服、遺品としての爪など余計な情報が邪魔などころか足を引っ張っている。そのくせ、欲しい情報が欠けている。
戦争は事実としてあったのだがら、書き起こす際には徹底的な事前調査が必要なのは言うまでもない。

文章・-1 構成・-1 ネタ・0 恐怖・0

名前: 暗沌子 ¦ 11:38, Sunday, Apr 05, 2009 ×


怪奇0 文章0
戦争で亡くなった祖父の弟さんが、たまたま体験者さんの霊視によりわかったというのが少し流れ的に自然でないかな。
サトミさんの情報をもっと詳しく書かれていたらよりリアルになったかもしれませんが。

名前: じゅりんだ ¦ 15:00, Friday, Apr 17, 2009 ×


お母さん偉いですね。お墓で血まみれのお兄さんの目撃から、家計図を取り寄せ供養まで。体験者さんのある種淡々とした説明と、お母さんのあわてぶりが目に浮かびます。お兄さんも一回くらい許してあげればいいのにね。でも霊はありがとうを言いに来ても怖くなってしまうのかも。これはどうしようもないのかもしれませんね。怖いけど良い話でした。
文章:1
体験:1

名前: もめん ¦ 05:38, Sunday, Apr 19, 2009 ×


戦争の話は背景を詳しく書かないと分かりづらいですよね。
書けるところは丁寧に説明してあって良いと思います。
ただ、お母様が一生懸命ご供養されていたのに浮かばれたのか疑問に思ったのはなぜなのでしょう。
もしかしてその後もサトミちゃんは現れたとか?
忘れてしまった記憶の奥底になにか残っていることがあるのかもしれませんね。
読んでいるこちらもやるせない思いでいっぱいです。

名前: 桜子 ¦ 20:43, Tuesday, Apr 21, 2009 ×


「ここは覚えている」の記述が邪魔。いっそお母さんの話も全部投稿者さん目線で語ったほうがすっきりすると思う。

名前: 悪夢狂乱丸 ¦ 18:19, Thursday, Apr 23, 2009 ×


記憶が曖昧なところで書いているというのが伝わってきてしまって残念。
そういう情報はなしで書いても問題はないと思います。
なにか複雑なものを感じる話だけに、個人的には興味もあるし、怖い話だと思うのですが、ところどころ書けないために曖昧にするしかなかった印象を受ける。
なんだか勿体無い印象。

名前: 黒蜜椿 ¦ 10:01, Saturday, Apr 25, 2009 ×


文章・・・0
希少度・・・0

あったことを全て事細かに文章にされています。
その一つ一つが細かすぎ、ダラダラとした展開のような印象を受けました。
削れるところは多分にあるように思えます。
「詳しくは書けないが」という断りを入れている部分もありますが、そこも思い切ってばっさり切ってしまっても良かったのでは。
切る部分、残す部分をしっかりと考えた上で、作品にすると良いものになると思います。

名前: 鹿太郎 ¦ 00:00, Wednesday, Apr 29, 2009 ×


文章がちょっと分かりづらく感じました。

名前: SPダイスケ ¦ 00:46, Thursday, Apr 30, 2009 ×


怪異とは関係の無い情報が盛り込まれすぎていて、そちらの方に気をとられてしまいます。
記憶の無い著者とお母さんの話を合わせることで余計に焦点がぶれてしまっているので、どちらかに焦点を絞って書いた方がよほどすっきりしたでしょう。
日本の歴史に関わる事だけに記憶や情報に自信の無いところはスッパリ削り、あった事だけを淡々と書けば全く違った作品になったのではないかと思います。

名前: 緋咲 ¦ 07:17, Thursday, Apr 30, 2009 ×


戦死者の霊など怪異自体はそう珍しいことではないですが、どうかな、この書き方は。自分はそう嫌いではないけども、超-1の中では浮くような気がします。どこか切なさを含んだ筆者の想い出話ですからねえ。

名前: ひ ¦ 20:58, Thursday, Apr 30, 2009 ×


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