超-1/2010審査用チェックリスト
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「妙な男だったわね」 霊感持ちの泉さんの同棲相手は、俗に言う心霊マニアだった。 ドライブと称しては心霊スポットを巡り、死亡事故と聞けば写メを撮りまくる。 その上頻繁に、連れて帰ってきてしまうヒトらしく、 「しょっちゅうくっつけてくんのよ、腐乱した生首とか、目玉ない女とか…」 よく付き合えましたね、と聞くと、奇妙な答えが返ってきた。 彼は極めて簡単に、自分で除霊ができるのだという。 「簡単に言っちゃえば、水洗いできたのよ。シャワー浴びたら霊が落ちんの」 清めの塩もお払いも必要なく、ただ水道水を浴びるだけ。 彼の肩にがっちり爪を食い込ませていたモノ共が、風呂場から出てくると消えている。 ボディーソープの泡と一緒に流されてしまうのだ。 そして彼は肩こりが取れてサッパリだなどと抜かす。 「えらく便利な体質だなあって、呆れてたんだけどね」
先日、泉さんが浴室の掃除をしていたとき。 タイルを歯ブラシで擦っていると、出し抜けに泉さんは尻餅をついた。 何者かに凄まじい力で、背後からTシャツの裾を引っ張られたのだ。 「焦ったわよ。だって後ろにはバスタブしかないんだもん」 混乱の中、兎に角原因を突き止めようと、泉さんは限界まで首を捻った。 ぐいぐいと引かれる先には、排水溝。 そこから真っ黒な腕が突き出し、シャツの裾を握り締めていた。 驚きのあまり踏ん張りが緩んだその瞬間、腕は一気に力を強め、泉さんは浴槽に背骨を強かに打ちつけた。 呻き声を上げている間に腕は裾を握ったまま引っ込んでいった。 蓋をしたままの排水溝の奥へ。
「全然、取れないの。蓋に食い込んじゃってさあ」 結局泉さんは伸びきったTシャツを引き裂いて浴室から脱出し、彼氏が帰宅するなり掃除道具を持たせて浴室へ向かわせた。 数分後、「排水口、詰まってたみたいだわ」と彼氏が持ってきたバケツには毛の塊が詰まっていた。白髪や長い黒髪に動物の毛が混じった塊に、彼女の服の一部が絡めとられていたという。
「流石に説教よね。後始末までちゃんとやれって」 その後、心霊ツアー後の彼には、まず銭湯へ行ってもらうそうだ。
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» [超−1]【+3】水洗い可 [幽鬼の源から] × 絶妙のバランスを保っている佳作であると思う。 いい意味でのおとぼけぶりを発揮しながら、怪異はインパクトのあるものであり、それなりの恐怖感を醸し出している。 特に巧いと思ったのは怪異の描写の部分であり、必要最小限度の情報であり得ない存在をその正体まで的 .. ... 続きを読む
受信: 10:26, Friday, Feb 05, 2010
» 【+3】水洗い可 [超-1/2010講評用ブログから] × 怖さ+1、文章+1、珍しさ+1文章がまとまっていて、読みやすかったです。でも、きっちりと怪異を伝えられているのがすごいと思いました。前半にすこしふしぎな話を持ってきて、後半で落とす。起承転結がはっきりしててよかったです。 ... 続きを読む
受信: 20:18, Saturday, Feb 06, 2010
» 【+3】水洗い可 [【超-1】講評専用ブログ 〜闇夜に鴉がにゃあと啼く〜から] × あ、これは面白い。構成も巧く実に軽妙なテンポで纏められている。情報の見せ方も巧みだ。冒頭が現在同棲中の彼氏を語っているのに関わらず、過去形なのがちょっと気にならぬではないが、トータルで考えれば減点になる程のものではない。水を被って体を清めるのは珍しい事 ... 続きを読む
受信: 01:33, Sunday, Feb 07, 2010
» 【+1】水洗い可 [闇夜に紛れて覗く者から] × 文章を纏め上げる力は充分だと思える。ただ、著者の方の意図がよく見えなかった。怪異として、シャワーや風呂で憑き物を洗い流すという行為はよく訊く話の部類に入る。それを考慮した上でこの書き方をし、笑いを誘ったようにみえるのだがいかがだろうか。しかしこのよう ... 続きを読む
受信: 10:17, Monday, Feb 08, 2010
» 【+5】水洗い可 [実話怪談大好き!から] × JUGEMテーマ:実話怪談コンテスト 強烈なカップルですな。方や見えちゃう。 そして片方は連れて帰る。それも結構グロイものを。なのに付いてきたものは水洗いできる、というか落ちちゃう。 いやいや、笑った。水洗い除霊って聞いた事が無いお手軽さ。 そこの水には .. ... 続きを読む
受信: 19:19, Monday, Feb 08, 2010
» 【+3】水洗い可 [2010超−1 講評から] × 文章+2 怪異+1文章はストレスなくすらすらと読むことが出来ました。構成も始まりからオチまですっきりとまとまっていたと思います縲... ... 続きを読む
受信: 22:39, Tuesday, Feb 09, 2010
■講評
ああ、これはいいですね。仕組まずとも面白い話になっており、しかもちゃんと怖い。狙いすました心霊落語よりも、結果的に上回るのは、巧みな文章力の賜物でしょう。勉強になりました。 ネタ・1 構成・0 文章・1 恐怖・0 |
名前: 一反木綿豆腐 ¦ 13:38, Wednesday, Feb 03, 2010 ×
これは上手くまとまっていてなかなか面白かったです。 そして、シャワーで落とせるというのも非常に興味深いところですね。 所謂、“禊”というものでしょうか? 彼氏さんよりも、お住まいの部屋に何か秘密があるかもしれませんね。
文章:1 希少性:1
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名前: ていさつUFO ¦ 19:52, Wednesday, Feb 03, 2010 ×
罰当たり怪談としては面白いバリエーションであるのだが、さらりと読めすぎて印象が薄く感じた。 それは当事者が誰ひとりとして怖がっておらず、口調も惚けている事が大きな理由と思われる。 こうした当事者が惚けた怪談の場合、読者がツッコミを入れたくなるのがベストなのだが、怪の部分もさらりと書かれてしまっており話者の惚けた口調も相まってツッコミ辛い。 中盤の怪に焦点を絞り、惚けた調子を出さず話者の言葉も入れずに淡々と描くことで、前後との落差を産み出し読者のツッコミを誘える話になったのではないだろうか。 |
名前: amorphous ¦ 19:56, Wednesday, Feb 03, 2010 ×
面白い面白いと最後までさくさく読んでしまって,爽やかすぎて怖さが薄れてしまっているというのが怪談としてはどうなんだ,というところでしょうか。 排水溝の怪異自体は類話も多いような気もしますが,水洗いで落ちるという彼氏さんのような体質は余り聞いたことがありません。 いやはや,楽しませていただきました。 |
名前: 捨て石 ¦ 23:48, Wednesday, Feb 03, 2010 ×
洗って除霊で「へえー」。 でも泡で落とせない強敵が現れたら、と思うと薄ら寒い。漂白剤でもぶっかけるんでしょうか。(+1)
泉さんの受難で「うわー」。 体から落としたあとなら片付けも簡単にできる彼。すごいけど少しは反省してほしい。(+1)
銭湯のオチで「おいおい」。 その彼とまだ続いていることに苦笑。
この三段構え、好きだなあ。短いお話なのにすごく豪華。 テンポの良さにもう1点。(+1) |
名前: 雨四光 ¦ 19:17, Thursday, Feb 04, 2010 ×
文章1 内容1 怖さ1 ネタ1
文章:読みやすい。わかりやすい。また描写が的確なので臨場感がある。短い文章の中でよくまとめている。
内容:水道水で洗い流せて、流れたものは排水溝にたまっている。最後に心霊ツアー後の水洗いは銭湯でという三段落ちは面白い。
怖さ:掃除する身としては非常に危機感を感じる。なにせ、そこにたまったままだから。
ネタ:普通の水で洗い場流せるというのは非常に面白い。彼氏が掃除することで霊障がないのであれば、非常に便利である。
私には大変面白い話に思えた。
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名前: ぬんた ¦ 19:07, Friday, Feb 05, 2010 ×
文章 +1 稀少度 +1 怖さ +1 衝撃度 +1
これは面白い!こんな「御祓い」「「禊ぎ」の仕方は初めて聞いた。 排水溝にたまったモノが突如襲いかかる、というのはゾッとする。 文章は読みやすい。短い話なのに充足感がある。 |
名前: つなき ¦ 23:13, Saturday, Feb 06, 2010 ×
文章1 恐怖1 希少1 魅力0
便利な体質だなぁ。 でも排水口に生ものが詰まっちゃうんじゃ、たまりませんね。 霊感のある彼女がいて初めて成り立つ怪談ですね。 しかし彼氏が持ち帰った色々なものがそこに密集してると思うとおぞましい……。 曰くつき物件って、こうやって出来上がるのかなぁなんて思ってしまいました。 何だかもう銭湯にも行きたくないです。
短い文章だからこそ書き手の文章・表現力が際立つ。 純粋に凄いな、と思いました。 |
名前: 幻灯花 ¦ 00:24, Wednesday, Feb 10, 2010 ×
しかしこの泉さんの同棲相手、心霊マニアで死亡事故で、陰惨な現場を取り巻くっていれば、相手の霊が人の不幸を嘲笑って、いつかこいつにとりついてやろうなんて悪い気がついても仕方がないし、むしろこれぐらいの事で済んでよかったのでは、でも、水洗いだけで除霊できるとは、なんて都合の良い人なんでしょう!本当に事実なのかしら?眉つばものかも?と思うから。 |
名前: 天国 ¦ 21:59, Wednesday, Feb 10, 2010 ×
「妙な男だったわね」で始まるので、ラストでまだ二人が続いていたことが意外でした。読み進めながら、ああ、こんな目に遭ったなら絶対別れる!という感想も手伝って、まさか続いてるとは思わなかったので。
しかし、この男性にはこの女性でないとダメでしょうね…。縁結びの妙というか、お話には出てきませんが奇縁に関するストーリーもありそうで、深さを感じます。「毛」が詰まっていたということですが、「毛」という物理的な障害があるということに恐怖を感じました。心霊的なものが物質と化して現れたように思えて、物凄い「チカラ」を想像させるので。 逆に考えても見たんですが、「毛」から心霊的なものが生まれた、という風にはどうしても思えませんでした。
・臨場感+1 ・没入度+1 ・表現+1 ・恐怖+1 |
名前: ダイタイダイダイ ¦ 15:41, Thursday, Feb 11, 2010 ×
便利な体質ですね。非常にうらやましいです。 実害がこれだけで済んでよかったかもしれません。 まとまってはいるのですが、恐怖の描写がやや薄味に感じました。
構成+1 |
名前: ランプ ¦ 23:52, Friday, Feb 12, 2010 ×
いろんな形の極上の高級チョコレート詰め合わせを食べさせて頂いたようなそんな満足感がありましたw(比喩が変か) 一つ一つが濃い! バラけて書いても充分な体験がぎっしり詰まっています。 さらにテンポが良いのでもったり感が無くどんどんイケてしまう。 あー。旨かった!
常人には計り知れない特殊な能力?を持つ泉さんカップル。 しかもお二人のボケと突っ込み的な性格を著者の方はそのまま上手 く文章にのせていて、まさにこのカップルにしてこの著者にアリ・・という感じです! (+4)
ただ冒頭の一箇所。 泉さんの彼氏がいかに心霊好きかを説明する事例で 心霊スポット巡りは、まあ、対象?があやふやなのでいいとして [死亡事故と聞けば写メを撮りまくる]というところ。 (それを言っちゃあ・・)と思われるかと思いますが、個人的にはそれは書かないで欲しかったです。 そこで明らかに亡くなった、名前を持った方がいるから。 遺族の方や知り合いや友達からしてみれば、自分の大事な人が 死んでしまった場所で、霊が写らないかとバシャバシャと写メを撮ら れていたら・・ 「霊が写った写った!!」と大騒ぎして喜んでいる写真に 自分の大事な人が写っていたら。。 知らないとは言え、それはどんなに悲しく残酷なことであろうか。
[実話]を扱う以上、またはそこに明らかに名前を持った対象がいる場合、[死]や[魂]に対してもっと慎重に扱うべきと言うか ただ怖がらせばよい、面白がらせばよいだけではなく 霊に対して畏怖の念と敬うという[心]を持った作品を書かなければいけないんじゃないかと。 すいません、語彙が貧しいのでうまく言えませんが>< そんなことを思ったので。 (-1) それだけが個人的にひっかかってしまい、その一文が無ければ [わははは]と手放しで読めた痛快ですばらしい作品だったと思います。
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名前: RON ¦ 10:03, Saturday, Feb 13, 2010 ×
”妙な男だったわね”と過去形で始まる割に”まず銭湯へいってもらうそうだ”と今でも別れてないみたいな文章に違和感を感じつつ、 私銭湯が好きなんで!銭湯で変なもの洗い流さないでほしい! しかしつれて帰ってくるのもシャワーで流してしまうのも能力ですよね。 すごい霊感カップルですね。
文章=−1 怪異=+1 心情=−1 合計=−1 |
名前: 鏡餅 ¦ 16:16, Monday, Feb 15, 2010 ×
これは載って欲しい話ですね! 結構恐ろしい怪異が起きているんですが、その主をあっさりシャワーで洗い流してしまう彼氏……。 詰まっていた毛の塊ひとつとってもとんでもなく恐ろしいもんなんじゃないかと思えるんですが、いや、色んな人がいるもんだなあ。 すごく面白い話です。 あ、ふと思ったんですが、銭湯でシャワーを浴びる前に湯船につかったらどうなるんでしょう? ぜひ一度試して……あかんか。 |
名前: きえええっ! ¦ 04:40, Wednesday, Feb 17, 2010 ×
とても書きなれている印象を受けた作品でした。 読みやすく分かりやすい。
カップルの片方が連れてきて…というのは多く聞きますが、この作品もそういった話の一つだったという印象です。
ただやはり亡くなられた方がいらっしゃる事は事実なので、ただ「面白い・怖い」だけではなく、そういったことも配慮した書き方をされていたら文句無しに満点だったと思うのです。 多分書かれた方はしっかりとそういう思いはお持ちだとは思うのですが…。
「連れてきた、ハイ、流す」のような印象が拭いきれずそこを考えてしまうとどうしても高得点には出来ませんでした。 |
名前: 鶴斗 密喜 ¦ 19:54, Thursday, Feb 25, 2010 ×
弾き飛ばせる人がいるのなら水に流せる人がいるのも不思議じゃないし、都合よくみえるからと何でも眉唾だというのはいかがなもんかと思うから。 |
名前: 極楽 ¦ 11:57, Wednesday, Mar 03, 2010 ×
水が良いのか、ボディソープが良いのか、体質なのか 便利だなぁと思ったら・・・、コワ面白かったです
文章+1 希少+1 |
名前: 205 ¦ 01:51, Thursday, Apr 01, 2010 ×
おぉ! お風呂もやはり効果があるんですね。 冷水を浴びてお清めをするよりは楽というか。 しかし、お湯で下水に流されていったモノはそれからどうなるのかは気になるところです。
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名前: どくだみ茶 ¦ 15:15, Wednesday, Apr 07, 2010 ×
怪談点…1 文章…-1
話としては面白いが、文章はやや説明不足で、構成にも不備があるように感じました。 というのも、この作品の場合、書き出しから推測するに、どうやらまず書き手の方が泉さんに取材するところから始まるようです。 ところがその説明が一切ないため、突然挿入される体験者の言葉にこちらは面食らってしまいます。 また、出だしの台詞も読み手の混乱を招いています。 泉さんはその彼と今も付き合っているのか、いないのかが分からなくなってしまいます。 余計な装飾を付け足さず、話だけで一気に読ませた方がすっきりして分かりやすい作品になったと思います。 その方が話が活きたでしょう。 |
名前: C班 山田 ¦ 04:06, Thursday, Apr 08, 2010 ×
霊を水で流せるという珍しい特徴と恐怖を感じさせるエピソード+巧みなオチでまとめているのがお見事。 泉さんばっかり割を食っているのが気の毒だけど、本人が慣れている風なので少し笑えます。 |
名前: ゼリコ ¦ 21:21, Sunday, Apr 11, 2010 ×
……それで、お二人は別れたんですかね?他の講評者さんも触れていらっしゃいますが、出だしと結末に違和感が。 憑いてきた霊が水で洗い流されたあと、念が髪の毛として残る……というのは興味深かったです。
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名前: 丸野都 ¦ 04:48, Monday, Apr 19, 2010 ×
ネタ・恐怖度:1 文章・構成 :0
さばさばした体験者の語り口に、怪異に対する恐れの薄さが読み取れる。これだけ強烈な怪異を体験しながらもさらっと話せるということは、過去にはさらに凄絶な体験があったのでは、と邪推してしまう。 適度にまとめられた内容は読みやすくて良いのだが、出だしと結びとで話がこんがらがってくる。 冒頭では「だった」と過去形になっているので離別したのでは、と思えるのだが、結びになると現在も関係が続いているように読み取れる。 些細ではあるが、この些細な食い違いが話の信憑性を疑わしくさせることもある。注意していただきたいところである。
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名前: オーヴィル ¦ 01:07, Friday, Apr 30, 2010 ×
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