超-1/2010審査用チェックリスト
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胃癌で亡くなった祖母の四十九日を終え、西河さんは遺品の整理をしていた。 着道楽で鳴らした祖母らしく、箪笥の中は着物で溢れている。どこをどう工面するのか判らないが、月に二、三度は着物をあつらえていたそうだ。丁寧に仕分けていくと、引き出しの奥から、見慣れない木箱が現れた。 乾燥し切ったそれは、所々ひびが入っており、振るとカタカタと音がする。西河さんは、厳重に結わえられた赤い紐を解き、蓋を開けた。 「ヒトガタ、とでも言うのでしょうか、人の形をした木片が出てきたんです」 一文字に刻み込んだ目、丸く彫られた口。顔と言っても、それぐらいしか造作が無い。あとは手足の無い胴体だけだったという。 このヒトガタも箱と同じように枯れている。いったい何だろうと箱を探ってみると、蓋の裏に文字が書いてあった。 「願叶、と書いてありました」 好奇心に駆られた西河さんは、両親にそれを見せた。二人とも同様に首を捻っている。そのうち、父親の方が冗談交じりに言った。 「母さん、何か願い事叶えてもらったらどうだ」 くすくす笑いながら母が応じる。 「朝からずっと探している指輪を見つけたまえ」 その途端、母親の鼻から血が滴り落ちた。 「嫌っ! 」 母は持っていたヒトガタを振り払い、悲鳴をあげたという。 「母さん大丈夫? 何よ、急に鼻血なんて」 西河さんに答えようともせず、母はヒトガタを見つめている。鼻血が滴り落ちた瞬間、手の中で動いたのだという。 「とにかく鼻血止めなさいよ」 ティッシュケースを取ろうとカウンターに手を伸ばした母が、小さく呻いた。 「指輪…あった」 単なる偶然だという事で、その場は納まったのだが、その二日後。 出勤したばかりだの西河さんは、絶望に打ちひしがれていた。何ヶ月も掛けて練り上げてきた企画が議題にも挙がらないというのだ。 「家に帰ってからも、悔しくて悔しくて。で、あのヒトガタを思い出したんです」 藁にも縋る想いで、西河さんはヒトガタを握り締め、祈った。 「どうか、他の企画を全部抑えて、私の企画が通りますように」 その瞬間、西河さんは激しい腹痛に身を捩りながら座り込んだ。湧き上がる吐き気に堪え切れず嘔吐したのだが、出てきたのは大量の血液であった。何事かと駆けつけた母親の悲鳴をぼんやりと聞きながら、西河さんは意識を失った。救急搬送され、二週間近く入院したそうだ。 極度のストレスから来る出血性胃潰瘍では、と結論が出た。見舞いに来た同僚によると、西河さんの企画は通ったのだが、本人が長期療養とのことで時機を失ってしまったらしい。 ようやく退院し、自宅に戻った西河さんは、早速両親に進言した。 あのヒトガタは二度と箱から出さない方がいい、というか寺か何処かへ納めた方がいいのでは。 その通りだと母は賛成したが、何故だか父は、うんとは言わなかった。 「一ヵ月後、理由は判ったんです。父はリストラされたらしくて」 どうしても言い出せないまま、給料日を迎えた父は、あのヒトガタに願いを託したのだという。 「どうか、宝くじが当たりますように」
西河さんが発見した時、父は床一面に血を吐いて倒れていた。食道静脈瘤が破裂し、生死を彷徨う状態であったが、どうにか生還した。折角当たった宝くじだが、その殆どが入院費で消えたという。 今でもヒトガタは西河さんの家にある。 「父は上手く使いこなせないか、思案してるらしくて。何とかして止めたいんですが、取り上げたり隠したりすると暴れるんです」
昨日、気になることを呟いていたそうだ。 「自分の幸せじゃなく、他人の不幸を祈ればどうなるのかなって」
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» 【+3】ヒトガタ [2010超−1 講評から] × 文章+1 怪異+2文章は特に引っかかるところもなく、読むことが出来ました。このぐらいインパクトの強いお話に最適な描写や表現だった�... ... 続きを読む
受信: 20:03, Wednesday, Feb 17, 2010
» [超−1]【+3】ヒトガタ [幽鬼の源から] × “呪物”を扱う怪異の中でも、相当強烈な部類に入る作品ではないかと思う。 願望を叶える代わりに、自らの肉体を蝕む結果を伴う怪異がこれだけ連続的に起これば、当然その因果関係は明らかであるだろう。 またこの因果関係は親子3人でどんどんとエスカレートしていく .. ... 続きを読む
受信: 01:19, Thursday, Feb 18, 2010
» 【+4】ヒトガタ [【超-1】講評専用ブログ 〜闇夜に鴉がにゃあと啼く〜から] × 何て厭な話だろう。願いを叶える度に、それ以上の対価を求めるとは。それもまだ現在進行形であるのがまた後味が悪い。体験者の父親が魅入られてしまっているらしいのが、救いがない気がする。また、父親が暴れるからと言いながら、ヒトガタの処分をしきれない体験者もどこ ... 続きを読む
受信: 16:32, Friday, Feb 19, 2010
» 【+2】ヒトガタ [闇夜に紛れて覗く者から] × 文章に力を感じる。怪異も充分なものといえる。それだけに後半で醒めさせた内容には、非常に残念に思える。書かなくて良いことを書きすぎた為に、話自体の信憑性が薄れてしまったといえる。読者に指摘される結果を招いたといえるのだ。「父の入院で当たった宝くじが殆 ... 続きを読む
受信: 11:28, Saturday, Feb 20, 2010
■講評
文章力 +1 稀少度 +1 怖さ +1 衝撃度 +1
これは怖い、しかも大きな対価を要求するところが恐ろしい。 本来ヒトガタは穢れを移して水に流すというものであるはずだが、願い事を叶えるごとに穢れがどんどんと貯まってしまって禍々しい力を持つようになったのだろう。このヒトガタの来歴を知りたく思う。 既に取り込まれているようなお父さんの言動が怖い。
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名前: つなき ¦ 14:44, Thursday, Feb 11, 2010 ×
本当にお父さんが言った事だとは思いますが、最後の締めの言葉は敢えて書かない方が良かったと思います。 これは創作怪談で一昔前から割とよく見かけるオチであり、ここを読んだ瞬間、なんだか一気に話が胡散臭くなったように感じました。 話としてはなかなか興味深かったものだけに、残念でなりません。
文章:-1 希少性:1
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名前: ていさつUFO ¦ 19:13, Thursday, Feb 11, 2010 ×
厭な話である。 出自のわからない禍物と、それに縋って対価を払う羽目に陥る人というのは「猿の手」「囚人の手」等の古典から現在まで様々なバリエーションがあるが、それだけこの類の怪に対する恐れと魅力がある証拠と言える。 さて、この話でも同様の禍々しさと因果応報があるのだが、最後の数行で一気にリアリティが失われてしまった。 確かにそのような言葉を発したのかもしれないのだが、あまりにもテンプレート通りなのだ。
実話怪談を採取していると、伝搬ではないのに定型通り、類話と寸分違わない展開の話を聞く機会も増えてくる。 それをそのまま文章として起こした場合、初見の読者には衝撃を与えるが、類話を知っている読者からは軽んじられ、時には酷評を受ける場合がある。 (超-1/2008の「天」という話がまさにそのケースであった) 類話が実話怪談であればまだいいのだが、創作や古典と類似してしまうと、信憑性そのものが薄らいでしまう可能性もある。
実話怪談は発生したこと、聞いたことの全てを書くものではなく、話の信憑性を上げる為に不要な部分を削る英断も必要になる代物である。
また、最後の数行が事実であるならば、話者がそれに対してどう対処するつもりなのかが気になる。 例え暴れたとしても死なれるよりはましだと思うのだが、話者はどう考えているのか。 話者の態度について投稿者からどう見えたかが、この話の重要な鍵になってくるのではないだろうか。 「弩」怖い話2のような展開になる危険性も孕んでいるだけに、早々に何らかの対策を取るべきではないだろうか。 |
名前: amorphous ¦ 19:20, Thursday, Feb 11, 2010 ×
文章1 内容1 怖さ1 ネタ1
文章:たたみかけてくる怪異の描写の積み重ねが最期にまだ終わらない恐怖感に仕上がっていて、非常に良かった。
内容:ヒトガタにまつわる怪異。おばあさんが胃癌で亡くなったというさりげない伏線が最期に生きて来る。これが作り話ならいいのだが、最後のお父さんのつぶやきがいやぁな後味になっている。
怖さ:怖い。これは蠱毒に似た呪いだと思った。財や福をある一定時期まで呼ぶ代わりにその後、命を取るっていう奴。自分の幸せは誰かの不幸だと思うのだが、お父さんはヒトガタに取り憑かれたのだろうか。
ネタ:大ネタだと思う。しかし、願い事の大きさによって体から奪われていく何か(もしくは体が受けるダメージ)が変わってくる。西河さんがお父さんからヒトガタを取り上げてお祓いしてくれることを祈る。 |
名前: ぬんた ¦ 22:28, Thursday, Feb 11, 2010 ×
筆者に起きた事件は、単なる偶然、気の迷いでも通るから。 |
名前: 天国 ¦ 23:12, Thursday, Feb 11, 2010 ×
細かい箇所まで行き届いた文章で、畳み掛けるように襲ってくる恐怖が想像しやすいです。お父さんばかりでなく、話し手も壊れているのかもしれません。リストラされたばかりだと、保険も効かないし、お父さんを病院に入れるわけにもいかないのでしょう。このお宅の前途を考えると、話し手自身も再度ヒトガタに願いをかけるのではないでしょうか。これ以上の取材を期待したいところですが、筆者の安全を考えると無理は言えませんね。 ネタ・1 構成・1 文章・1 恐怖・1 |
名前: 一反木綿豆腐 ¦ 15:37, Friday, Feb 12, 2010 ×
猿の手みたいなものでしょうか。 代償の大きさが、願い事に比例しているのがはっきりとわかります。必ず出血を伴っていて、「偶然でしょ」と切り捨て難いものがある。 本当に願いが叶っているのはお母さんだけですね。西河さんとお父さんに関しては、叶っているけれど思い通りにはなっていない。それでいて「叶えてやっただろ、さあ血をよこせ」って。これはキツい。(+2)
お父さんは、命を差し出してでもどうにかしたい相手がいるのかな。最後の一言で、リストラの件もチラッと脳裏をよぎります。 捨てようともしない西河さんもまた、「上手く使いこなせないか」と考えているのではないでしょうか。 ヒトガタに憑かれてしまったのか、単に人間の黒い欲なのか分かりかねる終わり方で、後味の悪さ倍増です。(+1)
叶っている願い事もなかなかのものなのに、そこをサラリと流しているので、押し付けがましい雰囲気がなくて楽しめました。 「折角当たった宝くじだが」だけだなんて、いかにも「喜んでる場合じゃなかった」という感じで。個人的に好きな文章です。(+1) |
名前: 雨四光 ¦ 22:49, Friday, Feb 12, 2010 ×
ああ、これは後日談を知りたい! …またも己の性癖を突き付けられて、唸りました。
冒頭のおばあさまの「月に二、三度は着物をあつらえていた」というお話で、ヒトガタへの願掛け規模がさらっと理解できました。その代償が胃癌。その後のご家族の出血も、全て内側からのものだということに薄気味悪さを感じます。切り傷などじゃない、内臓からの血を欲するヒトガタは悪魔的なものに思えてなりません。
会話文が程良く挿入されていて、そのセリフで状況が簡潔に整理され、判りやすくなっていると思います。
・臨場感+1 ・没入度+1 ・表現+1 ・恐怖+1 |
名前: ダイタイダイダイ ¦ 00:37, Wednesday, Feb 17, 2010 ×
最後の文の[昨日]とは?? 採話した前日なのか書いた日の前日なのか? いずれにしてもまさに現在進行形の[猿の手]状態。 過去のことになっていないだけに本当に恐怖を感じます。
著者も[怪]の結末(あるのか解りませんが)を見届けてから 書いたのではなくいったん完結しながら もっと恐ろしい結末を予想させて終えるというその手腕。
そして祖母のどう工面しているかわからない衣装持ちぶりや 最後のリストラされたお父さんのつぶやき。 伏し線をさりげなくいろんなところに貼っているところや 最初は鼻血から始まってだんだん事態が深刻に なっていく様子などの盛り上がらせ方など 怪談話の王道をいくような文章力のある方だと思います。
後日談は聞きたいけど、いいです・・ ただ、そのヒトガタを早めに何とかしてもらって下さい・・
怪:2 文章力:2
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名前: RON ¦ 18:01, Wednesday, Feb 17, 2010 ×
おばあさんは毎回文字通り血を吐いて着物をゲットしていたのだろうか。それとも願い方によっては血を吐かずに済むのか。何年後に大病してもいいからアレが欲しいとか。謎すぎる。
あと人の不幸にももれなく吐血が待ってると思うので。 人を呪わば穴二つと申します由。 |
名前: b ¦ 21:50, Saturday, Feb 20, 2010 ×
現在進行形、というのがとても厭な感じで終わらせていると思います。
ただ読み進めていて、肝心のヒトガタの大きさなど全く書かれていないことで、「どのくらいの大きさだったのだろう」と。 「引き出しの奥」と書かれているので、そう大きなものではないと思うのですが…。
「一文字に刻み込んだ目」「願叶」と書かれた文字も、血の色だったのか、黒い墨のようなものだったのか…。 何とも肝心なところで描写が不足している印象が目立ってしまった印象を受けました。
でも他の描写についてはしっかりと書かれていることで、違和感を感じながら読んでしまった作品でした。
起こった怪異は相当なものだとは思うのですが、宝くじと言われても、どのくらいの金額だったとか、お父さんの入院も高額医療とか申請しなかったのか、など折角の怪異が疑問点で埋もれてしまった、という印象でした。
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名前: 鶴斗 密喜 ¦ 22:20, Tuesday, Mar 02, 2010 ×
単なる偶然、気の迷いで済ますには怖すぎる祟りであるから。 |
名前: 極楽 ¦ 10:38, Thursday, Mar 04, 2010 ×
お父さんをとめて下さい! それが愛です! 心まで支配してしまったのか、ヒトガタの威力はすごいですね。 とても怖いです。ホントに怖いです。
文章=+1 怪異=+2 心情=+1 合計=+4 |
名前: 鏡餅 ¦ 11:46, Tuesday, Mar 09, 2010 ×
お父様の未来が心配です。 ぐいぐい読ませる文章で最後まで引っ張られました。 類輪を「怖い本」シリーズで見たことがありますが(3巻「栄光の手」)、この話は実際に体験者から採話できたという点で貴重だと思います。 最後の一行も不気味ですね。他人が不幸になる=自分が幸せになる、とすれば、やっぱり祟られるんじゃないですか?
文章+1 恐怖+1 |
名前: ランプ ¦ 11:20, Wednesday, Mar 10, 2010 ×
文章1 恐怖0 希少1 魅力−1
あー、こういうあからさまな呪い的ジャンルは苦手です、ごめんなさい。 人を呪わば穴2つと言いますが、呪わなくても対価と代償がついてくるのですね。 そういう意味では呪って穴2つよりもタチが悪いような気がします。
でもうまいこと人に自分の幸せを願わせれば、お父さんが描く有効活用になるんじゃないでしょうか。 いかんいかん、こんなことを考えては。 というか、そもそもそのヒトガタ自体が不幸を呼んでいて、自分を使わせようと手招いているようにも考えられる。 それ自体が無ければ指輪もなくならなかったかもしれないし、企画も通ったかもしれないし、リストラもされなかったかもしれない。 想像の域でしかないが、手放せば案外軌道修正出来たりするかも。 |
名前: 幻灯花 ¦ 05:35, Thursday, Mar 11, 2010 ×
願い事を叶えはするがその代償が、という話もよくありますね。 お父さんはそのヒトガタに取り込まれてしまったのでしょうか。 厭感に+1。 |
名前: どくだみ茶 ¦ 22:15, Wednesday, Apr 07, 2010 ×
一見、よくある呪いの話かなと思いましたが、願いと見返りがうまく書かれていてしかも最後はぞくっとする終わり方(お父さんのヒトガタに対する執念も狂気じみていて怖い)がお上手 おばあさんが亡くなったのもヒトガタが原因なのでしょうか? もしそうなら何を願ったのでしょう |
名前: ゼリコ ¦ 21:48, Thursday, Apr 08, 2010 ×
怪談点・・・2 文章点・・・0
W・W・ジェイコブスの「猿の手」を例に出すまでもなく、こ のての話は小説や映画などフィクション作品の題材としては珍しいものではありません。 そのような話が現実にあるということ自体が驚きです。
「猿の手」でもそうですが、こういったものは良くないので、さっさと処分するに限ります。 とは言うものの、自分の手にそれが巡ってきた、やっぱり使ってしまうんでしょうねぇ。
文章はもう少し細かい部分で整理する必要があるように感じました。 |
名前: C班 山田 ¦ 19:18, Saturday, Apr 17, 2010 ×
「猿の手」的なお話ですが、結末で、家族がまだヒトガタを捨てていないという事実に厭な心持になりました。 |
名前: 丸野都 ¦ 20:15, Monday, Apr 26, 2010 ×
ああ、嫌な話です。後日談も聞きたいところですが、封じた方が良いものでしょうね。 代償と共に願いをかなえるのは他に類話がありそうです。 それにしても内側を破壊する怪異というものは恐ろしい限りです。 文章も難無し。
ああ、後日談も聞きたい、けど嫌な予感しかしない…。 |
名前: 捨て石 ¦ 22:24, Wednesday, Apr 28, 2010 ×
ネタ・恐怖度:2 文章・構成 :0
まさか「日本版・猿の手」がこんなところで現れようとは。 願いと対価が、必ずしもゼロサムに成り得ていない点が興味深い。本来自分が所有していたものならいいが、そのままでは手に入り得ないものを望むと、命に関わるほどの代償を伴う、ということなのだろうか。現実は物語のようにはいかない、という典型である。 狂気に走りつつある父親の姿はもちろんだが、これを遺した祖母もまた不気味である。何のためにこのヒトガタを作り上げた(あるいは入手した)のかが全く読めない。この呪具の性質からするに、明朗な目的でないことは確かなようである。 相当に根が深い話であるように思う。
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名前: オーヴィル ¦ 23:05, Thursday, Apr 29, 2010 ×
実に酷くて厭な話。 雪崩の如く襲いかかる災い。読者に余計な考えを与える隙が無い。 最後の呟きはもう一工夫あればよかったですね。 ヒトガタに狂わされた父の心は理解できますが、淡々とした語りがここだけ効果が薄かったと思います。 |
名前: しまうま ¦ 21:37, Friday, Apr 30, 2010 ×
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