超-1/2010審査用チェックリスト
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小学校2,3年生の頃の話だ。 私が通っていた小学校は丘の上にあり、同じ学区の中学校に隣接していた。中学校のグランドとこちらの校舎の2階とが大体同じ高さで、敷地はフェンスで区切られていた。ハンドベースで大暴投したボールが向こう側まで飛んでいってしまい、中学生に投げ返して貰ったのを覚えている。 私は授業中、窓際の自分の席から、よく中学校のグランドを眺めていた。
ある晴れた日、三時間目のことだったと思う。 退屈紛れに中学校のグランドを一瞥すると、妙なものが建っていた。 大きさは建売住宅ほど、シルエットは三角形。表面を藁が覆っている。 それは歴史マンガで見た「竪穴式住居」に似ていた。 学ランの男子中学生が、連れ立って出たり入ったりしている。 おそらく中学生の体験学習だろうと、私は結論付けようとした。 だが、何かがおかしい。 上のほうの一箇所だけ藁が葺かれておらず、色が違う。 凝視すると、そこには顔があった。 竪穴式住居に見えたのは、とんでもなく巨大な人だったのだ。 肌の色は白っぽい灰色。うっすら眼を開けたどことなく眠そうな表情だ。 頭が不自然に大きい達磨のような体躯を、笠と蓑ですっぽりと覆っている。 あれは一体何だろうと首を捻る私の眼前で、更に不可解な事態が起きた。 大きな人が、まばたきをしたのだ。 (アレは生きている) 息を呑んだ瞬間、大きな人が動き出した。眠たげな表情のまま横を向き、中学校の校舎のほうへ滑るようにゆっくり向かう。 私は大声を上げるタイミングを逸し、ただ其の様子を食い入るように眺めていた。 大きな人の足元を、中学生が笑いながら潜り抜けている。というより、気づかずにぶつかってはすり抜けているのだ。あれだけ巨大なものが動いているのに、誰も気づいていない。こちらでもあちらでも。 やがて校舎にたどりついた大きな人は、そのままの速度で壁にめり込み、完全に姿を消した。 授業終了のチャイムが鳴るまで、私は呆然とその壁を眺めていた。 その後、事あるごとに向かいの中学校を注視したが、ついぞ大きな人を目撃することはなかった。 たった一度きりの経験である。
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» [超−1]【+1】体験学習 [幽鬼の源から] × ネタとしてはかなり希少な部類、こういう姿態の巨人の目撃談というのは記憶にない。 それ故に、目撃内容がきちんと一通り書かれているだけでプラス評価できる内容となっていると言える。 しかし全体的にこの巨人についての描写が不足している感は否めず、たとえば“竪 .. ... 続きを読む
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» 【+1】体験学習 [【超-1】講評専用ブログ 〜闇夜に鴉がにゃあと啼く〜から] × 三角形の藁葺きという事は、雪んこみたいな出で立ちか。屋根と見紛うくらいだから、従来の被りが浅いものではなく、フードのように肩まですっぽり覆う笠を被っていたのやも知れぬ。足下の記述がないところをみると、足まで蓑で隠れていて見えなかったのだろう。それは「 .. ... 続きを読む
受信: 22:23, Friday, Feb 19, 2010
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受信: 22:58, Friday, Feb 19, 2010
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受信: 11:10, Sunday, Feb 21, 2010
■講評
巨人伝説がある地の話なのでしょうか。どっかの神様かもしれませんね。 のどかな感じでほっこりとした気持ちに。 |
名前: 捨て石 ¦ 14:01, Thursday, Feb 11, 2010 ×
文章力 0 稀少度 +1 怖さ 0 衝撃度 0
土地の守り神でしょうか。小人の話はよく見ますが、大きな人の話は殆どありません。 文章で読むとなんて事はない話なんですけど実見するとやはり衝撃的なんでしょうね。 |
名前: つなき ¦ 15:16, Thursday, Feb 11, 2010 ×
これはなかなか珍しいものを見ましたね。 でいだらぼっち的な何か……にしてはちょっとコンパクトサイズか。 他にも同じようなものを見た人はいないんですかね。 ちょっとその中学校にも、そういった話がないか、取材して頂きたかったところですね。
さて、文章の方ですが、全体的に落ち着いた雰囲気が内容とマッチしていて良いとは思うのですが、ちょっと描写不足感があり、この巨人がどういう状態で三角形に見えていたのか等、イメージし辛いところが多々ありました。 この話の肝でもあるので、男なのか女なのか、どういう顔立ちなのか、座っていたのか立っていたのかそれすらも解らなかったのか、この辺りを、この手の“視た”系の話においては描写を濃くする必要があるかと思います。
文章:0 希少性:1
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名前: ていさつUFO ¦ 19:56, Thursday, Feb 11, 2010 ×
初読で巨人の風貌が今ひとつ理解できなかったが、描写を何度か読み返してようやく理解できた。 マタギや雪ん子のような身なりで、三角錐のように広がった蓑が竪穴式住居と似ていたという事か。 それがようやく理解できてから、この話の希少価値もわかった。 何故グラウンドにそんなものがいたのかが気になる。
冒頭の立地関係や怪の風貌についての描写がより簡潔で飲み込みやすいと、より良くなると思われる。 |
名前: amorphous ¦ 21:41, Thursday, Feb 11, 2010 ×
誰も気がついていない所を見る限りでは、筆者はただたんに目の錯覚、幻影を見たとしか言えないだろうから。 |
名前: 天国 ¦ 22:03, Thursday, Feb 11, 2010 ×
文章1 内容1 怖さ0 ネタ1
文章:不思議なものの描写が丁寧でわかりやすい。大きな人とそれに気づかない中学生の表現がもう少し工夫がほしかった。
内容:シルエットが三角形ということは大きな人の頭は玉ねぎ型ということだろうか。凝視したときに見えた顔はその大きな頭のどの位置にどんなふうにあったのだろう。眠たげな目以外に口や鼻はどうだったのだろう。
怖さ:怖くいない。不思議な話。でもこういったほんわかした感じの話は好きだ。
ネタ:油すましだ、と思った。油すましってこんなに大きかったんだ。もっと小さいかと思ってました。しかし、作者さんの故郷は周囲が山など自然に囲まれた地域なのだろうか、それともビルや工場の地域なのだろうか。 |
名前: ぬんた ¦ 23:05, Thursday, Feb 11, 2010 ×
ほほう、一寸木綿の次はだいだらぼっちが。いや、大きさから言うと中だらぼっちぐらいかな。蓑というものを知らない人には想像し難い姿かもしれません。何度か読んでようやく情景が浮かびました。そこをもう少し工夫すると、とても良い妖怪譚になったかも。 ネタ・1 構成・0 文章・0 恐怖・0 |
名前: 一反木綿豆腐 ¦ 15:56, Friday, Feb 12, 2010 ×
おおー。何だこれ。学校に棲んでるのか!? たまには日光も浴びないと、ってとこでしょうか。 蓑をまとったデカい人(?)が校庭に!なんて初耳です。(+2)
しっかし本当にデカいなあ。竪穴式住居のイメージが強くて、「中学生ってこんなものも作れちゃうんだ」と思ってしまったのかな。中学生はすごく大人だと思い込んでいた頃を思い出して、ちょっと心が和むお話でした。実物見たらびびるだろうけど。 筆者さんの驚きも、出過ぎない程度に綴られているのが良いですね。(+1) |
名前: 雨四光 ¦ 02:53, Saturday, Feb 13, 2010 ×
個人的に、小さい人と大きい人の話は 大好きなのでこの話もウキウキして読ませて頂きました。 蓑をまとって頭がでかくて眠たげな表情・・ なんだ?鬼太郎の油すましか!?現代に現れたのか。 そんなにデカいものなのか? と、決めつけてしまったが その中学校のある土地が熊本であったなら ますます油すましの発祥の地と言われていることから 信憑性があるのでは?!
いつ頃の話なのかは解りませんが デカイのに害がなさそうで、ただ[いる]というだけそうな 妖怪?が現代も存在しているのか・・と 夢がいっぱいの話に嬉しくなりました。 (+3)
ただ、[体験学習]というタイトルは 初めに勘違いした竪穴式住居のことを指すのでは? と思います。で、あれば大きな人についてのタイトルのほうが 良かったのでは。。と。 それとも、授業中に不思議なものを見たという学習体験。 ということなのかな。 すいませんよくわかりませんが タイトルはもう少し解りやすいもののほうが 良かった気がします。(-1)
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名前: RON ¦ 16:11, Thursday, Feb 18, 2010 ×
肌色、表情、蓑笠をはっきり視認できた上に、まばたきまで確認されている。物質として、はっきりそこにあるのを見たという証ですよね。しかし「滑るように」移動したという描写では、巨大なものに相応しい重量感を感じることができません。ここで学生がすり抜けていたり、見えていなかったりしたということに納得がいきました。 白昼堂々と説明のつかないものをご覧になったということ、それがタイトルの「体験学習」の意味だとお察ししますが、文中には本来の意味での「体験学習」という単語が出てくるので、ダブルミーニング的に思えて面白かったです。
冒頭の「ボールを投げ返して貰っていた」という小さなエピソードが微笑ましく、この学校の情景がリアルに浮かんできてよかったです。
・臨場感+1 ・没入度0 ・表現+1 ・恐怖0 |
名前: ダイタイダイダイ ¦ 16:16, Sunday, Feb 21, 2010 ×
凄いものを見たのですね! 巨人、なんでしょうか? 何かの神様、とか?
描写がちょっと分かりにくかったのですが、希少度は高かったと思います。
小学校の時の記憶でも、鮮明に残ってしまうほど、インパクトのある光景だったと思います。
怖さはないけれど、不思議譚という感じで読ませていただきました。 |
名前: 鶴斗 密喜 ¦ 22:10, Wednesday, Mar 03, 2010 ×
誰も気がついてなくても妖怪はいるし、一人でも語る人がいればそれは立派に怪異であるから。 |
名前: 極楽 ¦ 12:49, Thursday, Mar 04, 2010 ×
竪穴式住居に似た人の顔というのがちょっと想像が出来にくかったです。 でもそういうとき、声を上げたりなかなか出来ないものだったりするのかなと思います。
文章=−1 怪異=0 心情=0 合計=−1 |
名前: 鏡餅 ¦ 12:08, Tuesday, Mar 09, 2010 ×
中だらぼっち(笑)ちょうどいい呼称ですね! タイトルはダブルミーニングでしょうか。 巨大な物体を、しかも昼日中に目撃する話は珍しいです。 しかし、見たものの凄さを明確に描ききれていません。 竪穴式住居だと思ったら大きな人だった…という気づきの衝撃が、もっと欲しかったです。 恐怖を与える類の話でない以上、文章の研磨はより重要だと思いますよ。
文章‐1 構成+1 希少性+1
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名前: ランプ ¦ 11:48, Wednesday, Mar 10, 2010 ×
文章0 恐怖0 希少1 魅力1
イメージの中で顔は達磨に固定されてしまい、可愛いと思ってしまったのですが、それはやっぱり人の顔だったんでしょうか。 うーん、面白い話なんですが、描写がわかりにくかったです。 見たものをそのまま他者にわかりやすく文章にして伝えるというのは、自分が既に見てしまってる上に客観性を欠いたものであるから、書き起こすのに非常に苦労するんですよね。 最初に思い込んだ「体験学習」が強く印象に残ってこのタイトルなのでしょうが、やはり少々違和感が。 もう一度読み返したいな、と思ったときに「あれ?タイトルなんだっけ?」となりそうなのですよね。
ちなみにその大きな人は、藁を日干ししてたのかな? 何だかほほえましい。 |
名前: 幻灯花 ¦ 06:20, Thursday, Mar 11, 2010 ×
個人的に『異形モノ』は好きです 建物のような生き物のようななんとも不気味な感じが伝わりました その大きな人の眠そうな表情が頭に浮びます |
名前: ゼリコ ¦ 21:38, Thursday, Apr 08, 2010 ×
怪談点・・・0 文章点・・・1
水木しげる先生の短編「原始さん」を思い起こしてしまいました。 なんだか意味不明のもので、ちょっとかわいくもあります。 それを見ただけの話なので、こういう場合その見たモノの描写がものを言うわけですが、それなりにきっちりと書かれており、好感が持てました。 世界が文明を捨てて原始に還る日は近いのかもしれませんね。 |
名前: C班 山田 ¦ 19:27, Saturday, Apr 17, 2010 ×
土地神様でしょうか? めずらしいものを見られましたね。 ”竪穴式住居”等のあやかしの姿の部分がよくわかりませんでした。 |
名前: どくだみ茶 ¦ 14:56, Saturday, Apr 24, 2010 ×
何事も無かったのだから、害の無い物なんでしょうね。これまた小ネタ配点です。 |
名前: 丸野都 ¦ 20:21, Monday, Apr 26, 2010 ×
ネタ・恐怖度:1 文章・構成 :-1
怪異自体は珍奇で、その正体を含めて興味をそそられる。ここまで大きな怪異が白昼堂々出現するという点もまた、話を稀有なものにしている。 惜しむらくは、その怪異のイメージが文章から掴みづらいと言う点である。距離があったとはいえ、「竪穴式住居」と「達磨体型の何者か」を見間違えるとは考えづらい。体に比して頭部が極端に小さいというなら話は別だが、どうもそうではないようである。 タイトルとの兼ね合いでこのような描写にしただろうが、伝えるべき点を見誤ったように感じた。
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名前: オーヴィル ¦ 22:57, Thursday, Apr 29, 2010 ×
記憶に残る体験談ですが、大きな人の姿が理解しにくかったです。 体験者の驚きと不可解さを再現しようと、最後まで読んでやっと全容を掴めるような説明にされたせいかもしれません。 |
名前: しまうま ¦ 22:01, Friday, Apr 30, 2010 ×
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