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聖職者
 毎年、夏になると思い出す人と言葉がある。

 二十年程前、まだ私が中学生の時に社会科の教科担任をしていた安藤先生。
一学年が十人ちょっとしかいないという田舎町だったから出来たのだろうが、先生は授業の流れを無視し、時折戦争について色々な話をしてくれた。先生の授業は一風変わっていて自前の資料や写真を教室に持ち込み、戦争の悲惨さ・悲しみ・怒りを切々と語ってくれた。

 ある日の授業中、戦争の写真を多数持ち込み『戦争の真実』について議論する時間が設けられた。
一枚の写真を提示する。そこには銃剣を構える一人の日本兵と、その脇で怯える敵国の一人の一般人が写し出されていた。
 先生は私達生徒に聞いてきた。
「はい。この写真を見て、悪いのは誰でしょう?」
私達は口々に
「日本人が悪い」「無抵抗な人に銃を構えるのは卑怯だ」等と答えた。
先生は苦笑しながら
「この写真にはもう一枚の真実があります。これを遠くから撮った写真がこちらです」
そう言うと、もう一枚の写真を取り出して私達に見せた。
その写真には、先程の写真とまるっきり同じ構図の二人が写っている。ただ、違っていた点は先程の日本兵を取り囲む様に五人の敵国の兵士が銃を構えて日本兵に狙いを定めていた。
先生は真剣な面持ちで、
「これが真実の写真です。最初の写真だと、無抵抗の人間を襲う日本兵という構図ですが、二枚目の写真になると日本兵の方が多数の兵士に取り囲まれ、今にも殺されそうな感じです。こちらの写真になると怯えている一般人の姿はあくまでもパフォーマンスに過ぎません。戦争というのは昔から情報戦というのがよく用いられていました。最初の写真を敵国の人が見たらどう思うでしょう?」
私達は何も答える事が出来なかった。それを見て先生は
「間違いなく日本人は野蛮だ。残虐だ。卑怯だという考え方が生まれます。そうする事によって日本人を何としても殺すという部分で、兵士の士気を上げるという効果が生まれます」
私は一つの疑問を先生にぶつけた。
「それじゃあ卑怯なのは敵の方じゃないですか?何でそんなずるい事をするんですか?」
先生はまた苦笑して
「それが戦争なんです。ただ勘違いしないで下さい。同じ様な事を日本軍もしていました。そのようなことについて皆さんはどう思いますか?」
 教室中がシーンとなり、誰も何も言えなくなった。先生は先程よりも真剣で険しい顔つきになると
「今日、先生があなた達に気付いて欲しかったのは、一つの物事を見たり聞いたりしても、それが全てだと思わないで欲しいのです。自分の今までの知識や経験を全て生かして、色々な角度から考えて結論づけるようになって下さい」

 そこまで先生が話した時、授業終了を告げるチャイムが鳴った。
号令の後、私は急いで教室から飛び出し先生を呼び止め、どうしてそんなに戦争の写真や話に詳しいのかを尋ねた。
その事はずっと私の心の中で疑問に思っていた事だった。
「それじゃあ放課後にでも職員室に訪ねてきなさい。理由を教えてあげますから」と言うと、先生はゆっくりとした足取りで職員室へと戻っていった。
放課後になり私は早速職員室に行った。今の教育現場だと難しいと思うが、当時は当たり前の光景で少しでも疑問や相談があると教師は納得のいくまで生徒に付き合ってくれたものだし、みんなで教師の家に遊びに行ったりする事もしょっちゅうだった。

 先生は良く来たなという感じでパイプ椅子を一つ用意してくれ、話し始めてくれた。
「先生は第二次世界大戦当時、まだ小学生だった。田舎で生活していたこともあり、特に大きな空襲等は体験していなかったんだ。ただ戦争が終わると、近所に住んでいたお兄ちゃんやおじちゃんは一切帰ってこなかった。戦地で戦死をしていたんだよ。残された家族が悲しんでいる姿を見て、戦争はいけないものなんだと子供心に思ったんだ」
先生は記憶を呼び起こすように、一つ一つゆっくりと話してくれた。

「そのうち大人になり社会科の先生になると、戦争の授業というのがどうしても絡んでくる。そこで教科書以外で教えられる事がないかと思い始めたんだ」
私はいつになく悲しそうに話す先生の話をただ黙って聞いていた。

「先生は休みの日に戦争被害者の家を訪ね歩くようになった。デリケートな問題だから一度訪問した位で話を語ってくれる事などまず無かったけれどね。ただ何度も訪問する内に少しずつ話してくれる様になっていったんだ。そこで色々な写真やお話、遺品等を見る事が出来た。遺族の人のお願いは〈戦争の悲惨さを後世まで伝えて欲しい〉という事だけだった。先生が何度も足を運んだそのお家で一番心に残った物は遺書だったんだ。その遺書には家族への想い、御国の為に戦いますという強い決意、そして最後に靖国で会おうと書かれていたんだ」

「靖国神社の事ですよね」と私が答えると
「そう、その靖国神社。兵士は自決覚悟で戦地に赴く時、合言葉のように〈靖国で会おう〉と言っていたんだ」

 先生は一呼吸おくと話しを続けた。
「…そんな時、先生が数件お邪魔させて頂いていた中の、ある家で事件が起きたんだ」
「事件?」
「まぁ…お前なら話しても大丈夫か…」
 昔から私が心霊現象などに対して興味がある事を知っていた先生は、座っていた椅子を私の方へ近づけてきて、姿勢を正した。

「前回お邪魔した時に、まだ見せてない写真が眠っているからと。…ただそれはもう見るのも辛いから納屋の奥に仕舞い込んであるということで、後日改めて見せていただく約束をしていたんだ」
静かで重い空気が流れる。

「でも、そこのお家は内陸の方でね。海を渡って行かなければならないから、なかなか先生も行けなかったんだ。で、やっと休みをとってそのお家に行ったら…」


――話をしてくれたご主人の葬式の真っ最中だったという。
何も知らずに訊ねて行った先生に対して最初は好奇な目で見ていた手伝いの人や弔問客も、今までのご主人との経緯を説明し、せめてお焼香だけでも、というお願いも聞き入れてくれた。

 ご主人の死因は自宅の鴨居に首を吊っての自殺だった。
遺書も何も残されていなかった為、他に詳しい事は何一つ分からなかったが、奇妙だったのは「首の骨が折れていた」という点だった。
鴨居からの首吊りで首の骨が折れるというのは、余程の力が掛からない限りは、まず有り得ない事らしい。


「死因を聞いて茫然とした先生に奥さんが話し掛けてきたんだ。『主人から預かっているものがあります』とね。…そう…あの見せてくれる約束をしていた写真だったんだ」
 そこまで聞いて、私は子供心に納得がいかなかった。
戦争当時の写真や資料はそう簡単に手に入るものでは無いし、持っていたとしても検閲やら何やらで処分、又は取り上げられるという事を知っていたからだ。
その疑問を先生にぶつけると、「そうだね」と言いつつ説明を続けてくれた。
「そのご主人はカメラマンだったんだ。…終戦間近、というドサクサに紛れたり、上手い具合に仲間内で協力しながら隠すことも出来たそうなんだよ」

 ふうん、というように納得した私に先生は話しを続けた。

「で、奥さんが言うには『今は色々ごたついていますので、後で必ずお送りします。何度も足を運んでいただくのも申し訳ないので…』ということだったんだ」
先生は「もしかしたら自分が色々話を聞き出していた所為で、つらい事を思い出させてしまったんではないか」と自責の念に囚われていたこともあり、奥さんの申し出に素直に従った。

 後日、その奥さんから分厚い茶封筒が送られてきた。
中身は今までに見た事もない写真の束だった。
「もうね、こんな残虐な写真は二度とお目に書かれないんじゃないか、というような写真ばかりでね。今まで色んな伝手や、何百万もかけて集めてきた写真や資料の中でも群を抜くほど目を背けたくなるようなものばかりだったんだ」
見せて欲しい、という私の願いは速攻却下された。
「子供に見せていいものでは無いんだ。……あれは…慣れている人でも…見られたものではない…いや、見ては…いけない」
今までに見た事も無い先生の悲痛な顔。
一体どれほどの写真だったのかは知る由も無いが、それ以上何も言えなくなった。

「写真が送られてきて、お礼の手紙は書いたものの、さすがにそれっきり、という訳にもいかないからね。数ヵ月ほど経ってから、ご主人のお墓参りも兼ねてそのお家を訪ねたんだ。そしたら…」

――今度は写真を送ってくれた奥さんの葬儀の真っ最中だった。
死因はまたもや自宅の鴨居に首を吊っての自殺だった。
ご主人と同じ鴨居・同じ場所で……同じように首の骨が折れた状態……
そしてやはり遺書も何も残されてはいなかった。

「本当に…二度行って、二度とも葬儀の真っ最中だったんだよ。事前に連絡を取って行ったわけでもない。たまたま休みが取れて、それで行ったら葬儀だったんだ」

 小さな田舎町ということもあって、さすがに村の人達は先生の顔を覚えている人も多かったが、あまりの偶然に皆死神でも見るような目つきで先生を見ていた。
親族が誰もいないという事で、村の人々達だけで葬儀を執り行なっていたようだった。
それでもお焼香をさせていただき、今までの経緯を説明すると、戦争に対しての先生の考えに賛同してくれた人も多く、内輪の話の中に入れてもらうことが出来た。

「……アンタ、『あの写真』持ってるんじゃろ?」
葬儀の一切を取り仕切っていた村の長老らしき人が酒の席で突然話し掛けてきた。
「先生はね、『あの写真』って言われてもどの写真のことだか分からないし、戦争の写真だと思って返事をしていたんだよ。そしたら…」

「早く処分するなり何なりすることだ」
 吐き捨てるようにそう言われた。
訳が分からない先生に
「前もな、アンタみたくどっかの学者さんだか先生だかが来てな。見ていったんじゃよ。『あの写真』を…。その後は…首を吊って自殺したんじゃ…ホレ、そこの林でな」
クィッと外の林に向かって首をやった。
「同じように首の骨がボッキリ折れた状態でな。…見つけた時には首が伸びきっておったわ」
苦々しい顔をしながら説明する。
無言でいる先生に長老らしき人は
「ともかく一刻も早く写真は手放した方が身の為だ」
そう言って去って行ったという。

 そこまで言うと先生は大きく溜息を吐いた。
「でもね、おかしいでしょ?…だって先生はあの写真を持っていても何とも無かったんだ。
だからそのまま持っていたんだよ」

 しかし、それから少しずつ異変が起きた。
資料や写真は押入れの中に大事に保管していようと、アルバムに挟んでようと色褪せてきたり劣化が進んでくる。
その為、年に一回お盆の頃に供養の気持ちも込め、「陰干し」のように外へ出し、風に当てたりしていたそうだ。
勿論その中には「あの茶封筒に入った写真」も混ざっていた。
「先生はね、一つ一つ見ながら『あぁ、この構図に似た写真はこの間教科書に新しく掲載されていたなぁ』とか『これに近いのは新聞にも載ったな』とか思いながら見ていたんだ」

 その内の一枚。
銃を持った一人の日本兵の写真。足元にはたくさんの遺体が写っている。写真から察するに、この日本兵が殺した人達だと思われた。
それは「茶封筒の中にあったうちの一枚」だった。

「先生ね、それ見て『あれ?』って思ったんだ」
一呼吸の後、まるで何かを思い出すように話し続ける。

「先生が初めて見たときはその写真には日本兵は一人しか写っていなかった筈なんだよ。…でもね、その時に見たら兵士の後ろに4人の日本兵が小さく写っていたんだ」
聞いているうちに何故か全身に鳥肌が立った。
「でも、その時は気のせいかな?何かの写真と勘違いしているのかな、って思って敢えて気にしないようにしたんだよ」

 ところが…翌年。
またお盆の時期に例年と同じく資料や写真を陰干ししていた時の事。

「またあの写真を見るわけだ。…そしたら今度は…手に何も持っていなかった筈の4人の兵士が銃剣を持っていたんだ。…それもな…銃口は一斉にカメラマンの方を向いていたんだ…」

 昨年の事もあり、先生はその写真を隅々までしっかりと記憶していた。
先生は断言した。
「絶対に銃剣は持っていなかったんだ」と。


「それから…先生何だかその写真が怖くなっちゃってな。かといって手放そうとは思わなかった。だから…」

 近くの寺院から御札を貰い、半紙に包んだその「写真」の上に貼り付けておく事にした。
――御札を付けた写真は木箱に保管したまま、押入れの奥深くへと封印され、二度と日の目を見る事は無くなった。

 無言で話しを聞いていた私に、先生は言う。
「あの写真と死の因果関係とかは分からない。…でも触れてはいけないものも、世の中にはあるんだなって先生は思ったんだ。ただ…先生はこれからも戦争のことは伝えていこうと思っているし、そうしなければいけないと、それが亡くなった人に対して先生ができる精一杯のこと…そう思ってるんだよ」

 先生はそれからも戦争の事を皆に語り続け、時が経ち、校長になってもそれは変わらなかった。

 私は先生から「戦争」のことだけではなく、死者に対する畏敬や畏怖の念も学んだのだ。




07:54, Sunday, Feb 14, 2010 ¦ 固定リンク ¦ 講評(20) ¦ 講評を書く ¦ トラックバック(4) ¦ 携帯


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文章0 怪異0長めの文章でしたがあまり長さを感じませんでした。しかし、もっと整理できる箇所や雰囲気ではなく、表現として重すぎる縺... ... 続きを読む

受信: 07:16, Saturday, Feb 27, 2010

■講評

 この話には独特の重みを感じる。
 写真の正体と、それが何故同胞に対して障りを起こすのかはわからないが、知ることで更に気が重くなるほどの事実がある予感がする。
 文の締めくくりから、まだその教諭(校長)は息災なのだろうと思うが、同じ奇禍に見舞われずにいると言うことは、氏が語り続けることを義務づけられたとも言えそうだ。

 後半部に関しては全く問題はないのだが、前半の写真の見え方、印象操作に関する話については不要に感じた。
 氏が授業を脱線して戦争悲話を始めることが多く、それに話者(=投稿者?)が疑問を持つという程度の導入で良かったのではないだろうか。

名前: amorphous ¦ 20:19, Sunday, Feb 14, 2010 ×


文章力  +1
稀少度  +1
怖さ    +1
衝撃度  +1

長文だが苦にならなかった。
戦争の話は難しい。左右どちらに寄ることもなく中庸の立場で考えたく思っている。そうして犠牲者への鎮魂の思いを大切にしたい。
安藤先生のような真摯な姿には頭の下がる思いだ。
欲をいえば「あの写真」というのがはっきりしない。読み進めていくと特定の写真だとわかるが、ちょっと表現が曖昧かな。

名前: つなき ¦ 20:25, Sunday, Feb 14, 2010 ×


この先生の戦争の悲惨さを伝える姿勢はすばらしいが、この心霊写真との因果関係が見受けられないし、最初に銃口を向けていなかったのが、向けていたりと単なる勘違いかもしれないし、その心霊写真を持っていた家の夫婦が、両方とも同じように同じ場所で自宅の鴨居で首をつって自殺するだなんて、奇遇ともとれるから。

名前: 天国 ¦ 23:06, Sunday, Feb 14, 2010 ×


うーん。
かなり悩みながらのこの点数です。
怪異自体は「変化して行く写真」というパターンですから、よく聞く種類のものと言って良いでしょう。
ただ、問題の写真がどれかが分かり辛い点、また首の骨が折れる、というもう一つの怪とのつながりが少々不明な点に疑問が残り、さらに前半の印象操作についての内容は本編とは特に関係しないように感じましたので、悩みながらもこの点数になりました。

名前: 捨て石 ¦ 01:05, Monday, Feb 15, 2010 ×


考えさせられる話しではありますが、私が考える怪談ではありません。特に、前半の情報操作の場面は本題に全く関係ありません。戦争の話は取り扱いが非常に難しいと思います。そこに私意が見え隠れした瞬間、それは『戦争に関する良い話』で終わってしまいます。この話も、できれば写真の怪異に絞りこんで、引いて引いて書くべきだったのではないでしょうか。
ネタ・0 構成・0 文章・0 恐怖・0

名前: 一反木綿豆腐 ¦ 19:59, Monday, Feb 15, 2010 ×


4人?最後の一人は先生だった可能性もあるのか。お札に守られたのでしょうか。
先生の手元に置かれるようになってから徐々に姿を現す意図は何なのだろう。
初めから写っていたうちの誰かが、何かを訴えているのかもしれませんね。
それでも3人巻き込むのはやりすぎで怖いな。
「見聞きしたものが全てだと思うな」という先生の教えが、ラストでの言葉に繋がっているような気もします。先生は怖い写真として片付けずに、写っている人たちの意図を汲み取ったのかなと。
ううーん、「かもしれない」「気がする」しか出てこない。謎だらけ。(+2)

先生の言葉ひとつひとつに温かみがあって、独特の雰囲気があります。
が、そこに頼りっきりのようにも見えます。
ここまで覚えているのなら、先生の視点に切り替えて地の文で書いてもらった方が写真の怖さを感じられたかも。
正直、二十年前に聞いた先生の語りををここまで再現できるものなのか?とも思い、かなり味付けをしてあるのではないかという疑念も抱きました。(±0)

情報戦(?)の授業のやり取りと、事件の起きる家に着くまでのいきさつは手短にまとめても差し支えないのでは。
戦争の重みにも目を向けるよう、私が操作されているような気分になりました。(-1)
あ、戦争そのものを軽視してるわけではないです。あくまでもバランスとして。

名前: 雨四光 ¦ 12:37, Tuesday, Feb 16, 2010 ×


なかなかためになる話でした。
立派な先生ですね。
写真の構図が解り難い等、文章の粗は目に付きますが、読んでいて引き込まれ、著者様の先生を尊敬する気持ちもよく伝わってきました。
それはそれで良いのですが……、やはり気になるのは、怪異の小ささでしょうか。
冒頭、銃剣を構える日本兵の写真のくだりが怪異に活きてくるのかと思っていましたが、そういうわけでもなく、首吊りと銃剣をカメラマンに構える写真との関係性も曖昧で、全体的にぼんやりとした仕上がりになっている、という印象でした。

文章:0
希少性:0

名前: ていさつUFO ¦ 19:07, Tuesday, Feb 16, 2010 ×


良い師に巡りあいましたね。
怖くて、不思議で、ちょっと切ないお話でした。
長文でも読みやすかったです。

名前: しゅん ¦ 22:24, Thursday, Feb 18, 2010 ×


忌まわしいモノが宿ってしまった写真の封印を
解いてしまったが為か、3人が亡くなった。
最初に亡くなった[あの写真]を見た先生(学者)は
どうような経緯で見せてもらい、何時首を吊ったのか。
しかもその家の近くで。
そして長老は写真を見なかったのか。

写真の日本兵達は銃身を構え何の為に
また、何を怒ってその写真を見た人を死に至らしめて
いるのか。それとも別の何かなのか。。と
いろいろ疑問が湧いてきた。
どれも答えが出ないものでしょうけれど。

序文の先生の言葉は、タイトルにもあるように
先生を慕って尊敬する著者の気持ちから
絶対に入れたかったのであろう。
そんな、まさに聖職者と呼ぶにふさわしい先生と
巡り会えた経験は貴重な宝だと思う。
変化する写真やビデオ、絵画などはよく聞く話だが
背景に戦争という重々しいものがあることで
ずしりとくる話になっている。
文章も書き慣れているようで、長文にもかかわらず
一気に読めました。

文章力:1
怪:1
人物の魅力度:1








名前: RON ¦ 16:47, Friday, Feb 19, 2010 ×


大作すぎる。
削ることもできるけどあえて全部書きました、みたいな印象。

内容としては心霊写真とそれが関係してると思われる3名の自殺者の話で、その他の話はそこに至るまでの枕であり道徳の話でもある。実際身に覚えのある部分もあるし……。
直接的な怪異としては弱い部類ではあると思います。

文章は三点リーダが多いのが気になりました。

名前: b ¦ 22:28, Monday, Feb 22, 2010 ×


先生は選ばれてしまったんでしょうか。
先生の行ったことの何が、死者を納得させているんでしょう。
先生の背負ったものがものすごく重たく感じられてならないです。

名前: ぬんた ¦ 13:07, Tuesday, Feb 23, 2010 ×


冒頭から非常に興味を惹かれ、読み終えて初めてかなり長文だったんだなと気付くほどでした。怪談としても恐ろしく、また戦争を考えさられる場面についても勉強になりました。

写真の怪異ですが、素直に受け取るなら4人の兵士に祟られて死に追いやられたと読むのが自然でしょう。しかし「銃剣を向けている」という動きと「首を吊って、しかも首の骨が折れている」という状況がどうしても、しっくりこないんですよね。ひねくれた見方かも知れませんが、兵隊さんたちは銃剣をもって何者からか守ってくれようとしていたのではないでしょうか? 写真を手放したり、怖がって突き放したりしたので、亡くなった方たちはその加護を受けることができなくなった…とか。考えてしまいます。
日本兵が日本人に悪いことをするはずがないと思いたい、私の感傷で失礼しますが。

>色々な角度から考えて結論づけるようになって下さい
怪異自体も興味深いのですが、上記の一文に込められてるであろう先生の思いが一番胸に残りました。

・臨場感+1 ・没入度+1 ・表現+1 ・恐怖+1

名前: ダイタイダイダイ ¦ 15:10, Sunday, Feb 28, 2010 ×


写真と自殺の因果関係は見受けられなくても偶然では済ませられない薄気味悪さがあるから。

名前: 極楽 ¦ 12:25, Friday, Mar 05, 2010 ×


すごい作品だな、というのが第一印象でした。

戦争ものでも泣かせよう、だとか怖がらせよう、とかの気持ちでは無く、純粋に先生を尊敬し、その先生から学んだ事を怪異も含めてしっかりと書かれた、という感じを受けました。

最初の部分も削れたのに敢えて削らなかった。
そう思えてなりません。
この最初があったからこそ、尚更先生がどんな方だったのか。
なぜこの話を書こうと思ったのかが垣間見えたような気さえします。

あったることを書き出し、昔の授業のことでもそこまではっきりと記憶に残るほど強烈な思い出だったのだろうと思います。
だからこそそれを疑うような発言は先生にとっても著者さんにとっても失礼になってしまうと思いました。

怪異もしっかりとついてきている。
そして連鎖のような亡くなり方。
変化する写真。

先生の背負ったものはとても大きいものだと感じた作品でした。
私はこのお話に出会えたことに感謝したいです。
ありがとうございました。

名前: 鶴斗 密喜 ¦ 02:32, Saturday, Mar 06, 2010 ×


文章1 恐怖1 希少1 魅力1

著者の方はどのような思いでこの話を書かれたのかなと思いました。
時間をかけて、大切に書き上げた作品なのでしょうね。
1つの視点からだけでなく、様々な角度から物事を見るように…。
解っていてもなかなか出来ないことですが、まさにその通りなんですよね。
怪を求めるだけなら高評価は難しいかもしれませんが、非常に興味深いお話でしたし、先生のお人柄と著者様に好感が持てました。
文章力のある方なのにあえてほとんど削らずに書いたような雰囲気なのは、一人でも多くの方にこの先生の言葉を伝えたいという思いからなのでしょう。
怖いだけでなく、人情や歴史といった要素を多く含む作品は評価も分かれるでしょうが、たまにはこのような作品が形として残されても良いのではないかと思います。

色々考えさせられるお話をどうもありがとうございました。

名前: 幻灯花 ¦ 11:28, Saturday, Mar 13, 2010 ×


いろいろと考えさせられる話です
メッセージ性のある怪談だと思います
長文ですが、よくまとまっているので読みやすかったです

名前: ゼリコ ¦ 23:07, Sunday, Apr 04, 2010 ×


文章としてはとても意味のある、沢山の人に読んでいただきたい内容だと思います。
怪異も起こってはいます。
が、著者さんの先生への尊敬の念がそれ以上に入り込んでしまっており、怪異が埋没してしまいましたね。
著者さんもそれはよくおわかりの上で、それでもなお個人的な思い入れを世に発表したかったからこそ投稿なさったのでしょうが。

が、怪談話にはなっていないと思うので−1とさせていただきます。すいません。



名前: どくだみ茶 ¦ 16:37, Thursday, Apr 08, 2010 ×


怪談点・・・1
文章点・・・-2

戦争の悲惨さ、愚かさも理解しているつもりです。
どんなことがあっても戦争だけは決して起こしてはいけないし、どんな理由があっても戦争を肯定することはできないと私も常日頃考えております。

安藤先生が授業の中で二枚の写真を通じて語ったこと、物事は視点によって様々な事実を生むということも、これからの社会の中心的存在になる子供達に対して大人がしっかりと教えていかなければならないことだと思います。

人が成長する上で、教育というのは非常に重要であり、本物の教育者と呼べる人との出会いがあるか否かでその人の人生は大きく変わってくるでしょう。
そんな意味からも安藤先生が教育者として、人として、いかに素晴らしい人物であるか、「私」にどれほどの影響を与えた人物だったかはよく解りました。

ただ、ここは怪を競う場です。
この作品にも怪異は描かれていますが、全体を通して読んだ場合、それが怪談であると感じることは出来ませんでした。
私は、怪異が描かれていれば怪談として成立する訳ではないと思います。
また、怪異が描かれていなくても怪談は成立するとも思います。

この作品の場合、明らかに安藤先生という一人の教育者の姿を描くことに主眼が置かれており、書き手は怪談を書こうとしていたとはとても思えません。

作品自体の出来不出来に関わらず、そう思えてしまった以上、減点するよりありません。
「文章点」は文章や言い回しだけではなく、全体の構成や書き手が怪談を語る上での技量的な部分に対して点数をつけています。
この作品は文章や語り口自体だけならプラス評価をするところなのですが、書き手の怪談を語る意思があまり見えてこないため、マイナス評価とさせてもらいました。

名前: C班 山田 ¦ 16:34, Sunday, Apr 18, 2010 ×


これまた、個人的には判定が難しいな、と。前半の授業風景が無いと後半の心霊写真にまつわる怨念話だけになって、この話を書き残す意味がなくなる。しかし単に実話怪談として考えると、後半の怪異だけで十分であり、前半はいらないかもしれない。悩みましたが、私個人としては面白く読めたのでこの点数です。

名前: 丸野都 ¦ 21:07, Monday, Apr 26, 2010 ×


ネタ・恐怖度:0
文章・構成 :1 

話者である先生の言葉には重みを感じる。だが、ここまで文面を割いて語ることなのかと疑問に思えてくる。戦時のプロパガンダの重要性については読み物としては面白いが、怪談の枕としてはいかがなものだろう。
写真そのものを見せてもらえず、全てが先生の話の中にしか登場しないため、客観性に欠けるように思う。縊死と写真との関連性が、先生の場合には当てはまらなかった点が今ひとつしっくり来ない。見せてもらっただけの学者が首を吊るくらいの強い怨嗟を有しているハズなのに、見るどころか所有者となった先生だけが特段なにもせずとも回避できていたという点に拍子抜けしてしまった。

名前: オーヴィル ¦ 22:19, Thursday, Apr 29, 2010 ×


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