超-1/2010審査用チェックリスト
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「なんだぁ、これ」 暖房器具を扱う会社に勤務していた三鷹さんは、同行していた仕事仲間の小笠原さんと二人揃って絶句してしまった。 初春のある日、三鷹さんは「家をリフォームするついでに故障している暖房器の状態を確認して欲しい」というハウスメーカーからの依頼を受け、小笠原さんと共にある一軒の御宅へと向かっていた。 現場付近に着くと、既に大工やハウスメーカーの長場(現場の責任者)の車が道路脇に所狭しと駐車されている。 そそくさと足早にその御宅へと向かうと、目の前にあったのは塀に囲まれた一軒の家。 築25年くらいは経っているだろうか。見た目はごく普通の木造二階建て。 しかし二人がまず最初に驚いたのは、1メートル程の高さの塀の上にあったもの――。 猫除けと思われる1.5リットルのペットボトルになみなみと水を溜めたものが、塀の上に規則正しくずらりと置いてあったのだ。 二、三個ならまだ判る。 しかし…家を囲むように仕切られた塀の上じゅう、寸分の隙間なく綺麗に並べてあった。 確かに似たような家を見た事は、ある。 しかしこの地域は住宅密集地。近所を見回してもそんな事をしている家は一軒も無い。 そのため、そこの御宅だけが異様に目立っているような印象を受けた。 「余程の猫嫌いなんだな」 そう二人は思った。 門をくぐり玄関へと向かう。その横にはそれこそ猫の額ほどの小さな庭があったのだが、そこにも隙間なくペットボトルが置かれてあった。 それこそ足の踏み場も無いほどに……。 その徹底された光景に二人は唖然とさせられた。 「あぁ、暖房屋さん、やっと来たか」 三鷹さん達の姿を見つけた長場が家から出てきて話し掛けてきた。 「あのね、判ってると思うけど、聞かれてもお金の話とか詳しい話は直接お客さんにしないで、まずは俺を通して言ってくれよ」 確かに先に説明してしまうと金銭がらみ等で言った言わないのトラブルになることも多々ある為、長場を通してから言うのが暗黙の了解となっていた。 「えぇ。判ってます…けど、どこをどう直したらいいのか、会社からも説明が一切ないままなんですけど…」 一口に「直す」と言っても、ボイラーを直すのか、ただのメンテナンスなのか、部屋全部のパネルヒーターを丸ごと取り替えなければいけないのかは、ある程度教えてもらってからいつも作業を行なっていた。 質問を投げかけるが、長場の方は他人事で「そんなの家に入ってみたらすぐ判る事でしょ」 と要領を得ない。図面で設置箇所を確認しようにも「持っていない」という答えまで返ってくる始末だった。 仕方なくある程度の機材と工具を持ったまま、家へと入って行く。 「うっ」 一歩玄関に足を踏み入れた途端に、息も出来ないほどのカビの臭いが二人の鼻をつく。 古い家なら多少の臭いはあるにしても、尋常では、ない。 それに物凄い湿気。空気全体が重く、どっしりと体全体に覆い被さってくるような何ともいえない嫌な感じに包まれた。 「何か…嫌っすね、ここ」 雰囲気を察したのか、小笠原さんがボソリと呟く。 家人を探すと、どうやら奥さんらしき人が長場と外で話しをしているようだ。 ならば、と真っ先に大工達に挨拶をする。 ここで大工の機嫌を損ねでもしたら、ひどい場合出入り禁止となってしまうこともある為、非常に気を遣わねばならなかった。 「何だ、今頃来やがったのか。おせーなぁ」 嫌味を受け流し、愛想笑いを振りまきながら、場所を移動する。 その歩いている間にも、湿気のせいなのか床全体がぐにゃぐにゃとしていた。 実際「うわっ!」という叫び声が聞こえたと思ったら、他の大工が床を踏み抜いていたほどだった。 「フローリングなのに…一体どれだけの湿気だっつーの」 またもや小笠原さんが小声で話す。 …確かに…湿気もそうだが三鷹さんは家の中でも三度驚いた。 とにかく酷い散らかりようなのだ。 階段の上には歩く場所もないほど本や、洗濯物や、果ては缶詰などの食べ物すらも乱雑に置いてあった。そしてどこを見ても天井まで高く積まれたダンボールの類。 一体どこをどうすればこんな風にできるのか。よく今まで床が抜けなかったものだとも思った。 今までも散らかっている家は嫌と言うほど見てきた三鷹さんも、ここまで酷いのは初めてだった。 カビの臭いに加え、家の中の湿気の臭い、そして食べ物の腐ったような臭いで気分が悪くなり、胃の中から酸っぱいものが込み上げてくる。 「ちょっと、アンタ達が暖房屋?!」 けたたましい声で話し掛けてきたのはそこの奥さんだった。 見た目は50歳くらいだろうか。貫禄のある身体つきをしていた。 長場との話が終わったらしい。三鷹さん達の挨拶を遮るように凄い剣幕で捲し立てるように言う。 「冬の間中、寒くて寒くて仕方が無かったんだからっ! ガタガタ震えながらファンヒーターで我慢してたんだからね! しっかり直していってよ!!」 図面が無い為、部屋の状況を聞こうにも、 「ボイラーを置いてある以外の部屋には勝手に入らないでよ! 奥にはお婆ちゃんがいるだけだし、二階は使ってないんだから見ることないでしょっ!」と怒鳴られる。 どんな大きさのパネルヒーターなのか確認が必要だと説明しても聞く耳を持ってくれないという有様だった。 終いには「あたし、これからちょっと出掛けるから! 後はちゃんとやってよねっ!!」とだけ言うと、さっさと家から出て行ってしまった。 「なら、冬の時期に言えばいいのに…なんでこんな温かい時期になってから言うんだか…」 またもや小笠原さんが呟く。 仕方なくボイラーが置いてあるという洗面所へと向かう。 見てみると、何年も点検すらしていないようで埃だらけ、あちこち錆びだらけという酷い状況だった。 「これじゃあもう直す、とかいう範囲じゃないね」 などと話していると、長場がやってきた。 「どう? どんな感じ?」 「いや、どうもこうも、前板外したら中の釜に穴が開いてますよ。部品の方も既に製造されていない物なので…これもうだめですわ。全面的に交換ですね」 その言葉で長場がホクホク顔になる。 「でもボイラーがこうだったら、多分ほかのパネルも取り替えないと……凄い金額になりますよ?」 一応確認の為、長場にはある程度の金額を言う。長場といえばその金額を聞いて尚更ほくそえんだ顔つきになった。 「お金はね、大丈夫、大丈夫。ここんち、コレ、あるから」 そう言いながら長場は親指と人差し指で丸く輪を作った。 「ここんちね、保険金入ったからお金、がっぽりあんの」 「保険金?」 「そう、ここのご主人と息子さんがね、ここ半年の間に続けざまに事故って死んでんの。…だからその保険金で家をリフォームする事になったんだから」 浮かれた様子の長場をよそに、何とも言えぬ嫌な予感が三鷹さんの脳裏を横切った。 結局、図面は後で会社にファックスで送ってもらうという形で、一先ず仕事を終えた。 さあ帰ろう、となった時、大工の一人から声を掛けられた。 どうやら腐った畳を処分するのに、トラックまで運ぶのを手伝ってくれとのことらしい。 断るわけにもいかず、大工と共に和室へと入る。 「うっ」 またもや顔をしかめる。 他の部屋以上の湿気に加え、カビ臭さもまた一段と酷く、殆んど光も入ってこない所為か部屋全体も重く暗い。 何度も往復し、ある程度畳を運び終えたところで、敷地から少し離れた道路脇で一服休みを取ることになった。 「なぁ、知ってるか? ここの家のこと」 一番気さくで話しやすい大工の棟梁が話し掛けてきた。 見てはいないが、どこかの部屋にお婆さんがいるとの事で皆ひそひそ声で話をする。 「何かよー。保険金で家をリフォームってか?…何だか気がのらねーなぁ」 棟梁の言葉に他の大工が笑って答える。 「まぁた始まった、棟梁。そんな気にするような事じゃないっしょ」 「馬鹿、長いことこういう仕事やってると大体判るんだよ。…あるんだよ実際。手をつけちゃあいけない所っちゅーのはよ。…大体見たか? この家のあのペットボトルの数」 三鷹さんは塀の上と庭に置いてあったペットボトルを思い出していた。 「あれはなぁ、異常だぞ。そしてここ半年で二人も死んでんだぞ? …俺は気が進まねーな、何だかよ…何かあるぞ、絶対」 皆がシンと静まり返る。 「まぁ、とにかくアレだ。みんな怪我だけはしないように気を付けることだ」 そう棟梁が締めくくった途端、 「うわあ!」という悲鳴ともとれる叫び声があの家の和室の方から聞こえてきた。 どうやら一足早く仕事へと戻っていた大工の声だった。 慌てて和室へと向かう。そして、畳と床板を剥がされ地面が剥き出しになった所にあったものは…… ――白骨化した何十匹もの猫の頭部だった―― 「…ホラ、見たことか…」 棟梁がしかめっ面で呟く。 白骨化した猫の頭部の数はざっと見ても四、五十はあるように思えた。 ごろごろと転がっているわけでもなく、山のように積み重ねられていた。 三鷹さんにはその光景が「賽の河原に積まれた石」を連想させた。 不思議だったのは、みな見事に綺麗に白骨化しており、毛の付いたものや、腐乱している骨は一つも無かったことだった。 床下に通気口はあるものの、そこから投げ入れてもこの場所まで届くはずが無かった。 万が一届いたとしても、このように山積みになるなんてあり得ない。 かといって一々畳を剥がし、床板を剥がした形跡も見られない。 いつ、誰が、どうやって…?そして頭部以外の他の部位はどこにいったのか? 様子を見に来た長場も腰を抜かすほど驚き、 「ね、ねえ暖房屋さん、こんな事ってあんの?」とぼそぼそと訊ねてくる。 確かに仕事上、床下など潜ることもある。その時に動物の死骸の一匹や二匹は見ることも、ある。しかし、このような猫のみで…それも白骨化した頭部のみ大量に、というのは見たことがなかった。 第一、あれだけのペットボトルを置いてあるのだから、そうそう猫は入ってこないだろう。 あまりの気味の悪さに誰一人として言葉を発することが出来ずにいたが、その静寂を棟梁が打ち消した。 「ちょっと待ってろ! 俺がくるまでブルーシートか何かで隠しておけ!」 そういうとどこかへと出掛けてしまった。 奥さんはまだ帰ってきていなかったが、この状況を見られるわけにもいかない。万が一奥さんが何も知らなかったのなら大問題に発展する恐れもある。 皆、棟梁の言った通り、ブルーシートで覆うようにして見えなくしておいた。 程なくすると、息を切らしながら棟梁が戻って来た。 手には廃材などを入れるための麻袋。そして、近所のコンビニで買ってきたのか粗塩と日本酒を携えている。 無言でビニールシートを捲ると、白骨化した猫の頭部の周りに日本酒を撒き、粗塩を振り掛け、手を合わせて暫く拝んでいた。 その後、棟梁は床下へと降りると、麻袋の中に一つ一つ丁寧に骨を詰めていく。 三鷹さんたちはその光景を、無言でただ見つめることしか出来なかった。 「ホラッ! これ近くの寺に持って行けや」 長場に麻袋を渡す。 「そんで、そこの住職に全部訳を話して供養してもらうなり何なりしてもらえ」 「えっ? 俺が行くの?」長場は徐に嫌な顔をして見せた。 「当たり前だろうがっ! おめぇはここの責任者なんだろ?! 暖房屋さんには関係無いことだし、俺らは仕事を続けなきゃいけねーんだ。…他に誰がいるよ?」 棟梁の言葉に偉ぶっていた長場も何も言えず、麻袋を持ったまま部屋から出て行った。 「さ、暖房屋さんも悪かったな、手伝わしちまって。…アンタ達も気を付けな。…ここは…このウチは、普通じゃねーよ」 会社に戻った三鷹さんたちは、報告がてらその家で起きたことを事細かに担当の営業に伝えた。 営業もあからさまに「嫌な物件、引き受けちゃったなぁ」とぼやいている。 後の設置工事などは職人の担当となるため、メンテナンス・整備担当の三鷹さん達は、その物件から外れることとなった。 数週間後、別な物件に赴くとあの棟梁の姿があった。 お久しぶりです、と挨拶を交わす。 少し時間もあったので、世間話をしていくうちに『あの物件』の話になった。 「あれ? 暖房屋さん、知らねーのか?」と反対に訊いてくる。 「えぇ、あれ以降行ってないので…」 「ふぅん……アレな、キャンセルになったんだわ」 棟梁の話によると、金額の面で折り合いがつかず、結局キャンセルとなったらしい。 それでも畳などは剥がしてしまっている為、賠償金だ何だとハウスメーカーに怒鳴り込んできたりしたらしく、かなり揉めたようだった。 「俺もな、あの後あそこの家の前を通り過ぎた時によ、『忌中』の紙が貼ってあったから…多分、婆さんが死んだんだろうな…ダンナ、息子と合わせれば半年のうちに三人の死人が出たっちゅーことだ」 何も言えなくなった三鷹さんに棟梁は話を続ける。 「そういえばよ、あの長場よ。事故ったっていうのも知らねーのか?」 突然の話に三鷹さんは驚きを隠せなかった。 「何か事故ったらしいぜ? ……ったく、馬鹿な真似しやがるから…」 舌打ちをしながら話す。 「馬鹿な真似?」 「あぁ、…あの長場よぉ、見つけた骨、寺に持っていかなかったんだよ」 「えっ?!」 「面倒くせかったからかどうかは知らんけどよ、何考えたんだか、近くのゴミステーションに放り投げちまったらしいんだわ…あんな住宅密集している所で、真っ昼間にそんなことしてたら人目につくのは当たり前だろうが。…早速近所の住民から会社にクレームが行って大変だったらしいぞ」 「で、長場は…?」 「あぁん? ずっと意識不明のままだってよ。…かなり危ねーらしいけどな」 会社に戻った三鷹さんは営業に『あの物件』についてその後を聞いてみた。 出た営業の答えも、棟梁が言っていたこととほぼ同じ内容が返ってきた。 「でね、僕も調べてみたんですよ…色々と。そしたらですね…出てくるわ出てくるわで…」 ――営業の話によると、やはり亡くなったのは、そこのお婆さんということだった。 そしてそこの家は近所でも有名な『猫殺しの家』と呼ばれ、一時は警察からも事情聴取を受けたこともあるらしい。 亡くなったご主人や息子さんも猫を殺しまくっていたのは周知の事実だった。 道路の至る所に『首のない』猫の死体や、腐乱した死骸がよく捨てられていたらしく、その一家の誰かが猫に餌をやるフリをして殺していたのを見ていた人もいたという。 夜になるとその家から猫の鳴き声が聞こえ、好奇心にかられた人が塀から覗き見るが、猫の姿は一匹も見当たらない。その家の周りを火の玉らしきものがよく飛んでいる、など。 近所なら誰でも知っているという有様だった。 そしてあのハウスメーカーだけでなく、それ以前にも工務店や他のハウスメーカーともトラブルを起こしていたことも判った。 そんな事を繰り返していれば、たちまち業界中の噂の的となる。 勿論、『骨の件』も瞬く間に広がり、もはや誰もその家の工事を請け負うものはいなくなったらしい。 今では売り家となっているが、買手もつかず放って置かれているようだった。 奥さんが今、どこで生活しているのかは、誰も知らない―― その話を聞いた数日後、長場が亡くなったという報せを聞いた。 「ああいう所はよ、もう忌み地になっちまってるんだよ。…これから入る人が気の毒だよなぁ。…だってよ、俺らが見たのは首だけなんだぜ?それも和室だけであんな量だ。…他の部屋はどうなっているかと思うとゾッとするね」 三鷹さんは別れ際に棟梁が言っていた言葉を思い出していた。
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受信: 02:42, Wednesday, Feb 24, 2010
» 【−1】忌地 [【超-1】講評専用ブログ 〜闇夜に烏がにゃあと啼く〜から] × 確かに呪わしい話ではあるのだろうけど、笑っちゃいかんのだが、つい苦笑いしてしまった。猫殺しやってた割に猫の事を知らないんだなぁ、と。ペットボトルは猫除けにはならない。我が家の猫なぞはペットボトルの上を平気で跨ぐし、その上で寝たりもする。我が家では熱湯を ... 続きを読む
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» 【+2】忌地 [闇夜に紛れて覗く者から] × 元々の土地の問題なのか。そこに住む人が、招いた結果なのか。理由は解らないが、禍々しさを感じる。文章の方はもう少し整理し、纏めた方が良いであろう。怪異の肝として、白骨化した猫の頭部が挙げられるが、どのようにして積み上げられたのだろう。そのものが力を持 ... 続きを読む
受信: 00:15, Thursday, Feb 25, 2010
» 【0】忌地 [2010超−1 講評から] × 文章0 怪異0文章がまだ少し重く感じました。起こった現象やその場の状況を整理し、必要なだけ表現できればもう少し文章のダイエットが�... ... 続きを読む
受信: 17:08, Sunday, Feb 28, 2010
■講評
ここまででも猫の祟りを扱った作品が散見されます。 ですがこの作品の猫の数は尋常ではない。 それだけ恨みも濃いものになっているのですが、細かい部分で微妙に違和感が。 ボイラーは屋外設置では?とか、奥さんは冬の間といいつつ何年も点検もしていないとか、どうも細かい部分で引っ掛かりました。あら探しをしている訳ではないのですが、微妙に気になって、僕の中では話が上滑りしてしまいました。 ちょっと話に入り切れなかったのが残念です。 |
名前: 捨て石 ¦ 17:11, Tuesday, Feb 16, 2010 ×
文章力 +1 稀少度 0 怖さ +1 衝撃度 0
長いが読みやすい文章だった。 シリアルキラーがよく小動物を虐待する話は聞くが、一家で猫殺しをするのは心底恐ろしい。 建築に関わる職人・技術者の現場での関係がわかって興味深い。 同じ建築業界でも、棟梁のように縁起を気にする人たちや長場のようにその手の物を気にしない人たちの、二色の人たちがいるというのは面白い。棟上げやいろいろな行事の時には暦から日を選んで行うというのに。 |
名前: つなき ¦ 20:43, Tuesday, Feb 16, 2010 ×
生理的に非常に受け付けたくない文章であるから。親子7代に渡って祟るといわれる猫を、餌をやるふりをして主人と息子が殺しまくれば、当然の報いであるし、ましてやその保険金で家をリフォームなどとは? 完全に保険金の意味をはき違えているし、単純に気が狂っているとしか言えないから。 |
名前: 天国 ¦ 22:38, Tuesday, Feb 16, 2010 ×
猫に纏わる因果話は超怖い話本家でも超−1でも多く見かける。 その中でもこの話は、被害猫と被害者の数が圧倒的に多い。 発端や家人の心理がまるでわからない事が、事態の深刻さと不気味さをより深くしている。 特に夫と子供、果ては母までも亡くした女が、それを何とも思っていないように思える言動が怖ろしい。
文章面で言うと、もう少し尺を縮められそうに感じた。 また、ダッシュ(―)や三点リーダー(…)の多用が目立ち、使用されている箇所も適切でないように思われる。 これらは間を取る時、余韻を残す時に用いるものなのだが、箇所を誤ると大仰になり空回りしてしまう。 ここぞという箇所に絞って用いてこそ、文が活きるのではないだろうか。 |
名前: amorphous ¦ 22:43, Tuesday, Feb 16, 2010 ×
多数のペットボトルは、やはり猫に因んだ怪異を避けるために置かれたものだったのでしょうか。 その光景だけでも、近寄りがたい不気味さがありますね。 この奥さん、なんだかなーという感じがしますが、今年はこういう感じの人が絡む話が多いですね。 話としては割とスタンダードな祟りものかとは思いますが、なかなかじっとりとした怖さがありました。
さて文章の方ですが、状況は解り易いものの、これにも演出過剰な点や進行形文末の使い方、文法の粗などが目立ち、とっつき難さがありました。 書く時に頭の中でイメージされてるとは思いますが、少々ドラマチックに仕上げすぎてはいませんでしょうか? 多少の演出は良しとしても、全体的に使えばそれだけわざとらしさが目立ち、怖さを和らげてしまいかねません。 一度話全体を見通し、どこを盛り上げるところに持ってくるかというメリハリを意識してみては、と思います。
文章:-1 希少性:1
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名前: ていさつUFO ¦ 19:19, Wednesday, Feb 17, 2010 ×
こういう因縁めいた話は好きです。 しかし、場面場面の描写が読みにくかったです。 文章でー1というイメージでこの点数にさせて頂きます。 |
名前: しゅん ¦ 22:52, Wednesday, Feb 17, 2010 ×
おお。ボイラー技士さんシリーズ?このお話も気味が悪い。
「――営業の話によると、」の後日談が胡散臭いです。 動物愛護法違反、器物損壊罪ってどんなんだったっけ?とモヤモヤ。死体をそこらに放置し、目撃者までいるのに、事情聴取だけで収まるのでしょうか。法に疎い私でも、さすがにこれはないんじゃないかと思いました。 「らしい」「ようだった」と噂の域を出ていない内容がほとんどです。
でも、胡散臭かったおかげで想像の余地が沢山あるともいえます。 一家が凶行に及ぶ手前に何かありそう。猫のせいで人生が狂ったとか。 床下に頭蓋骨しかない、どうやって積み上げたのかわからない、というところで妙にわくわく。家そのものが引き寄せていたのかなと。そして猫の仕業としか思えない障りが始まって、塀と庭にペットボトル? 床の傷みがひどく、さらに中央暖房(かな?)も使えない状態なのに春まで我慢しているのも、人を呼べない事情があったようで気になります。
…と、人対猫だけではない何かも感じられて、遡って考えるのが楽しかった。 家族が続けて亡くなったことについては、関連付けるまでには至らないかなあ。 話が前後してとりとめのない講評になってしまいましたが、合計(+2)で。 |
名前: 雨四光 ¦ 23:16, Thursday, Feb 18, 2010 ×
一つ一つの素材は大変に美味しそうなのに、過剰なデコレーションで台無しにしてしまった料理のような話です。もっとシンプルに書き上げても、この素材の強さはそれだけで勝負できたと思います。惜しい。 ネタ・1 構成・0 文章・0 恐怖・0 |
名前: 一反木綿豆腐 ¦ 01:44, Saturday, Feb 20, 2010 ×
この話は保険金殺人の面も疑うべきとも思う。 半年の間に続けて3人。2人は事故ということだが 明らかに調査が入るべき異常な連続死。 悲しんでいる様子もない奥さん。 保険会社も調査して納得した上で 保険金を払っているのかも知れないが。
なぜそう書いたかというと やはり怪との結びつきが弱いのだ。 見えるものは、びっしりと塀や庭に並んだペットボトル、 床下にあった何十もの白骨化した猫の頭部。 いないはずの猫の声、火の玉の噂・・ だが、それらと家人の連続死や骨をゴミに捨てた 長場の事故死などを直接結ぶ線が弱いのだ。
確かに猫を残虐に殺していた家人に対する猫の 呪いが肝となっていて捲られた形跡のない床や 畳の下から出てきた異常な数の骨の謎など。 忌地と呼ぶにふさわしい舞台ではあるけれど。
ただ この著者は三鷹さん達と同業者なのだろうか。 そう思わせるほど、仕事内容や現場の手順 人間関係などが細かく専門的に書かれている。 その採話力に驚いた。
いろいろな話を聞いていく中で またいろいろな専門職を持った方の話も 採話することが出てくると思う。 中にはこのような専門の工程や業界裏事情などを 書くことによって話に臨場感が生まれてくることも あるだろう。 この著者はその点において体験者の話を 細かく聞き取り、違和感なく読めるということは 評価に値すると思う。
怪:1 採話力:1
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名前: RON ¦ 14:03, Saturday, Feb 20, 2010 ×
猫を殺したからというよりかは、そういう人間だからといった方がいいのか…… けれど、気味が悪い話であることはかわりないですね。 |
名前: ぬんた ¦ 13:15, Tuesday, Feb 23, 2010 ×
棟梁、かっこいいです! この方は修羅場を数多く潜ってこられたのでしょうね。 会話文が巧く挿入されていると思います。そのため長文を意識せず、スムーズに読み進めることができました。
「人間」の怖さが前面に出ているお話ですね。別の切り口から見れば、保険金殺人を彷彿させるリアルな怖い話になったと思います。ただ猫の頭部の骨の件、これは明らかに人の手で肉や毛を洗われているような感じで、しかも積み重ねてあったということから、なんらかの呪詛に使われたのではないかと察しました。猫殺しをしていた旦那や子供は、「材料集め」にいいように使われていたのでは…。奥さんは、もしかしたら旦那と子供にお婆さんを呪い殺そうと持ちかけて、騙して、などと想像が止まりません。
長場さんはお気の毒でしたが、もし猫の骨が呪詛の道具だったとしたら、この結果は避けられなかったのでしょう。お寺に行こうとしても、「行かせてもらえなかった」結果だったりとか考えてしまいます。 こういうお話だと、どうしても猫に感情移入し過ぎてしまう性癖があるのですが、今回もやはりそうでした。長場さんにお寺に連れて行かれ供養されると「チカラを失くす」ので、あえてポイ捨てさせたのではないだろうか…、奥さんの縄張りから離れられた猫たちはやっと無念を晴らすことができたのではないだろうか…。(奥さんが不幸になっているとは勝手な私の想像にすぎませんが) ペットボトルも「猫を出さないため」だと捉えてしまいました。
・臨場感+1 ・没入度+1 ・表現0 ・恐怖0(リアルとしてはすごく怖いのですが、怪異としては怖くなかったので)
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名前: ダイタイダイダイ ¦ 16:57, Sunday, Feb 28, 2010 ×
猫の祟りはあきらかであり、家を手放すのも仕方ないから。 |
名前: 極楽 ¦ 15:23, Friday, Mar 05, 2010 ×
文章は長かったのですが、その割にすんなりと読み進めることができました。
猫除けのペットボトルが効果がないと立証されていようとも、敢えて置いているのだろうと思われるほどの猫嫌いなのだろうと思いました。 とにかく「効果がある」と聞けば効こうがそうでなかろうが、とにかく試す、という執念のようなものを感じながら読ませていただきました。 大事なのはその光景の異常さであり、猫の事を知っている、知らないではないと思います。
そして何より、棟梁の素早い判断力・行動力が素晴らしい。 このようなことを信じる棟梁、まるっきり信じようとしない他の大工との会話も考えさせられるものがありました。
積み上げられた頭部のみの猫の白骨。 それに纏わる死人の数々。 全てが嫌な読後感として残った作品でした。
説明も丁寧で分かりやすかったです。 当人が猫に祟られる、という話が多い中、それを第三者的に見ている、というのに希少性を感じました。 |
名前: 鶴斗 密喜 ¦ 01:53, Monday, Mar 08, 2010 ×
文章1 恐怖1 希少0 魅力0
長いのに読みやすく、何と言うかすごい臨場感で、自分がそこにいるような錯覚に陥りました。 もうタイトルからやだなぁって思ってたんですが、後味最悪ですね(褒め言葉です)。 何だか背中がザワザワするような気持ちの良くない話ですが、棟梁の男気に救われました。
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名前: 幻灯花 ¦ 17:35, Saturday, Mar 13, 2010 ×
ストーリーの運びが巧み 忘れかけた頃にちゃんとペットボトルの件も書かれていて一安心 |
名前: ゼリコ ¦ 18:52, Sunday, Apr 04, 2010 ×
気味の悪い厭な話ではありますが、怪異が起こっているのかどうかよくわかりません。 文章はとても読みやすいですが、怪異と言えるかどうかの事象をやたらに長くひっぱりまくった感があり、ここまで長文にしたのはどうも感心しません。
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名前: どくだみ茶 ¦ 17:14, Thursday, Apr 08, 2010 ×
怪談点・・・0 文章点・・・0
怪談一歩手前といったところでしょうか。 登場人物は適材適所といった具合に配されており、不気味な家を舞台にみながそれぞれの役回りをきちんと演じているので、話としてとてもよく纏まっているように感じます。 ただ、決定打となる怪異がないのが物足りない。 確かに関係者の死という結末が用意されているのですが、やはり祟りは目に見えないものなので、怪異の果てに、といった実感は湧きません。 少し説明過多と思える部分もあったので、総合してプラス評価には至りませんでした。 |
名前: C班 山田 ¦ 17:42, Sunday, Apr 18, 2010 ×
もう少し文章が整理できていれば高特点だったかな……。最後の台詞で「あー、そうだ、和室しか見てないわ」と、体験者と同調してゾッとしたのはいい経験になりました(笑)。 |
名前: 丸野都 ¦ 21:25, Monday, Apr 26, 2010 ×
ネタ・恐怖度:0 文章・構成 :1
読み物としては面白い。ただ、あくまでも「読み物として」である。怪談として、という点では今ひとつな印象である。 猫の祟りよりも、家の異常さの方が目を惹く。その異常さの中のいくつかは祟りによって齎されたものかもしれないが、付帯された要素の密度が高く、怪異が埋没してしまっているように感じられた。
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名前: オーヴィル ¦ 21:49, Thursday, Apr 29, 2010 ×
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