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 私の祖父は、妙に勘がいい人だった。
 例えば、家を出る際に「いつもの道は通るな。竹林のほうから学校に行け」と強い口調で言われたので渋々従ったら、いつもの道でタンクローリーの横転事故があった事を知る。
 例えば、祖父が箪笥から礼服を引っ張り出しているので、妙だな、と思っていたら、三日後に伯父の急な訃報が届く。
 こういった逸話は、枚挙に暇がない。とりわけ、人の生死に関わる事柄に対しては鋭い予見を発揮した。
「いきなりな、頭ん中にぱっと情景が浮かぶんだわ」
 祖父は自らの能力を、そう説明した。

 その祖父だが、ある日朝食を済ませた直後に突然倒れ、意識が戻らぬまま四日後に亡くなってしまった。
 早速葬儀の手配を、と考えていたところに、すっかり疎遠になっていた菩提寺の住職が訪れてきた。
「故人に生前、頼まれたものですから」
と、枕飾りを運び入れる。聞けば、一週間前に祖父がふらりと現れ、「来週、枕飾りを持ってきてくれないか」と頼んでいたということである。
 持病もなく、死の予兆など全く感じなかったというのに。私も親戚一同も、みな狐につままれたような気分になった。
「故人から『手紙を用意してあるから、もし俺が死んだら、葬式のときに読み上げてほしい』と、言付かっております」
 住職の話では、祖父が遺族に宛てた手紙を錠付きの金庫に収めている、という話である。
 だが、普段金庫はダイヤル錠でロックされており、その番号を知るのは祖父だけである。
 駄目元で扉を引いてみると、あっさり開いた。施錠されていなかったのである。
 権利書や実印といった重要な物は一切入っておらず、三つ折になった手紙だけが収められていた。
「父ちゃん、自分が死ぬって分ってて、鍵を掛けなかったのかねえ」
 手紙を見つめながら、叔母が誰に言うでもなく呟いた。

 手紙は、お斎の席で読み上げられた。遺族と親族、親しい関係者に宛てた、感謝の言葉が綴られていた。
 書き出しは、こんな一文だった。
「本日は晴天に恵まれ、ご参列の皆様のお足元を汚さずに済んだと安堵しております」
 その日の空は、連日の荒天が嘘だったかのように晴れ渡っていた。




08:58, Monday, Feb 22, 2010 ¦ 固定リンク ¦ 講評(18) ¦ 講評を書く ¦ トラックバック(5) ¦ 携帯


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■講評

なんだか、自分の父の亡くなり方を未前に見せつけられているような嫌な文を、読まされた感じがするから。

名前: 天国 ¦ 17:29, Monday, Feb 22, 2010 ×


怪異…というか、不思議譚の類でしょうか。
まあ、予知能力の話としては、今となってはよく聞くものかと思います。
ですが、文章が巧みで非常に読み易かったです。
この著者様のどぎつい怪談を期待したいですね。

文章:2
希少性:0

名前: ていさつUFO ¦ 19:58, Monday, Feb 22, 2010 ×


著者のおじいさまは自分の死を予知してから
何を心に思いながら死に支度をされていて
・・と思うと涙が出てきます。

文章も綺麗でよく纏まっています。
また実際に晴れ渡っていたお葬式で
本日は晴天に恵まれ・・から始まる書き出しの
手紙を一番最後にもってくるところで
さらに説得力のある内容になっていると
思います。

しかし亡くなった御本人が弔辞を述べているような
お手紙は、不謹慎ながら微笑ましく思えました。
おじいさまの御冥福をお祈り致します。


文章:1
信憑性:1



















名前: RON ¦ 16:16, Tuesday, Feb 23, 2010 ×


 実に清々しい怪談である。
 故人の人柄も手筈の良さも、家族の驚きも良く伝わってくる。
 ひとつひとつは類話の多いエピソードではあるが、ここまで首尾一貫していると膝の一つも叩きたくなってくる。
 小品ながら、日本ならではの有終の美を感じさせる話だ。

 ふと思ったのだが、ここまで勘働きが良かった故人が、更なる将来についても何らかの準備をしていった可能性もあるのではないだろうか。
 続報が楽しみである。

名前: amorphous ¦ 20:59, Tuesday, Feb 23, 2010 ×


亡くなる一週間前にはもう、準備を始めてるんですよね…。いつから気付いていたんだろう。私が同じ能力を持ったとしても、こんなにスマートな振る舞いはできそうにありません。
特に最後の手紙は、思いやりもあり、茶目っ気もあり。参列者が驚く様子を眺めてニヤリとしてるんだろうなあ。(+2)

金庫を開けるくだりでウルウルきて、ラストで一気に爽やかな気分になりました。正確には泣き笑い。
淡々としていてもご家族の驚きや悲しみは適度に織り込んであって、スムーズに誘導してくれているお陰だと思います。(+1)

名前: 雨四光 ¦ 09:29, Wednesday, Feb 24, 2010 ×


こういう霊感なら是非とも欲しいですね。類話は多いかもしれませんが、文章の良さで一つ抜きん出ていると思います。いい話でした。
ネタ・1 構成・0 文章・1 恐怖・0

名前: 一反木綿豆腐 ¦ 13:25, Wednesday, Feb 24, 2010 ×


文章力   +1
稀少度    0
怖さ      0
衝撃度   +1

自分の死が予知できてしまうのは厭だ、悲しい。
が、本編のお祖父さんは覚悟を決めて死支度をしていたのが潔い。
残していく者たちへの心残りや心配はなかったのだろうか…


名前: つなき ¦ 23:37, Thursday, Feb 25, 2010 ×


切ない。なんというか、ものすごく切ないです。ご自分の死を予見されていて上での、この手紙の書き出し。なかなか書けるものではないと思います。このお方のお人柄が凝縮されている一文に、涙が出ました。

書き方次第では非常にウェットな感じになったかもしれないお話ですが、仕上がりがとてもカラッとした印象で読後感も気持ちがいいものでした。情緒面を強調されない書き方が、このお話の魅力によく合っていると思います。

・臨場感+1 ・没入度+1 ・表現+1 ・恐怖0

名前: ダイタイダイダイ ¦ 14:55, Saturday, Mar 06, 2010 ×


この爺様の幕引きは清々しささえ感じたから。

名前: 極楽 ¦ 15:41, Tuesday, Mar 09, 2010 ×


文章1 恐怖0 希少0 魅力1

自分の死まで解ってしまうなんて、せつなくて悲しい。
自分の身内のことのようにしんみりしてしまったのは、著者様の文章技術によるものでしょうね。
上品で美しいお話だと思いました。

名前: 幻灯花 ¦ 17:18, Thursday, Mar 18, 2010 ×


類話は良く聞くものなのですが、文章と構成が卓越しているため、成功した作品だったと思います。

怖い、というよりも「いいお話」だと思いました。

おじいさまの御冥福を心よりお祈り致します。

名前: 鶴斗 密喜 ¦ 20:45, Saturday, Mar 20, 2010 ×


お爺さんの心意気 1 文章 1

何もかも先に先にと準備して……
それでも死出のあいさつにまで……ぬかりのないお爺さんの準備の良さと心意気が何ともいえず、なごみました。

名前: ぬんた ¦ 00:03, Sunday, Mar 21, 2010 ×


おじいさんは自分が死ぬのをみこしていたんですね
もっと家族にメッセージを残してもよかったのに

名前: ゼリコ ¦ 00:28, Sunday, Apr 04, 2010 ×


自分やひとの死を予知している話は類話が多いですね。
おじいさんはご自分の死の予知をどう受け入れられたのでしょうか。亡くなるまで、ご家族には何もいわず。
おじいさんに合掌。

名前: どくだみ茶 ¦ 22:31, Thursday, Apr 08, 2010 ×


怪談点・・・0
文章点・・・1

予知能力というのでしょうか。
その手の力を発揮する人の話はとても多いのですが、この話の場合はその力を持った祖父という人の飄々とした人物像がなんとなく伝わってきて、それがこの作品をとても面白いものにしています。
書き手によってはありきたりの凡作になっているところを充分楽しめる作品にした技量は得点に値します。

名前: C班 山田 ¦ 02:49, Monday, Apr 19, 2010 ×


ありがちな話だな、と思っていたら、そのまま最後まで「先読み」が繰り返され、ラストはホロリとさせられました。感服いたしました。

名前: 丸野都 ¦ 23:45, Monday, Apr 26, 2010 ×


ああ、お祖父さん素敵すぎます。
こうやって全てを整えてから逝けるなんて。
清廉な印象が強く心に残ります。
怖くないけど、いい話です。
故人の人格が透けて見えるような良い話を読ませていただきました。
また文章力がある方のようで、すらりすらりと読ませていただきました。

名前: 捨て石 ¦ 22:28, Wednesday, Apr 28, 2010 ×


ネタ・恐怖度:1
文章・構成 :0 

老人が己の死期を悟る、という話は類型が多いが、健全であった頃から予知の力があった点が目新しい。 それだけに、生前の一連の準備もさもありなん、と納得させるものがある。
予知の方法が曖昧にも思えるが、実話怪談なのだから仕方がない、とも思える。


名前: オーヴィル ¦ 20:59, Thursday, Apr 29, 2010 ×


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