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戸締まり
 高校時代の夏のある日、まだ薄暗い午前4時頃だったろうか。
私は二階の自室で眠っていた。

 いつもとは違う空気のようなものを感じて、はっと目を覚ます。
妙な危機感にかられ重い瞼をこじあける。
上半身を起こして部屋を見渡すと、ベッドの足元に黒い影が見えギョっとした。

 母が部屋に来たのかと思ったが、よく見るとそのシルエットは四角い帽子をかぶっている。
暗くてよく見えないが体格も見慣れた母のものではない、細身だが男性だ。

家族に男性はいない。
鳥肌が立った。

「誰?」

引きつった声で私はその影に問いかけた。

「鍵あいてましたよ」

若い男の声だ。
声に表情があるのなら、ニヤついているという表現がピッタリな声色。

「誰もいませんでしたよ」

続けられた言葉に私は混乱した。

こんな時間に鍵もかけずに母が外出?
しかもそのタイミングで知らない男が無断侵入?

 必死にどうしようと考えるが寝起きの頭は状況把握にすら追いつかない。
そうしている間にも男は回り込むようにして、じわじわ近寄ってきていた。

 何の根拠も無いが、『やられる』という恐怖感に駆られた。

「すぐにお母さんが帰って来るから、出ていって!」

声を振り絞り声を引きつらせて叫ぶと、男はピタリと動きを止めた。

「そうですか」

そう言って男はアッサリ背を向けて部屋から出て行った。
 数秒ほど頭が真っ白になったが、すぐに震える足を奮い立たせて追いかけると、男は階段を降りている途中だった。

「ちょっとあんた何なのよ!人んちに勝手に入って犯罪じゃない!」

男は玄関で靴を履きながら振り返りもせず答えた。

「ただの通りすがりだから気にしないで。あと鍵はかけた方がいいよ」

 言い終わるか終わらないかのうちに、男は気体のように玄関扉をスゥッとすり抜けて出て行った。

私は前傾姿勢のまま暫く硬直し考えた。

我が家の扉は開ければ木の軋む音がする筈なのに、何の音もなかった。
いくら暗くとも、扉を開けて出たならそれはわかる。

 恐る恐る玄関に降りると本当に鍵が開いていた。
だが鍵こそ開いているものの、試しに扉に寄り添いペタペタ触ってみても、強く体を押しつけてみても、私をすり抜けさせてはくれなかった。

 数分後、コンビニから帰宅した母に泣きながら説教し、その件以来一分の外出でも戸締まりは怠らない。

 侵入者はそれきり来ない。




08:54, Tuesday, Feb 23, 2010 ¦ 固定リンク ¦ 講評(18) ¦ 講評を書く ¦ トラックバック(5) ¦ 携帯


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文章0 怪異+1文章は概ねわかりやすく書かれているのですが、ひとつ気になったところがあります。それは、怪異が「鍵あいてましたよ」�... ... 続きを読む

受信: 12:18, Saturday, Apr 03, 2010

■講評

うーん。。
前半の部分では
生きている男なのではと疑っていた。
しかし
[気体のように玄関扉をスゥッとすり抜けて出て行った]
との記述で、(ああ、霊なのか)と安心した。
安心したって変だけども。

で、次の部分
扉を開ければ音がするはずなのに。と
いくら暗くとも開ければわかる。。と。

何かすり抜けていったことが自信がないような
記述なのだ。

最初の部分で
開ければ木の軋む音が聞こえるはずなのに
何の音も無くスゥッとすり抜けて・・とあれば
納得が言ったのだが。
また、[暗くとも]と書いてある為に
すり抜けていったのは暗くてよく見えなかったのでは?
と、思ってしまうのだ。

挙げ足をとるようで申し訳ないが
やはりそこで、また疑ってしまった。

生きている人間でも
理不尽な行動をとる奴はいるしなぁ・・と。
むしろこの話の場合、生きている人間だった方が
怖い。

霊だとしても、わざわざ靴を脱いで
上がってくるとは礼儀正しいんだか
何だか。。

とにかく何事も無く良かったです。


どっちにしろ不思議な男に1点。









名前: RON ¦ 21:50, Tuesday, Feb 23, 2010 ×


 善なのか悪なのか、単なるお節介なのか、その口調と共につかみ所のない怪である。
 ある程度の実体感を伴いつつ、ここぞという場面で自身が人外であることを証明してみせるあたりもまた嫌らしい。
 話者が煙に巻かれた感じも良く出ており、楽しませて頂いた。

名前: amorphous ¦ 21:50, Tuesday, Feb 23, 2010 ×


この文は、筆者が、高校時代の夏のある日、まだうす暗い午前4時頃、二階の自室で眠っていた時、母が外出中、鍵を閉め忘れ男が侵入、しかし、「鍵開いてましたよ」、「誰もいませんでしたよ」、と話しかけ接近したが、主人公の「すぐに母が帰ってくるから、出てって」の言葉で、あっさりと「そうですか」と退き、間髪いれず「人のウチに勝手に入り込んで犯罪者じゃないのよ」のたたみ返しに、「ただの通りすがりだからきにしないで、後は鍵をかけた方がいいよ」とは、意外や意外の展開?でもこの男は、気体のように玄関扉をスゥッとすり抜けて出て行ったとは、この人の夢か幻?ちょっと理解に苦しむから。

名前: 天国 ¦ 00:09, Wednesday, Feb 24, 2010 ×


そんな……通りすがられても……。
そんなもやもや感が残ります。
それにしてもお母さんびっくりしたでしょうね。
すいません。なぜか男が「めぞん一刻」の四谷さんで再生されました。

名前: 捨て石 ¦ 01:30, Wednesday, Feb 24, 2010 ×


鍵関係ないやん!とツッコミを入れたくなってしまいました。
本当に何しに来たのかよく解らない男ですね。
幽体離脱して夜の街を遊びまわる人の話を聞きましたが、その類でしょうか。

文章の方も読み易く、構成としても概ね問題はないのですが、ちょっと細かいところでテンポ…というか、歯切れの悪さが気になりました。
ここまで文章力のある著者様ですので、さらにもう一歩上を狙って頂いてもいいかなぁと思います。

文章:1
希少性:1

名前: ていさつUFO ¦ 19:56, Wednesday, Feb 24, 2010 ×


言葉のひとつひとつに、うっすらと悪意が見えて、後からじわじわと怖くなります。
動きを止めて「そうですか」が、「なーんだ、なら帰るわ」って感じなんですが、お母さんがすぐに帰ってこない場合は何をするつもりだったんだろう。
「鍵が開いてたので上がらせてもらいました」という態度も何だかなあ。開いてなくても入ってこれるくせに…。(+2)

この「開いてなくても入ってこれる」が、生身の人間ではないことを決定付ける唯一のポイントなので、瑕疵があるのはかなりまずいです。
扉をすり抜ける様子が、後の記述では「暗くて見えなかったけれど、扉の軋む音がしなかったのでそう判別した」と取れて、靴を履いている様子も見えていないのでは?と怪しくなってきます。
「たとえ暗かったとしても」なのかもしれませんが紛らわしい。
すっかり目覚めているような表現と、まだ寝惚けているような表現が交互に出てくるのもモヤモヤしました。(-2)

名前: 雨四光 ¦ 21:38, Wednesday, Feb 24, 2010 ×


説教強盗みたいなもんですかね。怪異を怪異たらしめる部分が弱いように思います。構成次第でもっと怖くなったかもしれません。
ネタ・0 構成・0 文章・0 恐怖・0

名前: 一反木綿豆腐 ¦ 22:42, Wednesday, Feb 24, 2010 ×


文章力  +1
稀少度  +1
怖さ     0
衝撃度  +1

体験者には悪いが、これは面白かった。
まず男のようなモノが普通に喋ること、追い払われてあっさりきびすを返すところ、「ただの通りすがりだから、云々…」の台詞等々、何のために通りすがったのかはわからないが、素直なところが、らしくないというか…

名前: つなき ¦ 22:05, Monday, Mar 01, 2010 ×


まず、このお母さんの迂闊さに私からも一喝入れたくなりました。いくら早朝で数分とはいえ、年頃の娘さんが一人で無防備に眠っている家の鍵をかけずに出かけるなんて言語道断でしょう。リアル犯罪でなくて本当によかったですね。こういう感想が一番強かったせいか、この男の霊?がすごくいい人に思えてしまいました。ひょっとして、こういう迂闊さが重なって先々大変なことになるということを、こういう形で教えてくれたのかもしれません。

この男がドアをすり抜けたりするくせに、「靴を脱いで入ってきた」ということが妙に可笑しいです。と同時に、このお話の信ぴょう性を高めていると感じました。

・臨場感+1 ・没入度+1 ・表現0 ・恐怖0

名前: ダイタイダイダイ ¦ 21:22, Saturday, Mar 06, 2010 ×


侵入者があったことも怖いけどそれが消えちゃったとなると二重に怖いから。

名前: 極楽 ¦ 15:56, Tuesday, Mar 09, 2010 ×


物分りの良い霊に思わず微笑ましくさえ感じてしまいました。

著者さんにとってはえらい迷惑だったとは思うのですが…。

通りすがりとか、鍵を掛けたほうがいいとか忠告してくれるのもまた。 笑

怖さはありませんでしたが、何ともほのぼのとした印象を受けました。

名前: 鶴斗 密喜 ¦ 21:18, Saturday, Mar 20, 2010 ×


怖さ 1

はじめ読んでいて生きている人かと思った。
死んでいる人なのだということを筆者とともに知った。

「やられる」 が 「犯られる」「殺られる」 の二つに取れて怖い。

名前: ぬんた ¦ 00:52, Sunday, Mar 21, 2010 ×


文章0 恐怖1 希少1 魅力0

何が珍しいって、会話がきちんと成立しすぎているところかなぁ。
こんなの体験したら、扉をすりぬけるまで生身の人間だと思い込むし、そうなると現実的に貞操と命の危機を感じて相当寿命が縮まる思いだと思う。
生きた人間と思い込んでいた相手がすり抜けたところで目を疑う気持ちはわかるが、そこをあえて疑心的に色々試したりありのままを書いてしまったことで気のせいだったのでは?と突っ込まれる隙を与えてしまうので、そこはサラっと流してしまった方が良いように思う。
でもまぁ、鍵関係無いんですよね。
人をおちょくってるみたいで、何とも腹の立つ物の怪です。

名前: 幻灯花 ¦ 00:22, Friday, Apr 02, 2010 ×


一体男は何をしたかったのかわからないけれど
ニヤニヤ笑いが目に浮ぶようで気味悪い
適度な改行で全体的に読みやすかった

名前: ゼリコ ¦ 00:18, Sunday, Apr 04, 2010 ×


わけがわからない、怖くて厭な話ですね。
やはりしっかりとした施錠は大事、というところでしょうが、壁抜け扉抜けをする様な存在には施錠の有無は関係ないですね…

名前: どくだみ茶 ¦ 23:07, Thursday, Apr 08, 2010 ×


怪談点…0.5
文章点…0.5

そうそう、泥棒には5分もあれば十分ですし、ほんの僅かな間でも家を空ける時は施錠は必須です。
それをわざわざ教えてくれた通りすがりの男には感謝せねばなりませんね。
不条理な話で面白いと思いました。
最初は寝ぼけてそういう幻を見たとも考えられると思いましたが、どうやらそういうことではなさそうです。
ともすると「寝ぼけていたんでしょ」と指摘されてしまいかねない話ですが、それを許さない武装が施されている文章も良い。

名前: C班 山田 ¦ 01:18, Tuesday, Apr 20, 2010 ×


親切な通りすがりの方でしょうか?
夕方、両親が不在の家に怪しげな訪問者が……という話って、けっこう多いですよね。

名前: 丸野都 ¦ 23:52, Monday, Apr 26, 2010 ×


ネタ・恐怖度:0
文章・構成 :1 

紳士な怪異もいるところにはいるものである。
この話の肝は、現れた怪異に対する解釈が、読んでいる最中に二転三転するところにあるように思う。
すわ、霊? → いや、生きている人? →やっぱり霊だった! ショートショートのような展開の妙を堪能させてもらった。

名前: オーヴィル ¦ 20:41, Thursday, Apr 29, 2010 ×


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