超-1/2010審査用チェックリスト
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柴田さんが昔住んでいたアパートの隣には、大家さん一家の住む一戸建ての家があった。 アパートの二階にある柴田さんの部屋からは、そんな大家さん宅の小さな庭が丸見えなのだが、とある夕暮れ時、その庭に見慣れない人物が居て気になった事があった。 素材は解らないけれども体にぴったりとフィットした黒っぽい生地に、白い水玉模様が首元から踝の辺りまでびっしりとプリントされた全身タイツのような服を着た男が、大家さん宅の長男、浩介さんが大切にする、庭の片隅に停められたカワサキの四百ccのバイクに跨っていたのである。 男はアクセルを捻ったり車体を左右に揺らしたり、エンジン音を真似ているのかぶふうぶふうと呟いたりしていた。 身長百八十センチ超えの明らかな成人の体つきをした男がとるその稚拙な行為は、その異常な身なりと相まってとても不気味に映ったという。
そんなところへ折りよく朝から家族全員で買い物に行っていた大家さん一家が戻ってきた。 門が開く音に気付いたのか、男はバイクから飛び降りると、庭の角っこにあるどくだみ草の茂みの中へと滑り込んでいった。 その様子を見て柴田さんは、これはすぐに報告しなければと部屋の窓から身を乗り出し、玄関を開けようとする大家さんを呼び止めて、つい今さっきまで目にしていた出来事を手短に伝えた。 すると思った通り、そんな怪しげな男など親戚にも知り合いにも居ないと、大家さんは玄関内に立てかけてあったゴルフバックからドライバーをさっと取り出して、そのままぐるり庭の方へとまわり様子を伺いにいった。 しかしいくら茂みの中を探って見ても、またその周囲の人が隠れられそうな場所を調べても、男の姿はどこにも見当たりはしない。
大家さんの身に危ない事があればすぐに助けに入ろうとしていた柴田さんは、ずっと窓に張り付いており、男が潜り込んでいった茂みからも殆ど眼を離してはいない。 仮に柴田さんの目を盗んで男が逃亡を謀ったとしても、百八十センチオーバーの巨体、気付かない訳が無い。加えて大家さん宅の庭は三方を二メートル以上ある塀でぐるりと囲まれている。這い上がろうともがく姿があれば、尚の事目に付く筈である。それにも係らず、物置から縁の下、果ては家の中までと、考えられる場所を全部探し回ってみても、男の姿を発見することが出来なかったのである。
その後、本当にそんな怪しい男なんか居たのかと、大家さんから訝しげな眼で見られるようなった柴田さんは、次第に居心地の悪さを感じるようになり引越を決意する。
引越しの日前日。大家さん宅がなにやら騒がしい。どうしたのだろうと柴田さんが訪ねてみると、長男の浩介さんが隣県でバイク事故を起こしたという話を聞かされた。ただし、事故がどの程度のもので、浩介さんに怪我の具合等は、「まだどういった状況なのかはよく解ってないし、あんたに詳しく話す義理もない」と、それ以上は教えて貰うことは出来なかった。 そして引越しの日当日。浩介さんのその後のことも気になっていた柴田さんが、最後の挨拶も兼ねて改めて大家さん宅へと赴くと、「浩介のやつがさぁ、『バイクのエンジンの辺りから突然ぶぶっぶぶっておかしな音が鳴り響いて、そしたらそれに合わせて車体が左右に有り得ないくらいに激しく揺れだしたんだ! だから事故ったんだ!』って繰り返し繰り返し喚いてんだ。なぁ? あんた、あいつのバイクになんか変な細工したんじゃねぇか?」、と疑念と怨嗟に満ち満ちた眼で睨まれた。 突然の根も葉もない言い掛かりに戸惑う柴田さんは、その後、挨拶の言葉も碌に無いまま、まるで厄介払いされるかのように大家さん宅の玄関から追い払われた。
そのまま釈然としない気持ちでアパートを後にしたという柴田さん。もう当時のことはあまり思い出したくはありません、と不愉快そうな面持ちで最後にそう付け加えて話を締め括った。
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» 【−2】亀裂 [闇夜に紛れて覗く者から] × これは判断が難しい。怪異の裏付けとして、「殆ど眼を離してはいない」と言われても説明にはならないのである。文章として表現しなければならない点は、多く存在する。目撃した窓と庭の距離。庭の広さ。庭を中心とした、家、バイク、茂み、門の位置関係。二メートルの塀が ... 続きを読む
受信: 13:46, Sunday, Feb 28, 2010
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受信: 12:33, Saturday, Apr 03, 2010
■講評
水玉の全身タイツと言う 可愛いんだか不気味なんだかよく解らない男から 大家さん一家を必死で守ろうとしていたのに 肝心の男が消えてしまった為却って訝しく思われてしまう。
長男のバイク事故についても 「あんたに詳しく話す義理もない」と冷たく言われ 終いに細工をしたのでは、とまで疑われる。
柴田さん側の立場で読んでいるということも あるかも知れないが、 そんな疑心暗鬼な大家さんのアパートは 引っ越して正解である。
さて、怪は何処かと言うと 全身水玉タイツという訳がわからん出で立ちの男。 180%uE38E9Dはあるだろう身長にもかかわらず 消えてしまったこと。 男が跨って揺らしていたバイクの事故。 ・・の3つである。
全身水玉タイツは突飛過ぎて信じたい願望はある。 けれど他の 消えてしまったというのは、大家さんの家の庭と 玄関がどれ程離れているのか、など、位置関係も 今一つ解らないので何とも言えず。 庭が丸見えと言っても茂みの奥は見えない。 [殆ど]目を離さなかったと言っても大家さんに 説明している間は目を離していたのかもしれない。
バイクの事故も結びつく確証が無い。
・・という弱い根拠になってしまう。 すべて柴田さんの証言頼みである。
ということから[怪]自体が弱いので 全身水玉タイツ男(このネーミングは何だ)によって 大家さんと柴田さんの関係に[亀裂]が入ってしまった ・・という著者がつけた、このタイトルは妥当なのかも 知れない。
全身水玉タイツの希少度:1 文章力:1
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名前: RON ¦ 15:37, Wednesday, Feb 24, 2010 ×
全身水玉タイツって……。 昔あったレモンスカッシュの缶を思い出した。 いや、そうじゃなくて、この男はなかなか珍しいと思います。 この男にもっとスポットを当ててもらえると、話としてインパクトがあったように思えます。
文章の方はそれなりに読み易いのですが、細かなところで描写不足な点、文法の粗が目に付きますね。 粗に関してはもう一研磨していただければ良いとして、不足に思えたのが、まず水玉男の描写ですね。 体格で成人と判断しているようですが、このタイツの描写を見る限り、顔は出ていたのではないでしょうか? この男が怪異の肝かと思いますので、顔が出ているのか出ていないのか、出ているならば、どうして見えなかったのか等、もう少し状況は丁寧に書いて欲しかったところですね。 逆に、後半、バイク事故の方は関連性が少々微妙にも思えるので、もう少しさらっと書いても良かったかもしれませんね。
文章:0 希少性:1
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名前: ていさつUFO ¦ 20:11, Wednesday, Feb 24, 2010 ×
怪は描かれているのだが、その扱いがぞんざいになってしまっている。 その理由は話者と大家一家との関係性の描写にある。 転居を決意するほどの不仲になった事と怪との関連があるように構成され、題名もそれを意識した「亀裂」となっているが、果たしてそうだろうか。 転居は金銭や物理面だけでなく相当な気力も要する一大イベントであり、それ故に心霊物件から逃げ出せずにいる人も多いくらいである。 それを押してまで転居を行うほどの亀裂について、怪がきっかけでとしか書かれておらず、双方の性格の変貌から決定的な亀裂までの変節が一切省略されてしまっているのだ。
これでは、悪いこと全てを怪の所為にしているだけとしか思えない。
話の締めも怪ではなく大家一家への不満で終わっており、あらゆる意味で怪をないがしろにしているように感じた。 謎の巨漢の風貌をより詳細に描き、大家一家との確執は伏せる事で、奇妙な怪談としての質を上げることが出来たのではないだろうか。 怪の妨げになるものを削ることは、決して悪いことではない。 |
名前: amorphous ¦ 20:50, Wednesday, Feb 24, 2010 ×
長すぎて的を得ていないし、この柴田さんが見た素材はわからないが、黒いフィットした生地に白い水玉模様が襟から踝までプリントされた全身タイツのような腹を着た男が、大家さんの長男浩介さんのバイクを握っていたから、事故った!これでは、この犯人が、ただの家宅侵入で変態としかとれないし、この人が、犯罪者扱いされ迷惑した文としかとれないのであるから。 |
名前: 天国 ¦ 21:58, Wednesday, Feb 24, 2010 ×
全身水玉タイツのインパクトにやられますが、怪なのかなあ、という部分で疑問。 柴田さんの思い込みに過ぎないと言われたらそうかもしれないというレベルですし。 ただ、人間関係って壊れると怖いなあというのは確かに読み取れます。 これは別の怖さですね。 |
名前: 捨て石 ¦ 22:28, Wednesday, Feb 24, 2010 ×
水玉タイツか。ドンキホーテには売ってそうにないし、やっぱり怪しの物ですかね。 大家さんの住居が隣にあったということは、学生アパートっぽいんですが、引越しの費用は大変だったのでは。 いずれにしろ、引越しするほど仲違いするのもお互いに大人気が無いような。 ネタ・0 構成・0 文章・0 恐怖・0 |
名前: 一反木綿豆腐 ¦ 22:50, Wednesday, Feb 24, 2010 ×
180センチオーバーの水玉男。色んな意味で怖い。 庭先にあるバイクを見つけては跨って、気分だけ味わっているのかもしれない。
こうやって逃げたんじゃないの?と疑われそうな要素を全て潰したかったのでしょうか。「気付かない訳がない」「目に付く筈である」と次々にに訴えられると、かえって胡散臭く思えてしまいます。 「その後、本当にそんな〜」以降は、柴田さんがきつく責められる様子ばかりが強調されていて、大家さんの言い掛かりにしか見えません。先にも述べた通り、事故との関連性が弱いからというのもあります。
男が消えた後の内容に不満が多く、出だしで受けた強烈な印象が薄れてしまいました。もう少し男について詳しく書いて、「〜とても不気味に映ったという。」までで終わらせてもいいかも。(±0)
※修正、再送信しました。配点は変わらずです。 |
名前: 雨四光 ¦ 23:14, Monday, Mar 01, 2010 ×
文章力 +1 稀少度 0 こわさ 0 衝撃度 +1
全身タイツというのが意味不明。どうしてこんな形で出現したのだろう。 しかもバイクにまたがるなんて、見ればリアルな人と思っても仕方がない。 私は、大家さんの言動の方がある意味こわい。 店子を居づらくさせたり、息子の事故に取り乱して騒いだり、もしかして謎の男は大家さんの運気を下げるのが目的の祟り神ではないのかと思った。
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名前: つなき ¦ 23:03, Tuesday, Mar 02, 2010 ×
せっかく親切心で行ったことなのに、柴田さんには本当にお気の毒でしたね。大家さんのお気持ちも、まぁ判らないではないですが、勧んでこういう人とお付き合いしていいことがあるとは思えないし、離れて正解だったのではないでしょうか。
その変な水玉模様の全身タイツの大男ですが、前半の時点では怪異ともリアルとも受け取れて二重に気持ちが悪いです。その後の浩介さんの事故で、「怪異」だったのだと判断ができますが、柴田さんには全く心当たりがないのでしょう。浩介さん、もしくは大家さんにはなにか心当たりがあったのでしょうか? だから柴田さんに当たるような、失礼な対応をとってしまったのかもしれないとも思えます。
何度も大家さんに失礼な態度を取られつつも、最後まで礼節を欠かさなかった柴田さんのお人柄は本当に素敵ですね。
・臨場感0 ・没入度+1 ・表現0 ・恐怖0 |
名前: ダイタイダイダイ ¦ 22:07, Saturday, Mar 06, 2010 ×
変な水玉男はたぶん幽霊に違いないし、大家さんか長男が誰かに恨まれていて事故に遭ったのかもと思ったから。 |
名前: 極楽 ¦ 16:03, Tuesday, Mar 09, 2010 ×
これは判断に困りました。
怪異そのものよりも大屋さんとの確執のようなものの方に焦点が当てられてしまったような印象です。
ただ、見たことを正直に伝えたのに、反対に疑われるなんて。 そういう意味でも災難だったと思います。 それだけ険悪な雰囲気だったのに、大屋さん宅に行かれるのも、礼儀正しいというか…。
柴田さんが見た男の人が、何だったのか分からないままですが、これを怪異とし、事故と結び付けてしまうのには、情報が少なすぎたかと…。
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名前: 鶴斗 密喜 ¦ 23:43, Saturday, Mar 20, 2010 ×
後味が悪い 1
黒に白の水玉の謎の男が怖いというより、柴田さんを疑ってかかる大家さんのほうが怖いと思ってしまった。
黒に白い水玉……紫斑? 腐りかけた人がバイクに取りついたのかと思って読んでしまった。 |
名前: ぬんた ¦ 00:59, Sunday, Mar 21, 2010 ×
文章0 恐怖0 希少0 魅力0
おとなげない大家さんですね。 その後体験者さんが引越しをしなきゃならなくなるほど、肩身の狭い思いをさせた大家さんの人間性にビックリしました。 長さの割に怪にあまりインパクトを感じられないのは書き方でしょうか。 どうも体験者さんの大家さん側に対する不満というか、そういうものの方が大きく出てしまったように感じます。 人間関係の亀裂よりも水玉男に焦点を絞って書き直せば、相当違った印象の作品になりそうな気がします。 |
名前: 幻灯花 ¦ 00:35, Friday, Apr 02, 2010 ×
全身タイツの男っていうのが笑いと気味悪さ紙一重 バイク事故はやっぱりそいつのせいだったのでしょうか |
名前: ゼリコ ¦ 00:16, Sunday, Apr 04, 2010 ×
水玉模様の全身タイツ姿の怪しい男(!)が生身の人間なのか霊なのか微妙ですが、体験者さんにはとばっちりな話ですね。 “と、話を締め括った”という様な文章の終わりかたは時々見かけますが、なんだか蛇足的になってしまうと思います。
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名前: どくだみ茶 ¦ 00:07, Friday, Apr 09, 2010 ×
怪談点…0.5 文章点…0.5
派手な妖物ですね。 バイクが好きだったんでしょうか。 そんなふざけた野郎のために引っ越すことになろうとはとばっちりもいいところです。
ただ、その一件だけで引っ越さないといけないくらいに大家さん一家と険悪になるというのが大げさすぎるようの感じます。 実際にはほかにもいろいろとあったのでしょうが、文章がそのことを伝えていません。 書き手はその部分はこの話の中ではさほど重要ではないと判断し、そこに紙面を割いて全体のリズムを崩すことを避けたということでしょうか。 こちらでは判断がつきかねるので、そこは点数には反映しないこととします。
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名前: C班 山田 ¦ 01:19, Tuesday, Apr 20, 2010 ×
怪異を目撃した後の話は必要だったのかな……と思ってしまいました。因果にしては弱過ぎる印象です。 |
名前: 丸野都 ¦ 23:54, Monday, Apr 26, 2010 ×
ネタ・恐怖度:0 文章・構成 :1
全身タイツの男の行動が奇抜すぎて、その後に続く文章の勢いが削がれてしまった感がある。 文章は読みやすく内容もすんなり頭に入るのだが、いまひとつ物足りない。 理不尽さを全面に押し出した怪談風に仕立てても良かったのではないだろうか。
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名前: オーヴィル ¦ 20:40, Thursday, Apr 29, 2010 ×
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