超-1/2010審査用チェックリスト
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西村曰く、それは梅雨の時期に突然生えたそうである。
手首ほどの細い首、ところどころ固まったわかめのようにうねる長い髪、血走ったキツネ目の女が床から生えて、睨みあげるのだそうだ。 フローリングの部屋の真ん中に、ぽこんと。 あまりにもはっきり見えるので人形かと思ったが、女の目は自分の動きを追うように動くので、造りものでないことがわかった。 普段自分の部屋をたまり場にしている悪友数人を呼んで頭を指さしたが、全員ハテナ顔だ。何も見えないらしい。 変人呼ばわりされたくなかったので、なんでもないと誤魔化した。 幽霊や物の怪の類は信じないので、多分幻だろうと思うことにする。 どこかで見た顔のような気もするが、気持ち悪いのでまじまじと見たくない。 頭はその場所から動かないし喋ることもない。部屋は狭くこれを避けながら過ごすのは不便だが引っ越す金も無い。 実害は無いと判断しそのまま生活した。
ある日合コンで知り合った女を部屋に泊めることになり連れ帰ると、頭だけの女とその子の目が合った。ように見えた。 すると頭はでかい口をひしゃげてにたりと笑った。あ、笑ったの見たの初めてだ……と思ったそうだ。 女の子は傍目に見てもわかるほどガクガクと震えだし、足をもつれさせながら部屋から飛び出してしまった。 追いかけたが「あんたヒドすぎる!」と怒鳴られ突き飛ばされてしまった。 女日照りの毎日に終止符を打てると思ったのに。 腹が立った。 翌日部屋に友人を4人呼び飲み会をした。自分達が呑んでいる横で頭がにたにた笑っている。 糸目が垂れ下がっていて気色悪い。 「なぁ、お前なんでさっきからそんなイライラしてんの?てゆーかどこ見てんの?」 友人の一言で、西村の中の何かがぷちっと切れた。 「あたま」 そう呟くと立ち上がり、頭の前までつかつか歩み寄った。 全員が「はぁ?」と声をあげて見守る中で、チャックを下ろし頭に向かっておしっこをかけた。 「なにやってんだお前ー!」 友人達が露骨に後ずさってどん引きする中、西村は放尿の快感に酔いしれていた。 頭は、細い目をまん丸くしてビックリした顔をしていた。 視界がひっくり返り頭に衝撃が走る。意識はそこで途切れた。
「だいぶ酔ってたんだろうね」 出しきったあと倒れて寝てしまったらしく、気付くと翌日の昼になっていた。 薄情にも友人達は部屋をちらかしたまま帰ってしまっていた。 激しい頭痛に顔をしかめながら友人の一人に電話をすると、どこかよそよそしい。 痴態を晒したことを謝ると「いやそうじゃなくて」と切り出された。 西村の尿がかけられた床から、しゅ〜しゅ〜と湯沸かし器のような音がして真っ黒い煙がもうもうと立ち上ったのを全員が見たと言うのだ。 友人達は気味が悪くなり、悪いとは思ったが帰ってしまった。 チラリと頭が生えていた場所を見ると、奴はいなくなっていた。 その代わり、人の頭ほどの真ん丸い黒い染みが、穴のように広がっていた。 西村はこれで女の子を呼べると喜んだが、その後そのような幸運に恵まれることは、残念ながら無かった。 彼は9ヶ月後に引っ越したが、敷金が返ってこないと憤っている。
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» 【+2】あたま [【超-1】講評専用ブログ 〜闇夜に烏がにゃあと啼く〜から] × 何ちう乱暴な。余程腹に据えかねていたんだな。塩ならともかく、尿でも効果があろうとは思わなかった。まあそれで撃退出来たのだから大したものである。小便を掛けられた「あたま」の方も、よもやそんな仕打ちをされるとは思ってもみなかっただろう。見えなかった友人達 ... 続きを読む
受信: 02:31, Friday, Apr 09, 2010
» 【0】あたま [闇夜に紛れて覗く者から] × どうも所々の説明や描写が、引っ掛かった。「多分幻だろうと思うことにする。」その割りに避けながら過ごすや、実害が無いなどと一貫性を感じられない。「どこかで見た顔のような気もするが」後に触れないのであれば、思わせ振りなことは書かない方が良い。部屋に連 ... 続きを読む
受信: 01:38, Saturday, Apr 10, 2010
» [超−1]【+3】あたま [幽鬼の源から] × 冒頭の一文からスッと入っていける作品という印象だった。 “生えている”という表現が良い意味で引っ掛かりを生み出しており、読み手の興味を惹くことに成功していると言えるだろう。 明確な状態は書かれていないが、おそらく床から首の付け根が生えていて、その様子 .. ... 続きを読む
受信: 09:51, Saturday, Apr 17, 2010
» 【+2】あたま [2010超−1 講評から] × 文章+1 怪異+1一行目がなんとも強烈でキャッチーです。突然生えたという表現が奇妙で引き込ませます。とくに引っかかるようなとこ繧... ... 続きを読む
受信: 12:31, Friday, Apr 23, 2010
■講評
そりゃ敷金返ってこないだろうよ。 それにしても霊におしっこをひっかけて退治? 出来たとはびっくりである。 (塩じゃなくて?!)と、そのメドゥサのような頭の霊も 驚いたであろう。
はっきり言ってあまり好みの内容ではないが 体験者のリアルな心情と突飛だが性格の解る行動 が読み取り易く書かれている。
[何処かで見たような顔]とのこと。 是非体験者に何処で見たのか思い出して欲しい。 そして、もはや聞くすべも無いだろうが女の子が見た ものとその頭は一致していたのだろうか。 そんなものを見て「あんたヒドすぎる!」と言うであろう かと疑問に思った。
得てして体験者の恐怖が伝わってこない体験談は 読み手も冷めてしまったりするのだが あまりにも行動全体が何か強烈で、冷める前に終わって しまった。
希少度:1 パワー:1 |
名前: RON ¦ 20:26, Thursday, Apr 01, 2010 ×
西村君!幽霊の頭に尿をかけたんだから、当然敷金は返ってこないと思うから。 |
名前: 天国 ¦ 21:20, Thursday, Apr 01, 2010 ×
軽妙洒脱ですね のっけから引き込まれました ちゃんと怖くてオチは笑える お見事! |
名前: ゼリコ ¦ 22:50, Thursday, Apr 01, 2010 ×
同僚の古い友人の風呂場のタイルに顔が浮かび上がるのを昔聞いた。 その顔は、塩をすり込むとしばらくは消えるらしいが、また浮かび上がる。 西村君もてっきりそうするかと思ったのに、まさかおしっこをかけるとは。 同僚に教えてみようか…でもシミになっても困りますね。
合コンで知り合った女の子に霊感があるのかは分からないですが、ひょっとして連れ込んだ事に腹を立て、 自分でワザと女の子に見えるようにしていたりして。 床の女は西村君を気に入っていたのかも、それに対しておしっこの仕打ち、腹が立ったんでしょうかね。
家に出てほしくない +2 |
名前: ume ¦ 00:53, Friday, Apr 02, 2010 ×
部屋でこの頭と二人っきりってのは嫌ですね……。 これ、掃除する時とかどうするんだろう……。 ダンボール箱とかで隠そうとかはしなかったんですかね。 酔った勢いのおしっこで撃退出来るのは意外でした。 何かあった時に試し……たくはさすがにありませんね。 話としてはなかなか珍しかったと思います。
文章の方ですが、冒頭、女の頭が生えているところがちょっと解り辛く、最後まで状況をイメージし切れなかったのですが、全体的には読みやすく、面白かったと思います。
文章:1 希少性:1
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名前: ていさつUFO ¦ 20:58, Friday, Apr 02, 2010 ×
文章力 +1 稀少度 +1 怖さ 0 衝撃度 +1
塩ではなくて、尿で祓ってしまうところはすごい。「頭」も相当驚いたと見える。 気味の悪い描写がなされていた頭なのに、それっきりだもの。 頭は去っても、床にそれだけの跡が残ったのならば敷金は当然返ってこないでしょう。 |
名前: つなき ¦ 20:11, Tuesday, Apr 06, 2010 ×
ああそれはまた大胆なことをw そんなことしたら、ちん○んが腫れあがってしまいますよ。友人達も唖然としますわな。黒煙が出たから良かったものの、何も変化が無かったら、質の悪い泥酔者です。敷金、戻るわきゃないですね。 ネタ・1 構成・0 文章・0 恐怖・0 |
名前: 一反木綿豆腐 ¦ 18:21, Saturday, Apr 10, 2010 ×
かなり強引な手法ではあるが、尿には塩分も含まれており、塩を撒くのと同義ではあるかもしれない。 妖怪の類は唾などの不浄を嫌うともされており、そういった効果もあったのかもしれない。 結局は不快な思いをさせて追い出したのだろうと思うが。
自分の動きをストークする狐目の女の首というのも気味が悪い。 これがそれなりの美人顔であれば同居も楽しかったのだろうが、きっとそうではなかったのだろう。
酒の勢いとは言え、話者の大胆な除霊には驚いた。 |
名前: amorphous ¦ 03:00, Tuesday, Apr 13, 2010 ×
頭だけの存在の話も案外ありますね。 このお話の場合は体験者さんが頭に向かって放尿したところでオチがわかってしまいました。 とても気味の悪いお話なのに、体験者さんが淡々としている事とオチのためか怖くはなく、厭感だけが残るお話になっている様な。
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名前: どくだみ茶 ¦ 22:02, Tuesday, Apr 13, 2010 ×
全員が真っ黒い煙を見たというのも凄いですね。
所々で疑問点があり、そちらの方で気になってしまいました。 「幽霊や物の怪の類は信じないので、多分幻だろうと思うことにする。」と言っておきながら、その後の行動が辻褄が合っていない。
生えてきた頭と目が合った女の子の「あんたヒドすぎる!」というセリフ。 何か埋め込んでいるとでも思っての言葉だったのだろうか?と。
頭が出てくる、というのはたくさんあるお話ですが、尿をかける、というのは初耳ですね。 |
名前: 鶴斗 密喜 ¦ 21:49, Saturday, Apr 17, 2010 ×
友人をやり過ごし、幻だと自分に言い聞かせ、実害はないのだからと妥協する。しかし女に逃げられ、友人には馬鹿にされ…という過程が淡々と描かれているのですが、西村さんが感情を殺しつつも苛立ちを募らせているのが伝わってきます。 どこで限界を迎えるんだ?という期待が高まり、「うわー、ついにキレたー!!」と妙に興奮してしまいました。
キレてからの行動は期待以上。これ位のことをしなきゃ気が済まない、後先など考えるものかと言わんばかりの大胆さ。 酒の力を借りているとはいえ、西村さんの「静」と「動」のギャップが大きすぎて、目が点になりました。
キツネ目の女が現れた意図が掴めません。 連れ込んだ女の子以外には、これといった害を与えていないんですよね(床が傷んだのは西村さんの過失でもあるということで)。 西村さんには分からないように、女の子にこっそりと何かを仕掛けていることに違和感が。ただの嫌がらせなら、隠す必要はないと思うのです。実は西村さんに惚れていたのでは。結局は反感を買っているだけなので、何だかなあ…なんですけども。 「見た顔のような気もする」、ここに真相が隠れていそう。
最も気になるのは消え方です。尿に含まれる何らかの成分によって、化学反応が起きたのだろうか。友人たちには煙だけが見えたというのも興味深いです。 初めて尽くしで楽しませていただきました。ごちそうさまでした。(+4) |
名前: 雨四光 ¦ 03:49, Wednesday, Apr 21, 2010 ×
途中までは怖くてドキドキしながら読み進めていたんですが、まさかの放尿に呆然としました。敷金が返って来ない程度で済んでよかったのではないでしょうか。その、申し上げにくいのですが腫れたり枯れたりしなくて。
西村さんにだけ、その頭が物理的に存在するがごとく見えていたということと、 >どこかで見た顔のような気もするが、気持ち悪いのでまじまじと見たくない。 この一文に、この女性が実在するのではないかと憶測しております。例外的に、泊めようとした女性にだけ見えたということも根拠です。生霊というか、ひょっとしたら西村さんに好意を抱いていらっしゃる方なのかもしれないと思い、読み進めておりましたので、放尿には参りました。「呆然」としか言いようがありません。
最後の最後に黒い煙として部外者にも見えたということは、かなりインパクトがありますね。どんな尿だよという感想もありますが、かけられた方も相当なエネルギーを放出させるような怒りを感じたのでしょう。その瞬間で怒りが解放されきったせいで、その後、何も怪異が起きなかったのかもしれませんね。そんな目に遭えば、どんな恋だろうと醒めるでしょうし…。
文章が読みやすく、描写が的確で、かなり特異なお話でしたがスムーズに読むことができました。西村さんの行為も描き方によっては嫌悪感を招きかねませんが、巧いバランスでそれを免れていると思います。
・臨場感+1 ・没入度+1 ・表現+1 ・恐怖+1 |
名前: ダイタイダイダイ ¦ 20:22, Saturday, Apr 24, 2010 ×
敷金は無理でしょうね。 尿祓い、とは珍しい、のかな。無い訳では無いみたいですけれども。 しかし不思議な感じですね。出現のしかたも謎なら、表情が出始めた切っ掛けも謎。 謎謎だらけなんですが、なかなか面白く読ませて頂きました。 最後の友人達が一同黒い煙を見たという部分が怪異の客観性を担保していて良かったと思います。
しかし尿なあ。 |
名前: 捨て石 ¦ 11:23, Monday, Apr 26, 2010 ×
文章0 恐怖1 希少1 魅力1(衝撃度)
あたま、びっくりした表情もするんですね。 そういうところが人間ぽくて面白かった。 連れ込んだ女の子には何が見えていたんでしょう? 気になるから是非何とかして聞きだして欲しかったなぁ。 部屋にきのこが生えたらイヤだけど、あたまが生えたらもっとイヤだぁ。 生えてもこの除霊法はなかなか真似できませんが。 |
名前: 幻灯花 ¦ 15:47, Tuesday, Apr 27, 2010 ×
ネタ・恐怖度:1 文章・構成 :1
怪異が地味な分、浄霊の手段で意表をつかれた。その発想は無かったわ。 文章も、読み手を惹きつける構成で好感が持てる。 結句、この生首の正体は何だったのだろう。逃げ去った女の子に、何に対して「ひどい」なのかを伺ってみたいものである。
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名前: オーヴィル ¦ 20:19, Wednesday, Apr 28, 2010 ×
怪談点…1 文章点…1
なるほど〜、怪異には小便が効くんですねぇ。
どことなく軽い調子でありながらも、完全に笑いに走らず奇妙な雰囲気を出すことに成功しています。
なぜそんなものが現れたのか理解に苦しみますが、そこが怪談の面白さになっています。 部屋に連れ込んだ女の子が何を見たのかがはっきりとは書かれていませんが、それを思うに男としてはやはりこの怪異、質が悪いとしか思えませんね。 そりゃ怒りたくもなるでしょう。
小便かけて消えた後に黒いしみが残ったということは、溶けてしまったということでしょうか。 それはそれで面白い。 |
名前: C班 山田 ¦ 17:03, Thursday, Apr 29, 2010 ×
頭とのユーモラスなやり取りが面白かったです。若干、点数が低いのは個人的な好き嫌いで、常時同じ場所に存在する怪異というのに対して、あまりリアリティを感じないからですが、まぁこれは個人的なものですので。 |
名前: 丸野都 ¦ 22:05, Thursday, Apr 29, 2010 ×
茸が生えてるような感じで頭が生えていたんでしょうか。 突然オシッコかけられて、さぞかし驚いたでしょうね。
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名前: 極楽 ¦ 00:35, Friday, Apr 30, 2010 ×
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