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刈部くんの食事
 渡貫さんは、大学時代に舞台設営のアルバイトをしていた。
「舞台ごとに設営の会社が募集をかける方式だったんです。人員の入れ替わりは激しかったですよ」
 大学生活を通して働いていたので社員の覚えもよく、時には新入正社員に仕事を教えることもあったという。
 渡貫さんが四年生のとき、新しいアルバイトが入ってきた。
「刈部くんって名前なんですけどね。ガリガリに痩せているんです。アルバイトは力仕事が主なので、ちゃんと勤まるのかな、て心配になっていたんです」
 そんな渡貫さんの心配とは裏腹に、刈部くんは細い身体でよく働いた。どこからこんな力が、と内心驚くほどだった。
 刈部くんは他のアルバイトと誼を通じている気配はなかった。休憩時間でも、皆の輪から外れたところに座っていたのである。
「みんなのいるところで、物を食わないんです。昼になると、出された弁当を持ってそそくさとどこかへ消えてしまうんですよ」
 一度、アルバイトで集まって飲み会を開いたことがあった。刈部くんも参加したのだが、ビールをちびちびと飲むだけで、出された料理に箸を付ける気配がない。
「食わないの?」
 渡貫さんが水を向けると、刈部くんは「人前で食べるのが苦手なんです」とぼそぼそと答えた。
 手付かずの料理は他のアルバイトが食べてしまったが、刈部くんは別段気にしていないようであった。
「まあ、そういう性格の人なんだろうな、くらいに考えていたんです」
 
 秋のある日、設営の現場に渡貫さんはいた。刈部くんも仕事に参加していた。
 昼になり、弁当が支給された。刈部くんはそのうちの一つを手に取り、いつものように物陰へと消えていく。
「それを見て、どうしても物を食べている場面を見てやりたくなりまして」
 こっそりと後をつけることにした。
 刈部くんは舞台袖の隅っこで、背中を丸めていた。緞帳の陰に隠れ、じっと様子を窺う。耳を澄ませると、食べ物を咀嚼する音が聞こえてくる。
 間違いない。刈部くんは、弁当を食べている。
 悪戯心が渡貫さんの中に芽生えた。足音を殺してそっと背後に忍び寄る。
「わっ!」
 後頭部へ向けて、大きな声を出してみた。
 刈部くんは弾かれたように振り向き、勢い余って仰向けに転がった。手からは食べかけの弁当が落ち、開いた口には鶏の唐揚げが収まっている。
奇妙な光景だった。
 口は大きく開かれたままなのに、唐揚げは床に落ちもせず口内に留まっている。
 眼を凝らすと、刈部くんの口の中に黒く小さな人影が潜んでいた。その両手が、唐揚げをしっかり掴んでいた。
 頭部と思われる丸い部位は、髪の毛はおろか目鼻立ちすら判然としない。
 人影は唐揚げを抱えたまま、俊敏な動きで刈部くんの喉の奥へ消えた。それとほぼ同時に、口は堅く閉ざされた。
 刈部くんは渡貫さんを見据えたまま、口をもごもごと動かしながら床に散らばる弁当を片付け始めた。
「誰にも言わないでくださいよ」
 すれ違いざまに低い呟きを残して、刈部くんは設営現場へ戻っていった。
 渡貫さんはしばらくその場から動けなかった。

 それから刈部くんは二、三回ほど仕事に来たが、冬を迎える前にぱったりと来なくなった。
「それっきりです。僕も卒業の直前にアルバイトを辞めたので」
 刈部くんと再会することは、今日までただの一度も無いという。




18:43, Thursday, Apr 01, 2010 ¦ 固定リンク ¦ 講評(17) ¦ 講評を書く ¦ トラックバック(4) ¦ 携帯


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餓鬼のようなものに取り憑かれているのかと思っていたのだが、まさか口の中で共生していようとは。さすがにこれは初見。予想外だった。ただ、ちょっと疑問も。どれくらい大口を開けていたのかわからないが、そんなにしっかり見えるものかな、と。まあ違和感を感じればそ ... 続きを読む

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» 【+1】刈部くんの食事 [闇夜に紛れて覗く者から] ×
起こった怪異は、希少なものと判断する。しかし、上手く表現出来なかった様にも感じる。実際にその場を想像すると、「人の開けられた口に唐揚げが位置し、その脇に小さな人影が潜んでいる」という状況は判別不能なものと思われる。キーワードが、「奇妙な光景だった。」 ... 続きを読む

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タイトルと最初の“人前で食事しない”ということから、おおよその見当をつけて読んでいたが、それでも口の中に潜むあやかしの存在は衝撃的であった(個人的には人面疽みたいなものを想像していたわけだが)。 話の展開自体は非常にオーソドックスなものを感じさせる、 .. ... 続きを読む

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文章0 怪異+1文章は概ね読みやすかったのですが、気になったところが一点あります。それは口の中から黒く小さな人影が現れるところ縺... ... 続きを読む

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■講評

刈部君は、一体何者だったのか?宇宙人それとも?口の中で黒く蠢く小さな人影は?どこかわかりずらく意味をなさない文だから。

名前: 天国 ¦ 20:23, Thursday, Apr 01, 2010 ×


今までにないタイプの話ですね
刈部君と小さな人影はギブ&テイクの関係だと
パラサイトダイエットみたい……

名前: ゼリコ ¦ 22:35, Thursday, Apr 01, 2010 ×


そんなものを口の中に飼っていて大丈夫なのか!?
刈部くん。
誰にも言わないでと言われた体験者は話してしまって
いいのだろうか。

驚いて仰向けに倒れた刈部くんの口が開いたのは
一瞬だったろうに、よく中まで覗けたなあ。。とも思った
のだが、口止めをしたのはやはりそう言う訳なのだろう
なあ。。

魚が口の中に飼っているウオノエのようなものか。
理科の教科書やCMのイメージに出てくるような体内
で栄養分をせっせと腸まで運んでいる人間みたい
なものを想像した。

ガリガリなのに力はある刈部くんは、そんなものに
栄養を取られ、そんなもののおかげで?力を得て
いるのだろうか。

何のきっかけでどういう契約の元に共生しているのか
さっぱり解らないが(あまり解りたくもないが)
とりあえずかなり珍しい話だ。

希少度:1
文章:1

名前: RON ¦ 18:19, Friday, Apr 02, 2010 ×


これはまた奇妙なものを見ましたね。
受け入れてしまっている刈部君の背景が気になりますね。
何かを口にする度に、この黒い人が出てくるんですかね。
物凄い熱いものとかもちゃんと持ってくのかな…?
怖さよりも、地味にその辺が気になりました。

文章の方ですが、概ね読み易くて良いのですが、怪異の肝である黒い人のサイズについての描写がもう少しだけ欲しかったと思います。
から揚げをどういう風に持っていたとか、全身のうちのどの部分まで見えていたとか、その辺を少し触れるだけでもイメージし易くなるので、意識していただければなと思います。

文章:0
希少性:1

名前: ていさつUFO ¦ 19:07, Saturday, Apr 03, 2010 ×


文章力  +1
稀少度  +1
怖さ     0
衝撃度   0

怪しいモノと共生関係!両者の間にはどのような役割分担があるのだろうか。とても気になる。
この様な話は初めてだった。
文章も読みやすく、淡々と語るところに現実味があって好感が持てる。


名前: つなき ¦ 21:00, Tuesday, Apr 06, 2010 ×


吉田戦車の作品に似た話があり、早い時点で展開が読めました。それさえ無ければ、他の講評者の方と同じく、不思議な話と思えたのですが。
ネタ・−1 構成・0 文章・−1 恐怖・0

名前: 一反木綿豆腐 ¦ 14:45, Saturday, Apr 10, 2010 ×


 犬神憑きならぬ小さいおっさん憑きなのか、それともM.I.Bに出てくるエイリアンの類だろうか。
 案外、その小さな人影こそが刈部くんの本体かもしれない。
 小さい方が食事をすればそれで事足りたのだろう。

 それを目撃した瞬間の時間が凍り付く感じと、それが溶けた直後のドタバタとの対比が良く描かれている。

名前: amorphous ¦ 01:43, Tuesday, Apr 13, 2010 ×


珍しいお話だと思います。
が、大口を開けてはいても、口の中にいる小さな人影を見つける事はできるのでしょうか。しかも唐揚げをほおばっていたんですよね?
歯科の診療の様に、明るいライトの下で間近にのぞき込まないと無理なのでは?
そこが疑問に思えます。


名前: どくだみ茶 ¦ 23:07, Tuesday, Apr 13, 2010 ×


すごく奇妙なものを見たのですね。
いつからそんな状態になってたんだろう、とそっちの方を心配してしまいました。

刈部君も勿論知っていたのでしょうけれど、何か対処とかないのかな、とか思いました。

個人的に倒れた刈部君の口の中より、「ご、ごめん」と謝りながら散乱したお弁当の中身とかを気にしてしまうタイプなので、口の中を覗く行動がちょっと感情移入出来ませんでした。

名前: 鶴斗 密喜 ¦ 23:41, Saturday, Apr 17, 2010 ×


ええー!?
こんなの見ちゃったら、何と声を掛けたらいいのやら。
隠したいだろうに口を閉じられない様子。小人を噛んでしまうからだろうか。小人がいないと生きていけないのか、単に諦めているのか。
というか、刈部くん自身が相当怪しいですよ?噛み砕いていない唐揚げと小人が、瞬時に喉を通ったってことですよね、これ…。
まずは驚いて、それから少し戸惑いました。口の中という狭い空間での出来事を、どこまで確認できるだろうかと。
渡貫さんから見て、小人は唐揚げの脇にいたということ?髪の毛や目鼻立ちまで見るのはさすがに無理だと思うのですが、位置関係はハッキリしておいてほしかったです。

希少性はトップクラスだと思います。「奇妙な光景だった。」と間を置いて緊張感を高めていたりして、文章も魅力的です。どちらも満点に値するのですが、どうしてもモヤモヤしてしまったので、半分とさせてください。ごめんなさい。(+2)

名前: 雨四光 ¦ 15:04, Thursday, Apr 22, 2010 ×


刈部くんは、渡貫さんに見られたことでなにかペナルティを課されていないか、まず気になりました。渡貫さんには、特になにもなかったようでよかったです。

刈部くんの口中に黒い小人のようなものが棲んでいるようですが、共生関係なのか憑きものなのか、どちらにも想像できますね。

>開いた口には鶏の唐揚げが収まっている。
という表現で、咀嚼していないある程度の大きさを止めていると判断しましたが、それを喉の奥まで持って行かれても、むせたりしないことが異様に思えました。小人のことは不明ですが、少なくとも唐揚げは確固たる物理的存在ですよね。その後、「口をもごもごと動かしながら」とありますし、再度口中に返ってきたりしたのか、想像が膨らみます。

・臨場感+1 ・没入度+1 ・表現0 ・恐怖+1

名前: ダイタイダイダイ ¦ 22:55, Sunday, Apr 25, 2010 ×


寄生されているのか共生しているのか。
しかし「誰にも言わないでくださいよ」とは奇妙ではある。
刈部くんの側で、「これはおかしなことだ」と自覚しているということだからだ。
一体どんな経緯でこのようなことになってしまっているのやら。
いやいや、刈部くんはそもそも人間だったのだろうか?
珍しいタイプのお話です。

名前: 捨て石 ¦ 10:33, Monday, Apr 26, 2010 ×


文章0 恐怖0 希少1 魅力0

口の中のちっさいおじさんですか。
寄生されてるんでしょうか。
刈部くんとおっさん、どっちが本体なんでしょう。
から揚げが丸ごと喉を通るってことは、刈部くんの体自体がもうおかしい感じがするんですが、ひょっとして彼の体の中は小さい人に食べられちゃってるんじゃないの、なんて考えはさすがに突拍子も無さすぎですかね。

名前: 幻灯花 ¦ 16:56, Tuesday, Apr 27, 2010 ×


ネタ・恐怖度:0
文章・構成 :0 

口の中に棲む何者かの描写が少し判りづらいのが難点。数瞬の間、それも薄暗がりで本当に見えていたのかという点も疑問が残る。 折角のネタを料理の段階でイマイチにしてしまった感が強い。

名前: オーヴィル ¦ 19:14, Wednesday, Apr 28, 2010 ×


怪談点…1
文章点…1

文章はよく纏まっており、それなりに効果を発揮しています。
体験者と同様に、刈部君の食事をしているところを見てみたいという好奇心に駆られました。

それにしても体験者には悪気はなかったのでしょうが、そういう人の嫌がることはやっちゃいけませんね。
やられた方は傷ついたと思います。
まあ体験者のその悪戯心があったからこそ、この怪談は出来上がり、それを読んで楽しませてもらっている私がいるわけなのですが。
口の中にいた小人は一体何なんでしょう。
刈部君は歯医者や風邪を引いて診察してもらう時などはどうしてるんでしょう。
色々と興味深い話でした。

名前: C班 山田 ¦ 18:34, Thursday, Apr 29, 2010 ×


「みんなと一緒に物を食べない」という前半から、予想していたものと違うものが登場して驚きました。なかなか珍しい怪異だと思います。怖い怪異ではないのでこの点数ですが。

名前: 丸野都 ¦ 22:31, Thursday, Apr 29, 2010 ×


前に何かの映画で、人間そっくりのロボットを操縦する小さな宇宙人というのを観たのを思い出しました。
顔がスライドすると、その下に操縦席が現れてE・Tが座っているという、パロディ映画の一場面でしたが。
まさかそんなんじゃないですよね…?

名前: 極楽 ¦ 12:09, Friday, Apr 30, 2010 ×


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