超-1/2010審査用チェックリスト
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三橋さんは、心霊スポットを巡ることを趣味にしていた。 しかし、これまで数多くのスポット巡りの結果手にしたものは、オーブの写った心霊写真が数枚のみ。 巷で良く訊く心霊体験などは、一生無縁のものと考えていた。 そんなある日の事。 急に纏まった連休が取れたという。そうなると俄然、例の虫が騒ぎ出す。季節は初夏ということもあり、キャンプ的な意味合いを兼ねて、遠出のスポット巡りをしようと企んだ。 ネットで調べ上げた結果、興味が湧いたのは、とある炭鉱跡地。 画像からでも周囲の雰囲気は充分に感じた。それらしいものを見た、という体験談も数多く寄せられていた。 (ここなら自分でも何かを感じられるかも) そう思ったら行動は早い。食料や水などを次々と買い込み、家からは毛布などを愛車のワンボックスカーに詰め込んだ。車中泊をしながら、付近をじっくり見て回ろうと考えていたのである。 その日の夜、目的地に向かって車は走り出した。 到着したのは、出発から八時間後。結構な距離を走破していた。 日は高く上っていたが、休みなく運転し続けたことで疲れが出た。 取り敢えず、後部座席に移動してシートをフラットな状態にする。そこにごろんと寝転がり、毛布を被り一眠りする。 どのくらい時間が経っていたのだろう。 目を覚ますと窓から見える景色は、漆黒の闇に包まれていた。 (そろそろ雰囲気的にもいい時間だな) そう思い、身体を起こそうとするが力が入らない。 (あれ?!) 金縛りではない。無理をすれば、多少は動きそうだ。 そう思った瞬間、右手に違和感を覚えた。 反射的に視線を右手に配ると、薬指を噛んでいる顔が見える。 仄かに蒼白く浮かび上がる顔。四十台半ば位の男性の顔だ。焦点の合っていない眼球は、宙を捉えている。 短髪な頭に瘠せこけた輪郭。いや、瘠せている訳ではない。 ――頬から下の皮膚と肉が無かった。 頬から下に浮かび上がっていたのは、黄ばんだ歯。その周囲は闇と同化している。 余りの出来事に、頭が理解できなかった。 ただ、指の感覚から、第二間接辺りをガジガジと繰り返し噛んでいるようだった。 時折、指先を舌で撫でている感触もする。ここで我に返った。 「わあぁぁぁぁあ!」 大声を上げて、左手で払うとも殴るともつかない動作を、その顔目掛けて必死に繰り返す。すると直ぐにその顔は掻き消すように見えなくなった。 運転席に飛び移り、その場から逃げるように車を走らせる。 二十分ほど走り、コンビニの駐車場で一息入れた。 車内灯を点け、右手薬指を恐る恐る見詰める。 薬指には上下二本ずつの歯形が、しっかりと残されていた。 夢じゃない、と確認すると、スーッと気が遠くなっていった。 翌朝、目が覚めると、まだ歯形はくっきりと残っていた。そして不思議なことに、身体の右半身だけが痺れた様に感覚が鈍くなっていた。 三橋さんにとって、当初の目的など既にどうでもよくなっていた。ただ一刻も早く、あの場所から遠くに離れたいと、身体が恐怖を叫んでいた。 すぐさま、不自由な身体に鞭を打ちながら、帰途に着いたという。 三橋さんの右手薬指には、未だに歯形が残っている。凹んだまま、元に戻らないらしい。 「どうやらあの顔は、精気のようなものを噛む仕草で吸っていると思うんです。やられた後は、身体がだるくて辛くて堪りませんよ」 その後の御祓いの効果も無く、あの顔は不定期ながらも付き纏うように、出没し続けている。 今回の件で懲りた三橋さんは、あの炭鉱跡地は勿論、スポット巡りも一切しなくなった。 そして、いつか開放される日を、当てもなく待ち続けている。
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受信: 01:27, Saturday, Apr 10, 2010
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受信: 12:46, Thursday, Apr 15, 2010
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受信: 12:20, Tuesday, Apr 20, 2010
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受信: 09:25, Sunday, Apr 25, 2010
■講評
この三橋さんの心霊スポット巡り、去年も読んだ記憶がありますが、まだ懲りずにやっているんですか? どこか懲りない面々を思わせるから。 |
名前: 天国 ¦ 20:18, Friday, Apr 02, 2010 ×
指をガジガジ噛まれて時々舌で撫でられるって どんだけ生理的にも厭な怪現象だろうか。 読みながら自分の右手がむずむずしてきた。
心霊スポット巡りが趣味で、導かれ選ばれてやっと 怪にめぐり逢い、目的が果たせたのに懲りてしまった。 それほど衝撃的なものだったのだろう。
それ以降も不定期に纏わりついているとのこと。 また指を噛まれているのかそれとも違った形なのか。 それも書いて欲しかった。
文章力のある著者なのだろう。体験者の言動や心理 を上手く文章に載せている。 怪の描写も細かく臨場 感がある。
怪:1 文章力:1 |
名前: RON ¦ 22:06, Friday, Apr 02, 2010 ×
後味の悪いお話で…… やはり面白半分で心霊スポットに向うのはご法度なんですね 命がけですね★ |
名前: ゼリコ ¦ 22:33, Friday, Apr 02, 2010 ×
なかなか気持ちの悪い話ですね。 しかも未だ出没し続けてるなんて洒落になりませんね。 願わくば、諦めずに色んな御祓いを試して頂きたいところです。
文章の方ですが、描写が丁寧で状況は解り易いのですが、ちょっと読点が多用されている所為か、読んでいてちょっとテンポの悪さを感じました。 未だに出没し続けているという点においても、話としては結構重要な要素だとは思うのですが、妙にあっさりと書かれていて、情報としては物足りなさを感じました。 もうちょっと出没する時間や場所等、軽く触れるだけでもあった方が良かったかなぁと思います。
文章:0 希少性:1
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名前: ていさつUFO ¦ 19:29, Saturday, Apr 03, 2010 ×
文章力 +1 稀少度 +1 怖さ +1 衝撃度 0
キレイなお姉さんが甘噛みしてくるならともかく、そんなおっさんが噛んでくるなんて…その上、未だ憑いているとは執念深い。 触らぬ神に祟りなしをリアルで感じるような出来事だ。
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名前: つなき ¦ 17:19, Wednesday, Apr 07, 2010 ×
ちょっと自分でやってみましたw 確かに嫌だな、これは。しかも精気を吸い取られてしまうともなると。遊び半分で心霊スポットなんか行くからですよ。想像しやすい文章が、嫌悪感をいや増したと思います。 ネタ・1 構成・0 文章・1 恐怖・0 |
名前: 一反木綿豆腐 ¦ 14:34, Saturday, Apr 10, 2010 ×
題名通り波長があったのだろう。 甘噛み男の風貌もかなり厭なものがあり、それが及ぼす影響も深刻である。
気になったのは、その後も男が時折現れるとあるのだが、それがどのような状況で現れ、話者の精気を吸ってゆくのか、それとも話者は吸わせないように抗い続けているのかだ。 出来ればいくつかのケースを記載して戴きたかったところである。 |
名前: amorphous ¦ 01:20, Tuesday, Apr 13, 2010 ×
興味本意で心霊スポットに行き、えらい目に遭った人がここにも一人。 気味が悪く、厭なお話ですね。 憑きまとわれているうちは、自覚が無くともジワジワ精気を抜かれ続けているのでしょうか。
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名前: どくだみ茶 ¦ 23:23, Tuesday, Apr 13, 2010 ×
何だか久々に気持ち悪い作品を読んだ気がします。 個人的に物凄く嫌な話。
御祓いしたのに出没し続ける、というのが気味悪い。
十分懲りたと思うので、もう解放してあげてほしいな、と思いました。 臨場感溢れる描写だったので、読みやすかったです。 |
名前: 鶴斗 密喜 ¦ 23:58, Saturday, Apr 17, 2010 ×
八時間がかりで心霊スポットへ。すごいなあ。 そこまでして出向く熱意が気に入られてしまったのではないでしょうか。私なんかより精気の栄養価が高そう。 この先も経験することはないだろう、と高を括っていたのがこんな形になろうとは。ついてこられるのは勘弁です。(+1)
三橋さんの話ぶりでは、その後も吸い付かれているような。しかし「未だに歯形が残っている。」とあるので、一度きりのようにも。おそらく前者だと思うのですが、ちょっと曖昧ですね。 そこがやや不満なのですが、後日談の長さとしてはベストだと思います。指を齧られるという生理的な嫌悪感と、現在進行形である不安、両方が読後に残りました。 割合としては、怪に突入する前もけっこう長いんですね。巧みに綴られているので全く気になりませんでした。(+1) |
名前: 雨四光 ¦ 01:27, Friday, Apr 23, 2010 ×
お気の毒としか言いようがありません。三橋さんと波長が合ってしまったのでしょうか。不謹慎な想像ですが、何かの折に三橋さんよりも相性がいい人と縁ができれば解放されるのではないかと思いました。
右手の薬指と特定されていること、なにか意味が隠されているのか気になります。厭なことを申し上げますが、左手ならば結婚指輪を真っ先に連想します。右手でも「婚約」「ステディ」等、意味があるようですし、海外ではズバリ結婚指輪は右手薬指というところもあるようです。
>精気のようなものを噛む仕草で吸っていると この部分より、吸精鬼のようなものを連想しました。
読みやすい文章としっかりした描写のおかげで、お話のイメージが読むスピードのまま眼に浮かびました。
・臨場感+1 ・没入度+1 ・表現+1 ・恐怖+1 |
名前: ダイタイダイダイ ¦ 20:42, Monday, Apr 26, 2010 ×
文章1 恐怖0 希少1 魅力0
一人で心霊スポットめぐりとは。 好きですねぇ。 男の描写は丁寧で、リアルに想像することが出来ました。 指をなめられたりと、薄気味悪さもたっぷり。 しかも家に戻った後もあの顔が現れ続けてるんですか? そのたびに指を噛まれてるんでしょうか。 そんなアッサリ終わらせないで、もちょっと詳しく……。 |
名前: 幻灯花 ¦ 17:22, Tuesday, Apr 27, 2010 ×
ネタ・恐怖度:0 文章・構成 :1
噛まれるだけで終わらないところに怪異のいやらしさを感じ取れる。毎回噛まれ続けているのだろうか。 書きなれた感がある文体も、内容に程よくマッチしていて、すらすらと読める。 男の描写が邂逅のシーンしかなく、祓っても祓いきれないほどの厄介な存在であるという印象が薄いと感じられるのが少々残念。
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名前: オーヴィル ¦ 18:05, Wednesday, Apr 28, 2010 ×
嫌な感じですね。お祓いも功を奏さないということは、よっぽどということでしょうか。 色々ありますから各所でお試しになっては如何かと。
歯形はマーキングでしょうか。 精気を吸うというのは吸血鬼的でもありますね。
いつか解放されることをお祈り致します。 |
名前: 捨て石 ¦ 21:21, Wednesday, Apr 28, 2010 ×
怪談点…1 文章点…-1
咬むは舐めるはなんと嫌らしい中年親父の怪異! 気持ち悪くなります。
残念なのはいくつか描写不足と感じる部分があったことです。 まずはその炭鉱跡地の描写が一切ないこと。 心霊スポット好きが現場に着いたとなると、すぐさま辺りを見回して胸弾ませたはず。 加えてその描写が無いことから、車を停めていたのがどういった場所なのかも分かりません。 怪異は車内で起こったにしても、車を停めていた場所というのは重要でしょう。
また最後にその咬む男に付き纏われているということが判明しますが、書き様によっては読み手にもう一度恐怖を感じさせることも出来たはずです。 不器用に開示してしまったため、空気の抜けた風船のような印象しか残りませんでした。 |
名前: C班 山田 ¦ 19:01, Thursday, Apr 29, 2010 ×
題名と話が若干遊離しているような印象です。あと、「精気を吸い取られた」という体験者のコメントが私にはリアリティを感じませんでした。 |
名前: 丸野都 ¦ 22:43, Thursday, Apr 29, 2010 ×
これ嫌だなあ。 かじり付いた所から生気を吸い取るって。 指をしゃぶられてるんですよね? 嫌悪感を伴った恐怖でした。 |
名前: 極楽 ¦ 12:32, Friday, Apr 30, 2010 ×
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