超-1/2010審査用チェックリスト
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「無駄遣いしちゃったな」 と、休みの日に買い物に出掛けた後、渡辺君は寂しくなってしまった財布の中身を見ながら後悔していた。 あと、ビールを一箱買っておきたかったんだけどなぁ、と思いながら札入れの中のお札を数えていると 「?」 端が汚れているお札が一枚あった。 見ると、一万円札のうちの一枚の、札表側の左端と左側上の部分にカサカサとした赤黒い、錆の様なものが付いていた。 それは血の様にも思えた。 (うぇ、何これ) 渡辺君は気味悪く思い、手で触るのは嫌だったのでティッシュで擦ってみたが、取れなかった。 こんなのはさっさと遣っちまうに限る。 財布に戻すのは嫌だったので、洗面器に少しだけ水と台所用洗剤を入れて、お札の汚れている端の部分だけを漬けてみた。しばらくすると汚れはだいぶましになっていた。 渡辺君はお札の水気を拭き取ってから、洗濯物干しの洗濯ばさみに挟んで部屋の中の、窓のそばに吊っておいた。
その夜。 何時頃かはわからないが、眠っていて何故かぽかりと目が覚めた。枕元の時計を見ようとすると、自分がすでに金縛り状態になっている事に気づいた。 金縛りに遭うのは初めてで、うわ、何だ、どうなったんだ、とパニックになりかけていると、仰向けに寝ている渡辺君の視界の右側に、ずい、と何者かの影が入り込んできた。 暗くてよくわからなかったが、それはゆるくウェーブのかかったセミロングの髪を垂らして彼を見下ろす、若い女だった。 女は枕元に立ち、無表情に髪の間からじいっと渡辺君を見つめて 「返して」 と低い声で言った。 それから先の記憶が無い。 次に気がつくと、すでに朝になっていた。 「……」 何だったんだろう、あれ。夢か?いやいやそれにしては……と思いながら起き出して、ふと朝日が差し込む窓際の洗濯物干しを見ると 挟んであったあの一万円札が無くなっていた。 部屋の中に干してあったのだから、どこかに飛んでゆくわけもない。薄給の身で、一番の高額紙幣を無くすのは痛い。渡辺君はあちこちを探したが、結局見つからなかった。
「こーいうの、どこに届けたらいいんっすか?」 渡辺君は泣きそうな顔をして言っていた。
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受信: 02:38, Sunday, Apr 11, 2010
» 【−1】返して [闇夜に紛れて覗く者から] × 怪異以外の説明が、意味を為していないように感じる。「一万円札のうちの一枚」と書かれている以上、複数枚を持っていることになる為、「薄給の身」や「泣きそうな顔」というキーワードに切迫感が感じられない。又、「さっさと遣っちまうに限る。」といいつつ、お札を洗 .. ... 続きを読む
受信: 19:34, Thursday, Apr 15, 2010
» [超−1]【0】返して [幽鬼の源から] × よく考えれば、今財布の中に入っている札や硬貨は、まず間違いなく多くの人の手を経てここに集まってきたものであり、その流通している間に一体どれだけの記憶を染み込ませているか想像がつかないほどである。 もしかすると、この作品に出てくるような怪異が起こったと .. ... 続きを読む
受信: 13:36, Wednesday, Apr 21, 2010
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受信: 17:14, Sunday, Apr 25, 2010
■講評
渡辺君!私もどこに届けて良いのかわからないし、ゆるくウェーブのかかったセミロングの若い女幽霊の元に返して良かったんではないのかと思うから。 |
名前: 天国 ¦ 14:02, Friday, Apr 02, 2010 ×
怖いんだけど笑えてしまいます 本当、どこに届けたらいいんでしょうね 泣き寝入りせしょうか |
名前: ゼリコ ¦ 22:23, Friday, Apr 02, 2010 ×
大袈裟に言えばいろんな人生を渡り歩いている お札である。そこに血なまぐさい事件なども見てきた お札もあるのかも知れない。
家の中に干しておいたお札が無くなったことと 現れた女性の「返して」の言葉の関連はかなりあると 思われる。 何故体験者がそのお札を手にした時にとり返しに来た のかは誰にも解らないが、今回の他の体験談でもお金 が出たり消えたり使われたりとの話が多い。 霊もお金を手にすることがあるのだろうか、と興味深く 読ませて頂いた。
これも無駄遣いと言うのかどうか。不本意なことは確か。
ネタ:1 |
名前: RON ¦ 12:26, Saturday, Apr 03, 2010 ×
文章の方、「寂しくなってしまった財布の中身」とある割りに、「一万円札のうちの一枚」と、数枚持っていそうな描写があるため、万札1枚とは言え、最後の「泣きそうな顔」に余裕があるようにも思えてしまいました。 確かに1万円札がなくなれば手痛いものかとは思いますが、この文章構成のため、怪異としては小さめなのような印象を受けました。
文章:-1 希少性:0
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名前: ていさつUFO ¦ 21:20, Saturday, Apr 03, 2010 ×
文章力 +1 稀少度 +1 怖さ 0 衝撃度 0
お金はいろいろな人の手を渡ってくるので、子供の頃から「お金を触った後は手を洗いなさいよ」と言われたものだ。それは衛生面だけではなく、途中で拾った穢れに触れた手を清めるという意味もあったのかも知れない。
同じ札でも千円札だったらまだ諦めもつこうが、一万円札が消えてしまったとなると怖いよりも悔しい方が強いのではないかな。 |
名前: つなき ¦ 21:52, Wednesday, Apr 07, 2010 ×
お金ってのは、人の悔しさとか悲しさがしみついてますからね。ま、一万円で命が助かったかもしれないと思って諦めるしかないでしょう。 ネタ・0 構成・0 文章・0 恐怖・0 |
名前: 一反木綿豆腐 ¦ 13:38, Saturday, Apr 10, 2010 ×
怪としてはポピュラーではあるがそこそこ楽しめた。 ただ、文章のそこかしこに不要な描写が目立つ。 特に気になったのは札が消えてからの全ての行。
怪談の中には、怪である証拠を必要とする話とそうでない話がある。 音や影、破壊などといった物理現象・錯覚に取られやすい話の場合には、そうと取られないための情報が必要となってくる。 しかし、はっきりと姿が見えた、複数の体験者がいたなどのケースの場合、その様子を描くだけで充分であり、下手に説明を重ねると諄くなり、言い訳がましくなってしまう。 この話の場合も女が現れ、「返して」と訴えかけ、札が消え、探しても見つからなかった。それだけで充分怪談として成立している。
最後の話者の一言も何処か的外れで落ちになっていない。 |
名前: amorphous ¦ 21:57, Monday, Apr 12, 2010 ×
どんないわくのお札だったのか。 枕元に立たれては怖いですが、何か笑ってしまうお話ですね。 体験者さん気の毒。 |
名前: どくだみ茶 ¦ 12:10, Wednesday, Apr 14, 2010 ×
お気の毒としか言いようがないというか。
ただ「一万円札のうちの一枚」と書いてあるなら、何となく大丈夫な気さえしてしまいました。
そこまで早く使ってしまいたかったら、近くのコンビニで数百円ほどの買い物をそのお札で済ます、とか。 そしたらそんな体験もしなくて済んだのかな、などと思ってしまいました。
最後の文章は無い方がすっきり纏まったと思います。 |
名前: 鶴斗 密喜 ¦ 01:16, Sunday, Apr 18, 2010 ×
「返して」って。あまりにも理不尽ではありませんか。いつ、どういった形で女の手元から離れたんだろう。何やら不穏な臭いが…。 怪しげなシミがついた紙幣、たまに見かけますね。端っこに名字が書かれていて、複雑な気分になったこともあります。 天下の回り物というくらいですから、どこから来たのか分からない。当たり前のことなのに、日頃は全く気にしてないんだなあ。いつ自分に降りかかってもおかしくないという危機感を抱きました。(+2)
ビールも買えないほど散財したのかと思いきや、まだ万札を数枚持っていたり。薄給の身のわりには、「さっさと使っちまえ」と気前が良かったり。 細かく考えれば、財布に入っているのが全て自由に使えるお金とは限らないし、「さっさと使う」と言っても、全額使いきるという意味ではないと分かります。 しかし、そこまで細かい読みを強いるような内容は省いても良いのでは。お金に関しての記述がくどく感じられました。一万円が最高額紙幣であることも、言うまでもありません。 そんなわけで、渡辺君の思考がちぐはぐに思えたのですが、やはり一般的な金銭感覚の持ち主のようですね。最後の一言が効いてます。 霊に盗られたなんて通報できないけど、返してほしいんだよー!!と。めっちゃ分かります、その気持ち。一万円ですもん。(±0) |
名前: 雨四光 ¦ 15:30, Friday, Apr 23, 2010 ×
お気の毒でした! と、同時に、それだけで済んでよかったですねというのが一番の感想です。
お札を財布に戻したくない、綺麗にしたいという渡辺君のお気持ちはよく判るのですが、もしもこのお札を 即遣っていたならどうなったんだろうと、想像が膨らみます。 一万円札は、基本的に銀行等からしか手に入りませんよね。お給料が手渡しのところでも銀行を経由するでしょうし、お釣り等では絶対に手に入らないわけですしね。問題のお札が辿ってきた道を知りたいと思いました。
・臨場感0 没入度+1 ・表現0 ・恐怖0 |
名前: ダイタイダイダイ ¦ 22:36, Monday, Apr 26, 2010 ×
まぁ、これで命が助かったと思えば儲け物ですよ。 しかし、なんというか翻弄されていますね。これは悔しい。 お気の毒に。 ちゃんとお金に触れた後は手を洗うことにしましょう。 |
名前: 捨て石 ¦ 01:51, Tuesday, Apr 27, 2010 ×
ネタ・恐怖度:0 文章・構成 :-1
札を洗う場面で「さっさと使うんじゃなかったのかよ!」と突っ込んだのは私だけだろうか? 一万円札が無くなるという物的な証拠がある話であるが、惜しむらくはタイトルでオチが読めてしまった点。結末を悟らせない工夫も、書き手には必要なのでは。 それだけに、渡辺君の最後の台詞でさらに脱力してしまう。(いいんっすか? て発音し辛いね)
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名前: オーヴィル ¦ 17:45, Wednesday, Apr 28, 2010 ×
文章0 恐怖0 希少0 魅力0
その一万円札は確かに渡辺君のものだったんでしょうか。 気付いたら一枚増えていて、それを持っていかれたのだとしたらある意味仕方のないことかもしれないけど、そうじゃないなら返しては渡辺くんのセリフですよね。 すぐ使っちゃえば良かったのに。 しかしわざわざ一言添えていくのは律儀というかなんというか…。 どうせならなんで返してなのか、納得のいく説明もつけてほしいですね。 文章は概ね読みやすいのですが、若干重複表現や不要な箇所がありました。 気になるほどではありませんが。 |
名前: 幻灯花 ¦ 22:40, Wednesday, Apr 28, 2010 ×
結果的に、怪異よりも一万円が無くなったことの方が怖い(つらい)、というお話で……。実生活にあてはめて見ると、非常に頷けるんですけど(笑)、怪談としてみた場合、配点が辛い点数になりました。 |
名前: 丸野都 ¦ 22:59, Thursday, Apr 29, 2010 ×
怪談点…0 文章点…0
そもそもそのお札はどこから出てきたんでしょう。 普通に給料としてもらった分なんでしょうか。 それともいつのまにか財布に入っていたとか。
もしきちんとしたルートで手に入れたお金であれば、それを返せなどと言われる筋合いも無い訳で、体験者にとってみれば大変迷惑な話ということになります。 だいたい霊というものはあまりに自分勝手な時がありますよね。 理不尽なたたり方をしたりだとか、たまたまそこに居ただけで霊障を引き起こしたりとか。 困ったものです。
やや軽い文章は体験者の人物像を表現するのによく合っています。 しかし「?」や「・・・・・・」を使うのは文章作品ではあまりしっくりと来ないので好きではありません。 点数には反映させませんが。 |
名前: C班 山田 ¦ 00:12, Friday, Apr 30, 2010 ×
渡辺君、残念でしたね。 きっと回り回って辿り着いたんでしょうね、曰く付きで。 なんだか普通にありそうな感じがしました。 |
名前: 極楽 ¦ 13:13, Friday, Apr 30, 2010 ×
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