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鬼を見た
 戦前、と言うから今から七十年ほど前の事。今は額に深いしわを刻む江藤老人が、まだ幼い頃の話である。
 彼は中国地方の某農村で産まれた。時代はきな臭かったが田舎にはまだ鷹揚さが残り、小作人の次男として生を受けた江藤さんもそれなりに過不足無く育てられていた。
 村の中心には神社が鎮座し、お百姓の生活サイクルに密着した四季の祭りで一年が回る。当然村内での神主・宮司の地位は高く、住職や村長と同等の尊敬を集めていた。

 ただ、彼の村にはもう一人、「お宮さん」と呼ばれる老婆がいた。それは、神社の近くに住む、ある種、拝み屋のような存在であったという。
 村人は、失せ物や人に言えない身内の相談事などをお宮さんに頼んでいたが、彼女を囲む場は神社の氏子集会所であったそうだから、元々は同じ神職系の流れだったのだろう。
 拝み屋の婆さんは頼ってくる村人の寄進によって生計を立てていた。といっても殆どの場合金銭ではなく、衣類や食料といった現物供与であったらしい。

 江藤さんの家も、お宮さんへ食事を作っては運ぶ役目を負ってる一軒だった。
 というのも、当時の江藤少年は魂が不安定で、時々意識を失っては突然獣のような声で意味不明の事を口走り、その都度お宮さんのお世話になっていたからだ。
 それはいわゆる憑き物状態であるとされていたそうだが、肝心の江藤少年本人にはその間の記憶が定かではない。いきなり目の前の景色がぐにゃりと曲り、山びこのような音に頭の中を支配されては、数刻後に我に返っていたのだという。
 しかしそれも、ある冬の日を境に鎮める事が出来た。

 昭和十六年、正月。それは江藤少年が春から尋常小学校にあがるという年の、新年の事である。このままでは人並みの学校生活が送れないと案じた父母により、本格的な憑き物落としが行われる事になったのだ。

 夕方、神社の集会所に連れられて行った江藤少年は、冬だというのに白い帷子一枚にさせられ、身の切れるような水を掛けられた後、板の間に正座させられた。
 そして大人達により、煤けた風景画の描かれた六曲屏風が運び込まれ、江藤少年はその中に閉じ込めたられたという。具体的には、三面鏡のように折られた屏風の、閉じられた三角柱の中に座らされた格好である。

 やがてお宮さんによる唸るような朗詠が始まった。火の爆ぜる音がパチパチと響く。
 寒さに震えながら天井を見上げると、護摩の炎が赤い影となって踊っている。
 どれくらい経ったろう。突然激しい耳鳴りに襲われた。全ての音を消し去り、脳天に突き立てられた錐をぐりぐり揉まれるような、連続的で容赦のない耳鳴り。
 江藤少年は反射的に頭を抱えた。そして次に、唯一の開かれた空間である天井の方を見上げた。
 そこに鬼がいた。

 禿げ上がった額には申し訳程度の前髪、二本の角はタケノコのように真っ直ぐに伸び、窪んだ眼窩に白目だけでこちらを睨んでいたという。絵本で見る鬼とはまるで違ったが、絵本以上に恐ろしかった。
 そして何より江藤少年を震え上がらせたのは、その口元だった。櫛のように細くて長く、尖った歯がびっしり生えていたのだ。
 鬼がその口を大きく開け、屏風の縁から一層覆い被さるように身を乗り出してきた時、江藤少年はとうとう気を失ってしまった。

 そして次に父親に揺さぶられ、目を覚ました時には、儀式は終わっていた。
 混乱した彼が鬼を見た事を必死に訴えると、大人達は少し困惑したようだったが、もう終わったからと言われるばかりだったという。
 事実、それを境に江藤少年の憑き物状態は影を潜め、一家にはしばしの平穏が訪れた。

 やがて半年が過ぎた。尋常小学校は国民学校初等科へと改称され、江藤少年が晴れて一年生になった、その年の夏である。

 鬼を見た事など本人も忘れかけていたし、周りの大人ももちろん口にはしない。ただ、なぜか近所の人は、いつしか江藤少年を「お遣いさん」と呼ぶようになっていた。彼が父母に理由を尋ねても、憑き物が落ちた子の事だとしか説明されなかった。
 そんな物なのかな、とは思ったが、特に怖いあだ名とも思えなかったので、余り気にせず過ごしていた。

 そうしたある日、「お遣いさん」にお呼びが掛かった。
 酒を呑んでは暴力をふるって人を傷つける村内の暴れ者を、お宮さんが診るという。そしてその場には「お遣いさん」が必要だと言われたのだ。

 半年ぶりに入る氏子集会所は暑さで蒸していた。
 赤ら顔の暴れ者も、今日ばかりはおとなしく、子供である江藤さんにすらおどおどして見えた。
 護摩が焚かれ、ますますの熱気が辺りを包む。
 その中、江藤少年は暴れ者の横に座らされ、お宮さんがその正面で二人に対峙した。
 低い声の朗詠が始まり、やがて声高になり、老婆は暴れ者と江藤少年の身体を交互に、所構わず掌で打ち据えていったという。
 江藤さんは始め畏まって痛みに耐えていたが、炎熱に上気し、次第に頭がぼうっとなっていった。
 子供ながらにもう限界だ、と思った瞬間、忘れていた強烈な耳鳴りに再び襲われた。
『鬼が来る!』
 瞬間的にそう思ったが、今回の耳鳴りは以前より酷い。身体は強張り、周りを見ようにも視界がチカチカと弾けてよくわからない。
『誰か助けて!』
 そう言おうとした刹那、今度は急に目の前が真っ暗になった。そして彼の意識は、何処かに堕ちるように失せてしまった。

 江藤さんが再び目覚めたのは、自宅の床の中だった。どうやら三日の間、寝込んでしまっていたらしい。
 あの時、何があったのか、みんなはどうなったのか、今どうなっているのかを父母に問うたが、もう終わったから、心配しなくて良いからと言われるばかりだった。
 しかし子供心にも、あの時何も無かった筈がない、という強い不安と責めがあった。だが両親を始め、兄弟達の誰もがその事に触れはしない。いや、そればかりか皆で彼を避けている風ですらあった。
 そればかりか、その日を境に彼は家から出して貰えなくなった。理由を聞いても、当時の父親の権限は絶対だったので、拳をもって封じられてしまった。

 大阪の親戚に養子に出されたのはそれからふた月と経たない秋口の事である。
 その頃になると、子供心に芽生えた、自分は家にとって災いなのではないか、村にとって要らない人間なのではないかとの思いが確信に変ってきていたので、半ば自暴自棄のまま親戚一同の判断に従い、村を離れる事となった。

 だが運命とは皮肉なものである。
 戦争も末期にさしかかると、都会の子は疎開に出された。学校・学級単位で集団疎開する場合もあったが、江藤さんは元々田舎から養子に出てきた事もあり、二度と帰らないであろうと思っていた実父母の元へ還される事になったのだ。

 三年半経っても田舎の村は変っていなかった。そして更に、当時ぼんやり感じていた疎外感が事実である事を知った。
 皆が皆よそよそしい。そのくせひそひそと噂し、刺すような視線で遠くから彼を射る態度が辛かった。
 実父母も表面上は歓待してくれていたが、今の彼にはその嘘くささがはっきりわかってしまえた。

 そんな中、あの日、「お遣いさん」として同席した暴れ者に、村はずれで偶然出くわした。といっても、彼に酒を浴びていた頃の血色は無く、痩せこけた上に、右腕の肩口から先を無残に失ってしまっていた。
 どうしたのかと尋ねる江藤少年を男は口汚く罵り、神社へ行ってみろと捨て台詞を吐いて去った。

 実は男に言われるまでもなく、江藤さんは既に神社を訪ねていた。いや、訪ねようとしていた。しかしその都度、見張られているかのように駐在さんが近づいてきては、ここには立ち寄るなと追い払われてしまっていたのだ。
 時代が時代である。こうした軋轢に疑問の声を上げる事さえ許されぬまま、少年には耐える事しか許されなかった。
 江藤さんが事の真相を聞かされたのは終戦を迎えた後、大阪に戻る直前である。

 あの日、護摩の炎熱と朗詠の中、江藤少年は倒れてしまった。そうした事態はよくある事だったが、その後が常軌を逸していたというのだ。
 倒れたかと思った少年がいきなり跳び上がり、お宮さんの腹に喰らい付いたのだという。
 そして子供とは思えぬ動きで老婆の脾腹を食い破り、信じられぬ怪力で止めに入った大人達を振り回し、返す刀で酒乱の暴れ者の肩口に襲いかかったのだ。
 絶叫と混乱の中、彼はとうとう屈強な大人の腕を食いちぎってしまった。
 阿鼻叫喚の中、血まみれになったその顔は、白目を剥いて櫛のような細くて長い歯を無数に生やした、鬼ようなそれだったという。

 数人掛かりで何とか叩き伏せられた後に昏倒した化け物は、あっという間に元の江藤少年に戻ったと言うが、その時の傷とショックで老婆は痴呆状態となり、暴れ者は片腕を失ってしまったのだ。

 それから七十年。戦後、養父母が次々と病死してしまった江藤さんだが、もう村に帰れようはずもなく、天涯孤独を貫いている。妻を娶る事もせず、まして子供などいはしない。

「俺の中に何がいるのか知らないが、わかったんだ。一人で抱えてあの世へ持って行くよ」
 彼は最後にこう締めくくった。




04:11, Monday, Apr 05, 2010 ¦ 固定リンク ¦ 講評(19) ¦ 講評を書く ¦ トラックバック(4) ¦ 携帯


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■講評

よく整理され、すらすらと頭に入ってくる話でした。一人の男の人生を狂わせてしまった儀式ですが、両親や他の人たちはこうなる事を知っていたのでしょうか。そうだとすると、非常に居たたまれない気持ちになります。重く、辛い話でした。
ネタ・1 構成・1 文章・1 恐怖・0

名前: 一反木綿豆腐 ¦ 15:31, Monday, Apr 05, 2010 ×


文章がすごくうまいですね
情景描写もわかりやすくオチもスムーズ
お見事!
腹を食い破るシーン、壮絶
ぞっとしました

名前: ゼリコ ¦ 22:33, Monday, Apr 05, 2010 ×


主人公の江藤さんは、少年の時憑きもの落としで見た鬼に魅せられ、又再び同じ状況に陥り自分が鬼と化すとは?そうであるとしたら、一人であの世に持って行くべきであるから。

名前: 天国 ¦ 00:51, Tuesday, Apr 06, 2010 ×


なかなか強烈な話ですね。
江藤さんに憑いていたもの、鬼の目的、隠された神社など、不可解な点がより不気味さを助長していますね。
これ、今でも鬼が出てくることはないのでしょうか。
何も解決出来ていなさそうなので、今の江藤さんも心配ですね……。

文章の方ですが、落ち着いた雰囲気を保ちつつ、動きのある場面では迫力のある書き方がされていて、完成度の高さが窺えます。
それだけに気になってしまったのが、まずこの真相を誰から聞けたのかという点。
ここまで避けられ続けていたのに、妙にあっさりと真相が出てきてしまったので、ちょっと拍子抜けした感がありました。そのきっかけについてもちょっと触れておいて欲しかったかなぁと思います。
「お遣いさん」と呼ばれる理由やお宮さんに呼ばれた理由等、この辺もちょっと投げっぱなしな感があります。この辺は真相で聞けなかったんでしょうかね?
細かいところですが、“お宮さん”が時々“老婆”で書かれるので、初めのうちはそれらがイコールである事が解り辛かったようにも思えました。

もう一度言いますが、文章の完成度は高いと思います。それ故に、細かなところが気になってしまったという事ですね。

文章:1
希少性:2

名前: ていさつUFO ¦ 22:41, Tuesday, Apr 06, 2010 ×


そもそも[お遣いさん]とはどういう意味なのだろう。
祈祷の際の役割の一つなのだろうか。一旦[お遣い
さん]に憑きものを乗り移らせてお祓いをする、という
ような。
検索でも解らなかった。この土地ならではの呼び名
なのだろうか。
そして、自らの憑きもの払いで鬼を見た江藤少年が
何故そう呼ばれるようになったのか。
その時に何が起こったのか。周りの大人達は[鬼]
を見たと少年が言ったことをどう捉えていたのか。
お宮さんが行う祈祷と鬼とは何かの関係があるの
だろうか。

親が言う[憑きものが落ちた子]との意味ならば
普通の少年に戻ったはずでそう呼ばれるのも不自然。
さらに祈祷に駆り出されているところから少年をそう
呼ぶに至った何かを目撃したのではないだろうか。

そして[お遣いさん]として参加させられた祈祷で
その役目?以上の悲惨な事件を起こしてしまう。
鬼が乗り移ったかのような形相と力で。
その時に起こった事を時を経て聞いた江藤さんは
自らの身体の中に鬼がいたのだと確信したのだろう。

この話で明らかになっているのは、お遣いさんとして
参加した祈祷で何が起こったのか・・だけである。
それは誰から聞いたのだろうか・・
他は全て70年前に封印されたかのように答えのない
謎である。

本来ならば消化不良過ぎる話。しかし[鬼]を見たこと
によって一人の少年の人生ががらりと変わってしまった
ことの怖さと哀しみを感じた。

最後、江藤老人のつぶやいた[わかったんだ]
との言葉。 何がわかったのだろうか。。

私個人の感情だが。その後の江藤さんがどのように
生きてこられたかは解らないがそれが少年時代だけ
の体験であるなら、それ以来は何もなく過ごされてきた
なら。。
もう70年も前の話である。 
鬼ごときに老熟した人間の底力が負けてたまるか。である。
どうか、残りの人生を穏やかに幸せに過ごされるようにと
願わずにいられない。

文章:1
怪:1

名前: RON ¦ 17:35, Thursday, Apr 08, 2010 ×


 ただただ絶句である。
 時代の空気や儀式の雰囲気、そして話者を巡る周囲の態度などがじわじわと伝わってくる。
 話者に付いていたものが並外れた存在だったために、「お宮さん」にも制御できなかったのだろう。
 子供が大人に喰らい付き、臓腑を抉り腕をもぎ取る様を想像すると身震いがする。

 ただ、ひとつ疑問が残る。
 最終的に話者は、誰から真相を聞き出したのだろうか。
 神社へは警察の見張りがあって行き着けず、「お宮さん」は惚けてしまっている。暴れ者を含めた村人は関わり合いを恐れ話者を避けている。
 残るは父母だけであり、恐らくはそのどちらか(恐らくは母ではないだろうか)であろうと思われる。
 些細なことであるが、これだけ常軌を逸した話の場合、ちょっとした書き損じで信憑性が揺らぐ可能性がある。
 どうしても濁さざるを得ない場合は別だが、そうでなければ情報源を記載しておくべきだったように思う。

名前: amorphous ¦ 20:02, Saturday, Apr 10, 2010 ×


文章力  +1
稀少度  +1
怖さ    +1
衝撃度  +1

少年は鬼を取り込むことによっていわば「毒をもって毒を制す」状態になったのだろうか。それともたまたま憑き物が落ちた瞬間に宿主を捜していた鬼が入り込んできたのだろうか。

が、その後「お遣いさん」(私は憑巫=よりましと考える)として憑き物落としの場に呼ばれたところを見ると、憑いたのか憑けたのかはわからないが、少年の中に「鬼」がいることはお宮さんも勘づいていたのではないか。

引き込まれる文章だったが、その割に少年が「誰から」自分の行状を知らされたのか書かれていない。なぜ書かなかったのか。

名前: つなき ¦ 22:37, Saturday, Apr 10, 2010 ×


凄絶な話でした。
ただ、「事の真相を聞かされた」のは、誰からだったのか、ということが気になりました。

また、「お遣いさん」の風習に関しても気になりますが、このあたりはもう70年前ということで、薄れてしまっているのでしょうか。

中々に凄い話を聞かせてもらいました。

名前: 捨て石 ¦ 16:36, Sunday, Apr 11, 2010 ×


<当時の江藤少年は魂が不安定で>
という言葉は体験者さんからお聞きになった事をそのままお書きになったのでしょうか。それとも著者さんが何かのお考えからそう書かれたのでしょうか。
後者であればそれはどういった理由からでしょうか。
終戦前後の時代とあっては無理もないかもしれませんが、現在においても異常行動をする人の事を<魂が不安定>とするのはどうかと思います。

お話の内容は凄いと思いますが、個人的にはホラー映画でも見ている様な気分になり、実話怪談を読んでいるようには思えませんでした。



名前: どくだみ茶 ¦ 22:15, Wednesday, Apr 14, 2010 ×


とても文章力のある方だと思います。
人の一生を丁寧に書かれた印象を受けました。

ただどうしても謎ばかりが残ってしまいます。
結局、ここまでの詳しい話を江藤さんは誰から聞いたのでしょう?
そして「お遣いさん」とご近所の方から言われるようになった、ということは本人は知らないけれど、他の皆はどういう役目を担う子供なのか知っていた、ということでしょうか。
鬼は何かの象徴のようなものだったのか、本当の鬼だったのか?

硬い文章でまるで小説を読んでいる気分になってしまいます。
起こり得る出来事が出来事だっただけに、ここまで時代背景やその他のことをしっかりと書かれているのだから、そのような疑問も明かして欲しかったと思います。

確かに本人だけでは分からないことも多々あるとは思います。
かなりの年数も経っていますし。

ただ、この文体は少々個人的には苦手です。
「お宮さん」を老婆と例えたり、描写が情緒豊かに書こうとしているのか、まるで小説を思わせてしまうのです。
内容が内容なだけに尚更現実感の無さを感じてしまいました。

名前: 鶴斗 密喜 ¦ 21:24, Sunday, Apr 18, 2010 ×


>魂が不安定で
 
というのがどういう事なのか読了しても分からないのですが……
憑きものを落としたつもりが鬼に憑かれたということでしょうか?
それとも鬼を入れることによって入れ違いに憑き物を追い払った?
「お遣いさん」と呼ばれるということは、ある一定の敬意を払われる存在になったということでしょうか。それには前段階として「魂が不安定」であることが必要だったんでしょうか。

まあここら辺は、怪談ジャンルに深くどっぷり漬かっている人にとっては暗黙のコードみたいなもの何だろうなあ^^;

でも私にはあらすじ以上の空気を共有できなかったです。
何か凄いことが過去に起きた、というのは分かるだけに、いい読者になれなくて申し訳ないです。

名前: キャザリー ¦ 20:00, Monday, Apr 26, 2010 ×


ネタ・恐怖度:2
文章・構成 :1 

鬼の目撃談だけであれば御伽噺に終わりかねなかったが、憑依という要素が加わってクオリティの高い奇譚に昇華している。 腕を食い破るとかどんな咬合力だよとか、えらい騒ぎを引き起こしてよく幽閉されなかったな、とかそんな突っ込みが無粋に思えてくるほど稀少性を伴った話である。 異形を身の内に抱えてしまった者の悲哀が現れている最後の言葉が印象的。

名前: オーヴィル ¦ 03:25, Wednesday, Apr 28, 2010 ×


私なりの感想を述べるのも申し訳ないような…。でも一応。
憑き物を落とす一瞬の隙に、鬼に入られてしまったのか。
初めから鬼が憑いていて、お宮さんをやり込める機会を待っていたのか。
全ての真相は儀式の際に起きた何かにあると思うのですが、それを知ることも叶わず、分かるのは「自分は忌まわしい存在であるらしい」ということだけ。
江藤さんのこれまでの人生の核ともいえる部分を、一気に見てしまったような気がします。

そんな気分になれたのは、筆者さんのお陰ですね。時代背景を適度に織り交ぜつつ、出来事の凄惨さや江藤さんの切なさも余すことなく書いてくれています。トータルで(+4)。ごちそうさまでした。

名前: 雨四光 ¦ 23:42, Wednesday, Apr 28, 2010 ×


文章1 恐怖0 希少1 魅力0

こんな凄い話を、よく聞き出せたものだと感心しきりでございます。
結局お遣いさんとは何だったのか。
お宮さんは鬼を使役しようとしていて、結局手にあまらせてしまったということなのでしょうか。
壮絶な話すぎて、言葉が出ません。

名前: 幻灯花 ¦ 04:59, Thursday, Apr 29, 2010 ×


江藤さんの凄絶な人生を思うと、言葉がありません。「お遣いさん」のお勤めをされた後からの、ご家族や村中から疎外されてしまったような対応、どれほど深く傷付かれたことでしょう。もちろん、みなさんもお辛かったでしょうし、村のことなど何も分からない部外者が言うことではないでしょう。なにより私が生きている今とは、全く違う時代のお話です。今の価値観で考えることは、恐らくとても非礼なことでしょう。

過ぎたことに「もしも」は禁物ですが、江藤さんがもし、憑き物落としの際に上を見なかったらと考えてしまいます。ただ「見るな」という禁忌があったのなら、注意は必ずなされたでしょう。それがなかった以上、本当に不幸な出来事だったのか…それとも「見る」「見ない」は江藤さん次第という、半ば偶然に頼るような何かルール的なものがあったのか、憶測が過ぎるかもしれませんが考えてしまいます。

まだまだ子供だった江藤さんが、お宮さんのお腹はともかく、大人の男性の腕を肩口から食いちぎるというのは、歯や顎の力からいってまず不可能です。(体重が10キロ程度の猟犬が、大人の男性の二の腕を食いちぎる程度の顎力を持つといいます)
その後、江藤さんは歯や顎に故障があったとは描かれていませんし、「鬼」の憑依は間違いない事実だったのだとこのことから確信させられました。

・臨場感+1 ・没入度+1 ・表現+1 ・恐怖0


名前: ダイタイダイダイ ¦ 22:12, Thursday, Apr 29, 2010 ×


「お遣いさん」という呼び方が面白かったです。個人的にもう少し短かった方が良かったかと。

名前: 丸野都 ¦ 01:45, Friday, Apr 30, 2010 ×


これは凄まじいです。
是非傑作選に入ってほしい。
ダントツです。

名前: 極楽 ¦ 20:21, Friday, Apr 30, 2010 ×


怪談点…2
文章点…2

凄まじい。
重厚な文章に冒頭から完全に引き込まれ、そこに綴られる70年前のその出来事に慄然としました。
「お遣いさん」という言葉があるということと、神社に呼ばれたということは、その村ではそういった役割を担うための力をもった人が定期的に生まれていたということなんでしょう。
しかし彼の場合はその中にいる存在が暴走してしまったということなんでしょうか。
その鬼は本来どのように使役される者なのか、とても興味が湧きます。

しかしそのような者と共に生きる運命を背負わされたその方の人生とは一体どんなものだったのでしょう。
それは相当な覚悟と自覚を伴ったものだったんでしょう。

このような凄絶な体験談に出会われ、そして見事に作品化された書き手の力にも敬服します。
文句なしの最高点です。

名前: C班 山田 ¦ 22:23, Friday, Apr 30, 2010 ×


ラスト以外は殆ど地の文のみで綴られた構成手法は、長い話をコンパクト化させるのには効果的なのだとは思うのですが、この作品の場合にはどうだったでしょう。

書き急いでいる風はあまり見受けられませんが、一瞬、これはあらすじなの? といった感がありました。また、「そればかりか」といった繋語の重複も、推敲の余地があるところだと思います。

内容について。呼称等、ディティールを細かく再現する事も大事ですが、それより先に肝心たる真相の流れをきちんと把握できるようにしておくべきだったとも。まぁ取材時に於いては、話者から得られる独特の呼び名にテンションが舞い上がってしまうことは確かですが(笑)。

  ◇ 文章:0、希少度:+2。

名前: かつお梅 ¦ 22:45, Friday, Apr 30, 2010 ×


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