遺伝記/2008
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恐怖箱 遺伝記

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萎え婆
 ババァが。めかしこみやがって。勘違いすんな。クソが。
 ダイヤの指輪? ピアスに真珠の首飾り。公園をお散歩するのにそんなもんいるか。
 だが、金は持っていそうだ。装身具は売れなくたって、誘拐すれば身代金が取れる。いい考えだ。そうだろ、相棒?

 あ、いや、あいつはもういないんだった。オレとしたことが、死んだ奴のことなんか思い出すなんて。

 クソ、ババァが。花魁みたいにしゃなりしゃなり歩くからだ。

 死んだ相棒は歌舞伎の女形かと思うほど華奢で、陰気で、影の薄い野郎だった。俺が何か言ったって、はふん、と鼻から息を漏らしたっきり黙ってる。賛成なのかと思やあ、そうでもねえ。反対なのかと問い詰めると、じゃあやるよ、だって、そんな中途半端なこったから三下ヤクザに撃たれてくたばる破目になるんだよ。

 ああ、もう苛々するぜ。だからババァは金持ちだって。
 オレの獲物と即決めちまおう。
 八十か。いやもっと行ってる、九十か。力がないから抵抗できねー。だが足腰は確かだ。ショックで即死するほど弱ってもねえ。

 遊歩道に人影はなかった。急がば急げだ。つかむと片手で持てるほどババァは軽い。だいたいこれほど着飾ってんだ、唇だって濡れてるし、しわくちゃな瞼の下から覗く眼はぎらぎらしてる。まだまだ性欲旺盛な、萎びて、ゆるんだ姥桜かもな。

 おっと、こりゃあカツラか。ケバい色だ。カツラを取ったらほとんど禿げだ。こりゃマジで百かもな。だからなんだよ。

 さっさとアジトに運び込んだ。

 おい、ババァ、うちはどこだ。身代金を要求してやる。
 安心しろ。金さえもらえりゃ生きて返すさ。
 何ふるえてやがんだ? いいから、さあ、はけよ。うちはどこだって、聞いてんだ。入れ歯落として口がきけねえのか。あん? 家族だって見捨てやしねえよ。目撃者なんていねえから、警察に通報される心配はないさ。

 寝てる場合か。クソ、図太いババァだ。起きろよ。この。

 気ィ失ってんだか、寝てるんだか、死んでるんだか、わかんね。
 どれ、心臓は? 動いてるのか。首飾りが飛び散った。真珠がコロコロ、年代物か? なんだよもう。ブラウスまで破けちまった。はだけた胸がいやに白い。しわくちゃなのに、妙に湿ってる。心臓がコツコツと、裏から骨を打つ音が肌を透かしてわずかに聞こえた。生きてる。よかった。
 よかったって、当たり前だ。死体じゃ脅しが効きづらい。

 オレはババァが薄目を開けて、フッとこっちを見た気がした。

 そんなはずないだろう? 目をつぶってるが、泡をふいてるわけじゃない。舌も出てねえ。

 顔を寄せると口が開いて、ババァの息が耳にかかった。

 桜の匂いだ。花じゃない。夏の葉桜の木陰で嗅ぐ匂い。そういやあ公園の遊歩道にも桜並木があったっけ。
 ババァの腕が持ち上がった。開いた指が、ひくひく動いた。オレの手首をそっとつかむ。
 いや。何なんだ。抵抗しようってのか。クソが。

 歯のない口から吹き抜ける声が、あ、あ、とくぐもる。胸がさらにはだけた。肌が、なんかバラ色に染まった。こぼれた乳房をまさぐると、思ってたよりも弾力がある。オレはブラウスをむしりとり、枯葉のように手ごたえのない下着をひっちゃぶいて、姥桜を裸にすると、たるんだ皮膚をかきわけかきわけ、しわをのばし、骨をつかんで、ズボンを脱いで、ババァを姦った。

 尻を抱え、しばらくこねくり、化石でないのを確かめてから、ババァのマンコに突っ込んだ。穴の感じは、悪くない。

 よく見りゃ、しょぼいマン毛のかわりに小さな葉っぱが生えている。

 なんだよ。ケツのけばまで染めてんのか。
 いやそうじゃねえ。本物の葉っぱだ。緑もあざやかな、小さな葉っぱ。
 桜の若葉だ。

 びゅるるるっ。
 オレはあっというまに射精した。
 嘘だろ。おい。

 だが、本当だ。
 びゅるるるっ。
 あへ。また、くる。
 あっ、あ。
 びゅるるるっ。
 ババァが腰をゆらめかす。すると中で、何かが蠢きやがるんだ。しょぼしょぼだった股の葉っぱはいつのまにか葉を広げ、いっそう緑あざやかに繁り、わらわらふえて、オレの下半身を包んで、尻をからめてぐいぐい、強烈な力で引っぱりこんだ。
 我慢できない。
 まただ!
 びゅるるるっ。

 ババァが目をあけた。緑の眼だ。
 見る間にオレの体は葉に覆われる。尻穴から、青虫をつぶしたような汁が出た。繁る葉があざやかな緑のしずくを滴らす。

 ババァのマンコは黒い。暗い。闇だ。オレの目の前は真っ暗だ。何も見えない。
 オレは木になる。何の木になるか気になるが、木に成っちまったらわからない。手は枝に、枝分れして、葉が繁り、髪も目も緑に染まり、肌はなめらかな樹皮に変わる。桜かな。だといいな。
 あああああっ。

 吸われるうぅぅぅぅぅっっ。




05:38, Saturday, Jul 19, 2008 ¦ 固定リンク ¦ 講評(18) ¦ 講評を書く ¦ トラックバック(7) ¦ 携帯


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■講評

-3
すみません。内容と表現がどうしても受け入れられませんでした。前半の部分もわかりづらい部分がありましたので、もう少し整理した方がわかり易かったように思いました。

【アイデア】0、【描写力】-1、【構成力】-1、【恐怖度】-1

名前: 茶毛 ¦ 14:20, Saturday, Jul 19, 2008 ×


-2
ううーん。なんか展開がよく分からないというか…。
前置きが長く、後半、急にエログロに走ったような印象も受けます。
途中も語り口調が部分的に説明口調になったりと、文体が統一されていないようにも思え、少し読み難かったように思います。
スミマセン。私はちょっとついていけませんでした…。

【アイデア】 0 【描写力】-1 【構成力】-1 【恐怖度】 0

名前: PM ¦ 18:34, Saturday, Jul 19, 2008 ×


0
ネタ自体はありがちだが、話は面白いと思う。
ただ、ここまで執拗なエログロ描写にはちょっとついていけない。

名前: ナルミ ¦ 20:46, Saturday, Jul 19, 2008 ×


-2
どぎつい文体で語られた割には、起こった出来事が意表をつくほどの内容でないのが残念。内容がエグいのなら、せめて文体は古風で硬い方がまだ良かったのではと思う。

【アイデア】0、【描写力】-1、【構成力】-1、【恐怖度】0

名前: 廻転寿司 ¦ 00:03, Sunday, Jul 20, 2008 ×


0
アイデア +1
描写力 ±0
構成力 ±0
恐怖度 −1

婆さんを狩ろうとして自分が取り込まれてしまうとは迂闊でしたな。
それにしても激しい文章ですね。

名前: くりちゃん ¦ 21:47, Sunday, Jul 20, 2008 ×


2
お婆さんマニアのお話ですか?途中から展開が妙な所に行っちゃいましたね。
主人公がお婆さんに何故性欲を急に感じたかという説明がちゃんとなされていたら、もっと説得性があったかと思います。エログロ路線という挑戦は面白かったです。
【アイデア】1 【描写力】0 【構成力】0 【恐怖度】1

名前: 如来 ¦ 09:57, Monday, Jul 21, 2008 ×


-3
エログロ路線も有りですが、これほど難しいジャンルは無いと思います。
残念ながら、この作品には、一般的な嗜好を持つ読み手を唸らせるほどの力は見受けられません。

発想・−1 文章・−1 構成・−1 恐怖・0

名前: 暗沌子 ¦ 17:02, Monday, Jul 21, 2008 ×


-2
エログロ路線もありだとは思います。
うまく使えば効果的ですよね。
ただこのお話はちょっと…個人的にはついて行けませんでした。

【アイデア】0【描写力】-1【構成力】-1【恐怖度】0


名前: ぼりす ¦ 12:47, Tuesday, Jul 22, 2008 ×


-3
なんだかなあ。嫌いだ。こんな表現を使ってまで表したいものなのか?

【アイデア】0、【描写力】-1、【構成力】-1、【恐怖度】-1

名前: 尚休 ¦ 18:39, Tuesday, Jul 22, 2008 ×


0
もっと他に表現の仕方がなかったかなーと思うところがちらほらと。
子供には読ませたくないな、ちょっと・・・
展開も分かりにくかった。

【アイデア】0、【描写力】0、【構成力】0、【恐怖度】0

名前: 華鹿 ¦ 13:56, Friday, Jul 25, 2008 ×


1
 ネタとしては理解できます。
 あとはそれをどう表現するか、どの手を選ぶか、ですよね。
 私はこういう表現はちょっと苦手ですが(笑)。
 ただ同時に、主人公を書生さんにして女性を美しい未亡人にしたらやっぱりおもしろくないと思うんですよ。
 物語を一度、記号化して、その上で評価してゴーを出すのか、もう一度練り直すのかって所ですよね。

【アイデア】+1 【描写力】 0 【構成力】 0 【恐怖度】 0

名前: ユージーン ¦ 20:46, Friday, Jul 25, 2008 ×


2
配慮がない文章は好きです。

名前: hirosi ¦ 17:13, Monday, Jul 28, 2008 ×


2
何か息を詰めて全力疾走したような作品ですね。勢いは買いますが、そのお婆さんの像がうまく結べません。装身具だけでなく、服装だとか、カツラの色、もう少し実体を感じさせるように(でもどこか異常という風体で)彼女を描写していただけると、交わっている時にどんどん異形になっていくのが生きると思うのですが。彼女にしゃべらせないのはグーです。

【アイデア】1【描写力】0【構成力】1【恐怖度】0

名前: ひ ¦ 15:51, Monday, Aug 04, 2008 ×


1
乱暴な表現はあまり好きじゃありませんが、お婆さんの女としての妖しさが上手くでていたと思います。
露骨な表現さえなければ・・・

名前: うさるちゃん ¦ 13:16, Thursday, Aug 07, 2008 ×


3
バァちゃんでも、よかったならいいじゃん(笑)。
と思っていたら、想像はついたけれど、
それほどがっかりはしなかったですよ。
文章が上手いのに、想像がついてしまう
のは、残念だったかな。
タイトルをもうチョット焦点ずらすと
先が読めなかったのかも。

名前: ちゅん ¦ 19:16, Thursday, Aug 07, 2008 ×


1
うわ〜気持ち悪い(褒め言葉)。婆さんじゃなかったら楽しめたのに。


【アイデア】+1 【描写力】 0 【構成力】 0 【恐怖度】 0

名前: 猫塚イスマ ¦ 02:42, Saturday, Sep 20, 2008 ×


1
描写+1 
話自体は嫌いではない。
若い綺麗な女性であったらありきたりになってしまうし、なぜババアに性欲が湧いたのかが一番の疑問点なので、、そのあたりもう少し書いておいてくれればまた違ったか。

名前: 戯作三昧 ¦ 20:41, Sunday, Sep 21, 2008 ×


1
桜の幹のシワシワ感から相手もお婆さんにしたという事でしょうか。もしそうなら意外に素直な設定です。著者の好みで、と言われた方がどちらかといえば私はいいと思う方なので。だって、特に婆さんじゃなくってもいいわけですから。もっともっと気持ちの悪い不快な相手はいくらでも考えつくのですから。敢えてエログロ路線でいく心理、というものを想像するのがとても好きなので、そういう意味では楽しめる作品ではありました。

【アイデア】1【描写力】0【構成力】0【恐怖度】0

名前: 蓮 ¦ 16:45, Sunday, Sep 28, 2008 ×


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