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「さあ、村の衆。括ろうぞよ」 村長の野太い声を合図に村人達はみな一斉に御神木へ走り出した。 予め枝枝にぶら下げられた括り縄の数は二十八本。村民数は五十四人だったので、二十六人の村人が括り損じる計算だ。 同様の作りをした白装束を身に纏い、「わしが括るわしが括る」と口々に声を出しながら我先にと山道を駆け上る村民達。 山道の両側を取り囲む森からは季節柄、濃い靄がもくもくと立ち上る。 山のふもと、山道の始まりで掛け声をかけてから向こう、呆けた青白い顔でただ案山子のように立つばかりの村長は、その彼の役割から一見してこの狂気の沙汰を極めた祭りをとりしきり、全ての脈略を把握しているように見えたが、本当のところはそうではなかった。 この祭りをとりしきり、全ての脈略を把握し、圧倒的な支配力を誇るのは他の誰でもなく御神木のみ。 ほどなくして、山の頂上から、ぎやあ、むぐう、ぎええ等の叫び声がこだまを伴ないながら村長の耳に届いてきた。 村民達の絶叫は段々とその大きさを増し、その最大を経てからはどんどん細くなっていった。最後に聞こえたのはまだ年端のいかぬ子供のそれだったのだろうか、やけに甲高く短い。 用意された全ての縄に見事に括られた二十八本の亡骸を残された二十六人の村人は御神木の周囲に集まり体を右に左へ揺らしながら、ただ眺めるのみ。御神木の「実」から搾り出された糞尿から立つ湯気が靄に混じり、景色には一層の幽玄さが漂う。 もう少しで一番鶏の啼き声が朝を伝え、彼らは我に返る。 ある者は失禁するほどの恐怖に錯乱し、ある者はすぐに家へ戻り警察へ連絡するだろう。家族を失った者の中には、括られた家人の後を追おうとする輩もいるかもしれない。 とっくに気が触れた村長は鶏の一啼きを待つまでもなく、漆の葉を草笛にしてぴいぴいと吹きながられ森のどこかを彷徨っている。 こうして御神木の企てた初の祭りは大成功を収めたのであった。
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受信: 21:36, Thursday, Sep 25, 2008
■講評
括られているのが、人という部分では意外性を感じました。てっきり注連縄辺りなのかと想像していました。ご神木が企んだ祭りということであれば過去、又はそうなる因果関係が少しでも明記された方が色々な想像が膨らみもっと良くなったと思いました。
【アイデア】+1、【描写力】+1、【構成力】-1、【恐怖度】0 |
名前: 茶毛 ¦ 20:16, Sunday, Jul 20, 2008 ×
最後に書かれた「御神木の企てた初の祭り」という設定を読者が受け入れるかどうかで、この作品の評価が変わると思う。 これが御神木の仕業であるくらいに軽くにおわせるくらいならまだいいとしても、企てた初の祭り、とあっては、御神木が人そのものの行為に近すぎて、最後の祭り成功に於いては御神木が腕組みをして頷いてるんじゃないかとさえ思えてくる。 全体的に語り手の説明過多により、作品にどこか不自然さを生じさせているように感じた。 ビジュアルイメージを先行させてラストを設定したのかな・・・。
【アイデア】0、【描写力】-1、【構成力】0、【恐怖度】0
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名前: 廻転寿司 ¦ 23:25, Sunday, Jul 20, 2008 ×
「括り祭り」のイメージはかなり強烈である。 だが、それが「ご神木が企てた」というところが釈然としなかった。なぜ企てたのか、どうやって首を括らせたのか、それがまったく説明されずに「企てた」と書かれても疑問が残るだけである。 |
名前: ナルミ ¦ 00:18, Monday, Jul 21, 2008 ×
アイデア +1 描写力 ±0 構成力 ±0 恐怖度 +1
とてもおぞましい。 御神木でありながら、こういう災いを求めるなど恐ろしい祟り神だ。 これだけだと、ホラー小説の導入部という感じがして「で?」と続きを求めたくなった。
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名前: くりちゃん ¦ 09:54, Monday, Jul 21, 2008 ×
不気味な話です。インパクトはあります。 その後を期待させる結末は良いと思うのですが、御神木がこれを企てた理由、村人がどうやってやられたか等が分からないままで、どこか物足りない感がありました。 連結する話としては、割と良い気がします。
【アイデア】+1 【描写力】 0 【構成力】 0 【恐怖度】+1
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名前: PM ¦ 10:30, Monday, Jul 21, 2008 ×
村人が首を吊る祭りという発想はおもしろかったです。何かの祟りか呪いで発狂し、そしてまた正気に戻ったときの悲劇も書かれていて、禍々しい雰囲気が出ていたと思います。 >「実」から搾り出された糞尿から立つ湯気が靄に混じり というくだりは縊死した者の様子がリアルに描かれていて大変良かったと感動しました。 ただ、惜しむらくは祭りの意味が最後まで曖昧だった事です。そのあたりが明確であれば傑作になっていたであろうと思います。 【アイデア】1 【描写力】0 【構成力】0 【恐怖度】2 |
名前: 如来 ¦ 10:58, Monday, Jul 21, 2008 ×
気持ち悪い話で良かったが、内容的には「?」な部分も多く感じられた。
【アイデア】+1 【描写力】 0 【構成力】 0 【恐怖度】 +1
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名前: 猫塚イスマ ¦ 11:31, Monday, Jul 21, 2008 ×
これは壮大なドラマのエンディングでしょうか。 発想も世界観も素敵なのに、説得力が無いと思いました。
発想・1 文章・0 構成・-1 恐怖・0 |
名前: 暗沌子 ¦ 17:38, Monday, Jul 21, 2008 ×
御神木が何故それを企てたのか、匂わす程度でいいので語ってほしかった。怒りなのか、血に飢えて生け贄を求めてるのか。物言わぬ御神木の中にそういうのがあるって事を感じられると恐怖がいや増すと思います。 それから完全に第三者的な語りがちょっと淡々としすぎてるように思います。もうちょっと恐怖を煽ってほしい。 しかし括り祭りという響き、冒頭の「さあ、村の衆。括ろうぞよ」、首を括った人をご神木の実に見立てる発想、痺れます。 |
名前: 和田ゴッホ ¦ 23:12, Monday, Jul 21, 2008 ×
タイトルを裏切らない内容だったと思います。 しかし、これが何だったのかの理由がイマイチはっきりしていなくて惜しいです。 そこで更にぞっとするような展開があれば、更に面白くなったのではと感じました。
【アイデア】+1【描写力】 0【構成力】 0【恐怖度】 0 |
名前: ぼりす ¦ 16:49, Tuesday, Jul 22, 2008 ×
ラストがなければ、マイナス評価でした。
【アイデア】0、【描写力】-1、【構成力】+1、【恐怖度】0
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名前: 尚休 ¦ 18:09, Wednesday, Jul 23, 2008 ×
アイディアとして良いと思います。 こういう切り口もいいかな、と。
お祭りというのは必ずしも面白おかしいということではなく、その裏にはある種の恐怖があります。 その辺を分析して盛り込むとなお一層、お話に陰影が出て良くなったと思いますね。
【アイデア】+1 【描写力】0 【構成力】0 【恐怖度】0 |
名前: ユージーン ¦ 22:42, Wednesday, Jul 23, 2008 ×
村人が首を吊る祭りというのが一回読んだだけでは少し分かりにくかった。 もう一回よんでなるほど、怖いなと思いました。 説得力が少し弱い気がしたのと、もの足りなさが残った。
【アイデア】+1、【描写力】+1、【構成力】-1、【恐怖度】0
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名前: 華鹿 ¦ 16:07, Friday, Jul 25, 2008 ×
これはいきなり理解せよと言われても無理。謂われの説明もなしに、いきなり村民達の首の括り合いを「祭り」とされても、脳が受け付けません。が、とりあえずは気持ち悪いので。
【アイデア】0【描写力】0【構成力】0【恐怖度】1
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名前: ひ ¦ 17:00, Tuesday, Aug 05, 2008 ×
終わりが唐突なような…。 始まりは唐突でもいいけど、 謎ばかり放り投げられて 終わられると、なんか消化不良で…。 残念です。面白くなりそうなのに…。 |
名前: ちゅん ¦ 12:56, Friday, Aug 08, 2008 ×
アイデア+1 描写+1 構成ー1 括り祭りという不穏なタイトルから嫌が応にも期待が高まってしまうが、最初の段落でがっくり来てしまった。 まず、首吊りでこだまを伴うほどの叫び声など出るはずもない。創作だからと言われればそれまでだが、ある程度のリアリティーは加味しておいた方が説得力が出る。 描写は良いのだが、その良い描写に書き手自身が酔ってしまっているような感がある。 括り縄と村民の数も何か理由があるのかないのか良く分からない。 ラストも御神木より人為的な企てであったほうがより異常さが際立ったのではないだろうか。 |
名前: 戯作三昧 ¦ 23:20, Thursday, Sep 25, 2008 ×
すごいタイトルですね。内容もそれを裏切らない気味の悪いものでしたが、多くの読者にその先のストーリーを求められたことは著者の方にとって意外だったのでは?括り祭りそのものの描写に力が入りすぎた感がありました。
【アイデア】1【描写力】0【構成力】−1【恐怖度】0 |
名前: 蓮 ¦ 13:25, Sunday, Sep 28, 2008 ×
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