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その日は、急に朝食にパンが食べたくなった。
いつもは米食だが、まあ時にはパンとコーヒーという朝食もいいだろう。そう考えながら食パンをトースターに放り込む。 バターを取り出そうと冷蔵庫を開けると、見慣れないガラスのビンが鎮座していた。オレンジ色の中身から察するに、どうやらマーマレードらしい。 「これは何?ママレード?」と横にいる妻に尋ねると、彼女は軽く首を横に振った。 「ううん、ジャムよ。蜜柑で出来ているんですって」 「みかん?」 「室川さんに昨日もらったの。試しに作ってみたら美味しくできたらしいわ」 室川さんは、すぐ近所に住む気さくな小母さんだ。保存食を作るのが趣味らしく、良く我が家にあれこれ持ってきてくれる。 以前など、瓶に入った梅干しをどっさり届けてくれたが、あれは非常に美味だった。 ならば食べてみるかと、そのビンとスプーンを持ってテーブルに座ると、蓋を開ける。ほのかに広がる、蜜柑の爽やかな香り。 「ジャムとママレードって、何が違うのかなあ」と軽口を叩きながらジャムにスプーンを差し込むと、「こつん…」という妙に固い手ごたえが 返ってきた。果肉が固くなっているのかな、とビンを覗き込むと。
目玉がこちらを見上げていた。
「うわっ!」と思わず悲鳴を上げてビンをテーブルの上に放り出すと、ビンは勢い良く転がり落ちてジャムが床の上に広がった。 呆然としていると、妻が私の珍しい大声に驚いて小走りにやってきた。 「どうしたの!?」と尋ねられても、もちろん答えられない。恐る恐る足元にぶちまけられた物を見下ろしてみても、 怪しいものは何も無い。ただジャムがあるだけである。 「あーあ、勿体無い…」と呟きながら片付ける妻の背中を眺めながら、私は何とか立ち上がった。 「ちょっと顔を洗ってくる」とぼそぼそ言いながら、リビングを出ようとすると妻が話しけてきた。 「また、室川さんに貰わなくちゃ、蜜柑ジャム」 私は立ち止まると、黙って妻の顔を見た。 「だって私はまだ食べてないんですもの。ジャムは大好物なのにね」 妻はかすかに微笑んでいた。 「朝ご飯、やっぱり和食にする?室川さんの梅干を食べれば食欲も出るわよ」
私は相変わらず黙ったまま、あの目玉はまるで笑っているように見えた事を思い浮かべていた。
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» 【−1】蜜柑ジャム [遺伝記澱奇から] × 単体で考えると大して面白みのある話ではない。ジャムから目玉の親父が出てきただけだ。しかし、他との連続の中で捉えると、話にふくらみが沸く。依存度が高い。それにしても…。まぶたのない目玉が、笑っているように見えるというのは文学的だ。【.... ... 続きを読む
受信: 00:07, Wednesday, Jul 23, 2008
» 【0】蜜柑ジャム [鯖塩工務店から] × 小さな入れ物の中からこちらを見つめる目玉、というのはよく見るギミックで、残念なが ... 続きを読む
受信: 17:23, Wednesday, Jul 23, 2008
» 【0】蜜柑ジャム [せんべい猫のユグドラジルから] × 怪異が目玉だけというのが弱いです。また、「室川さん」というのを妻が強調するあたり、妻に多少悪意があるのかな、とも思ったのですが、断... ... 続きを読む
受信: 23:37, Thursday, Jul 24, 2008
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受信: 00:54, Wednesday, Jul 30, 2008
» 【+3】蜜柑ジャム [I'd like to tell you something about ...から] × それは驚くよ。いきなりだもん。 描写が巧いので頭に状況を浮かべながらスラスラ読んでたので驚いた。 しかし、蜜柑ジャムの中に目玉�... ... 続きを読む
受信: 22:23, Friday, Aug 01, 2008
» 【 1】 蜜柑ジャム [hydrogen's blogから] × 元記事と併せて読むと面白いです。ただそれでいうと「梅酒漬けたのよー」「うわー目玉だぁ」とか出てきそうだなぁ。基本的に安直な路線の話だと思うのでもうちょいストレートでも良かったかな。何か足さないと単体の話として弱いと思ったのでしょうけれど、付け足したの .. ... 続きを読む
受信: 16:36, Friday, Aug 08, 2008
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受信: 17:53, Friday, Sep 26, 2008
■講評
ジャムに浮かぶ目玉、映像が浮かんできてまず怖いです。 それから気付かないうちに得体の知れないものたちに家の中に入り込まれている怖さが、いい意味でいやーな読後感を残してます。 ただ、遺伝元を知らないと、なんで目玉?と引っかかってしまうのではないかと思います。理由のわからない怪異、だけでもいいとは思うのですがそれだったらそういうふうにすっきり読めるように文体や構成を工夫したらよかったかも。 |
名前: 和田ゴッホ ¦ 09:15, Tuesday, Jul 22, 2008 ×
ジャムの中の目玉はビジュアル的には恐ろしいですが、結局何も出てこなかったんですよね。 梅干からは何が出てくるのか楽しみですね。 【アイデア】0 【描写力】0 【構成力】0 【恐怖度】0 |
名前: 如来 ¦ 13:20, Tuesday, Jul 22, 2008 ×
スプーンを差し込むと固い手ごたえがあった時に、ジャムをスプーンでほじった事が書かれていないので、ビンをのぞいたところで、埋もれている目玉があまり姿を現していないように思える。すると、見た途端に目玉だとすぐに認識できるほどに中から目玉本体が見えていたと納得させるには、例えそれが幻であっても、ジャムの中身に対してどう見えていたのか分かりにくい。このあたりの認識の流れと映像を、丁寧に描いてほしかったように思う。 また、目玉単体だけで笑っているように見えたと伝えるのも、イメージがわきにくい。
展開と発想は・・・ちょっと弱いかな。
【アイデア】0、【描写力】-1、【構成力】0、【恐怖度】0 |
名前: 廻転寿司 ¦ 14:03, Tuesday, Jul 22, 2008 ×
ん…? 目玉が笑う…? ちょっと想像出来ません…スミマセン。 ジャムのべとべとしたところに目玉とか、不気味ではあるんですけど、ちょっと弱い気もしました。
【アイデア】+1 【描写力】 0 【構成力】 0 【恐怖度】 0
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名前: PM ¦ 18:53, Tuesday, Jul 22, 2008 ×
アイデア +1 描写力 ±0 構成力 +1 恐怖度 ±0
これは気味が悪い。その目が充血でもしていたらもう最悪!ですよね。
目玉が笑っているように云々、というところではお茶碗で沐浴中の鬼太郎の目玉親父の瞳孔が閉じて(?)いた、ああいう絵を想像しました。目玉単体で笑って…というのはちょっと無理では? |
名前: くりちゃん ¦ 19:23, Tuesday, Jul 22, 2008 ×
怪異は小ネタで、錯覚で片付けられそうな話。もう少し展開が欲しかった。 ラストの「目玉が笑う」もイメージしにくい。 |
名前: ナルミ ¦ 23:20, Tuesday, Jul 22, 2008 ×
ラストの目玉が笑う所は別なオチにした方が良かったと思う。イメージしづらい所もあるし、恐怖としても弱いと思う。
【アイデア】0、【描写力】0、【構成力】-1、【恐怖度】-1 |
名前: 茶毛 ¦ 01:20, Wednesday, Jul 23, 2008 ×
食品に入っていたという不快さ、ジャムと目玉のコンビネーションは気持ち悪くて良いなと思いました。 ただ物足りなさ感じてしまいました。 しかし旦那さんったら、なぜ奥さんに黙っているんだろう…
【アイデア】 +1【描写力】 0【構成力】0【恐怖度】 0 |
名前: ぼりす ¦ 16:34, Wednesday, Jul 23, 2008 ×
ビジュアル的には大変に気色悪い作品ですが、単体ではその恐怖感が伝わりません。 他の作品に絡ませると、怖くなってくるかも。
発想・1 文章・0 構成・-1 恐怖・0 |
名前: 暗沌子 ¦ 20:24, Thursday, Jul 24, 2008 ×
目玉はまるで笑っているように見えたってのは、よく考えるとおかしくないですか。 重箱の隅をつつくようで嫌なのですが気になりました。 話のポイントですし 【アイデア】+1 【描写力】 0 【構成力】 0 【恐怖度】 +1
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名前: 華鹿 ¦ 18:15, Friday, Jul 25, 2008 ×
読んで一番感じたのは「妻は何かを知っているのだろうか?」ということ。 そこを広げて行くとおもしろくなりそうですね。
【アイデア】+1 【描写力】 0 【構成力】 0 【恐怖度】 0
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名前: ユージーン ¦ 23:21, Friday, Jul 25, 2008 ×
怖いですか?
【アイデア】0、【描写力】0、【構成力】0、【恐怖度】0 |
名前: 尚休 ¦ 16:11, Saturday, Jul 26, 2008 ×
瓶の中に何かがいるという話は、構造としては割と使い尽くされているパターンであるように思う。薬瓶の中に目玉が入っている、など。 ジャムとマーマレードはどこが違うのか、なぜマーマレードではなくジャムなのか、そこにもし何らかの意図があるならば、そこを掘り下げておく必要があったのでは。そこには特に意味がないのであれば、この話はもっと短くできる。 「マーマレード」と「ママレード」と、呼称が二通り登場するが、呼び方が違うことに意味がないのであれば、どちらかひとつに統一しておいたほうがよい。
【アイデア】0、【描写力】0、【構成力】0、【恐怖度】0 |
名前: touch ¦ 07:14, Thursday, Jul 31, 2008 ×
ジャムから覗く目は確かに気持ち悪い。ですが、旦那のリアクションが薄いです。ジャムがこれなら梅干しだって充分怪しいのに「私は相変わらず黙ったまま」ではあまりにも植物的な薄さです。 【アイデア】1【描写力】−1【構成力】0【恐怖度】1
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名前: ひ ¦ 16:30, Thursday, Aug 07, 2008 ×
奥さんに何したんですか〜? 相当、本気ですよ(笑)。 ふざけたコメントしましたが、 そういう背景がすとんと入ってくる、 まとめ上げられた感じのする話です。 |
名前: ちゅん ¦ 12:18, Sunday, Aug 10, 2008 ×
ビジュアル的な気持ち悪さが良かった。目玉が出ただけでお話が動いて無いのが残念かな。
【アイデア】+1 【描写力】 0 【構成力】 0 【恐怖度】 0
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名前: 猫塚イスマ ¦ 15:37, Saturday, Sep 20, 2008 ×
構成+1 描写+1 最後の一文は描写ではなく、「私」の感じた不気味さを表したたとえであるので、目玉が笑っているところを想像しようとする方が間違っている。良い表現であると私は思う。 室川さんが妖しいのか、妻が妖しいのか、寝ぼけ眼に突然突きつけられた怪異が何気なく、しかししっかりと描かれている良作。
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名前: 戯作三昧 ¦ 13:22, Saturday, Sep 27, 2008 ×
ジャムに目玉が入っていたというのはいいと思うのだが、笑っているように見えたというのは蛇足だったのでは。どちらかというと「得体の知れない梅干まで貰っている」ことの方が不気味さはある。 読みやすい文章だっただけにオチの表現だけが残念でした。 【アイデア】±0【描写力】1【構成力】±0【恐怖度】0 |
名前: 蓮 ¦ 22:03, Saturday, Sep 27, 2008 ×
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