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仕事で帰りの遅くなった僕は自宅に向って国道脇の歩道をとぼとぼ歩いている。 バスを使わずあえて歩くのは勿論メタボリック対策だ。 深夜に近い時間帯なので走っている車は屋根に行灯を載せたタクシーばかり。 歩道はたまに自転車が僕を追い抜くぐらいで歩行者の姿はほとんど無い。 暗くなると雰囲気が一変するよな〜なんて考えながら歩いていると、ふと鼻腔にあの臭いを嗅いだ。 線香の臭いがしている。 視界の端に鮮やかな白が写り込んでいた。 白い花束が街路樹の太い幹の根元に括り付けてある。 今朝は無かった筈だ。 その証拠に足を止めて眺めると切り花はまだ新鮮で瑞々しい。 花束の前にはジュースの缶と小さな子供の好みそうなお菓子が供えられていた。 輪禍の犠牲になったのは子供らしい。 可哀想に。 ため息を吐いて歩き出そうとしたその時、 ガサッ……。 ガサッガサッ……。 頭上で街路樹の枝が鳴った。 風の音とは違う、猫でも歩いているかの様な音。 野良猫がお菓子を狙ってやって来たのかと視線を上に向けた。 「……!」 生い茂った街路樹の枝から子供の上半身だけが逆さにぶら下がっている。 本来、眼球のある場所から血を滴らせ、歯が折れたのか開いた口からは真っ赤な歯茎だけが見えた。 真っ赤な目を見開き、笑いながら僕に向って手を伸ばす。 細く白い手は不自然に長く伸びた。 「ひっ」 僕は思わず後ずさった。 ギギギーッ! 「危ないぞ、この野郎!」 さび付いたママチャリのブレーキ音と男の怒鳴り声が響いた。 辛うじて衝突は免れた。 「ちっ」 茫然自失の僕と話しても無駄と思ったのか、男は舌打ちしてママチャリを漕ぎ出す。 その首には街路樹から伸びた白い腕がグルグルと巻き付いていた。 「……」 呼び止めようにも掠れた音しか出ない。 男の乗ったママチャリは急ハンドルで歩道を外れ、いきなり国道に飛び出す。 その直後、激しい衝突音が響いた。
翌日から僕はバスで通勤している。 時折バスの車窓にあの街路樹からぶら下がる大小の影が見えた。
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受信: 01:06, Thursday, Jul 24, 2008
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受信: 01:32, Friday, Jul 25, 2008
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受信: 00:55, Friday, Aug 01, 2008
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受信: 01:03, Sunday, Aug 03, 2008
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受信: 17:08, Friday, Aug 08, 2008
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受信: 00:30, Saturday, Sep 27, 2008
■講評
バス通勤でまたメタボリックに逆戻りですね。 枝から上半身だけの子供がぶら下がっているってどういう状態?って思ってしまいました。交通事故にあったのに何で木の枝の上?と色々疑問です。 最後はママチャリに乗ったおっさんが事故というくだりは、あ〜やっぱりなという感じでした。ママチャリという単語で吹きました(笑) それにしてもこのお話だとちっとも怖くないかな〜。 【アイデア】-1 【描写力】0 【構成力】0 【恐怖度】-1 |
名前: 如来 ¦ 11:17, Wednesday, Jul 23, 2008 ×
アイデア +1 描写力 +1 構成力 +1 恐怖度 +1
この木は、実は撤去できなかった御神木がカモフラージュされて街路樹になっていて時々生け贄を捕り、取られた生け贄もまた次の…とリンクして行くのではないだろうか。 なかなか怖い。 |
名前: くりちゃん ¦ 17:27, Wednesday, Jul 23, 2008 ×
途中で展開が読めてしまったのは残念ですが、スタンダードで割と面白かったかと思います。 最後のぶら下がる影が増えてるところとか、ちょっと不気味ですね…。
【アイデア】 0 【描写力】+1 【構成力】 0 【恐怖度】+1
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名前: PM ¦ 18:59, Wednesday, Jul 23, 2008 ×
遺伝元で「神様じゃない」と言われていたのはそんな光景だったんだろうかと思うとなかなか怖いです。 語り口もいい意味で奇抜さがなくて、いいなあとも思うんですが、一方でごくごくありふれた怪談になってしまってるとも感じます。 個人的にはそのよくありそうな感じは好みなんですけれども。 |
名前: 和田ゴッホ ¦ 19:45, Wednesday, Jul 23, 2008 ×
怪談としてはありきたりであるが、今後の連鎖を予感させるようなラストがよかった。 「メタボリック」や「ママチャリ」などの「軽い」言葉は、雰囲気を削ぐので使わない方がよかったと思う。 |
名前: ナルミ ¦ 22:32, Wednesday, Jul 23, 2008 ×
あまりにも典型的な流れ、そして展開。やっぱりのオチ。昔からの怪談の王道といえば王道だが、ただそれだけ、という印象を受けた。 一捻りか予想外のオチがないと、この作品は正直辛いと思う。
【アイデア】0、【描写力】-1、【構成力】-1、【恐怖度】-1 |
名前: 茶毛 ¦ 01:42, Thursday, Jul 24, 2008 ×
スタンダートもたまにはアリですね。 上半身だけがぶら下がっているというのは、木とくっついているということなんですかね?
【アイデア】0【描写力】0【構成力】0【恐怖度】+1
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名前: ぼりす ¦ 16:01, Thursday, Jul 24, 2008 ×
この類が集まる作品集なら、埋もれてしまうかもしれない。 ちょっと箸休め的な意味合いがあると思います。
発想・0 文章・0 構成・0 恐怖・1 |
名前: 暗沌子 ¦ 20:40, Thursday, Jul 24, 2008 ×
ネタもとのすっきりしない所をすっきりさせてくれました。 無礼なおっちゃんが轢かれるあたりが妙におかしくて笑っちゃったんですが(笑)。 夜道を舞台にしたのも良かったですね。
【アイデア】+1 【描写力】 0 【構成力】 0 【恐怖度】 0 |
名前: ユージーン ¦ 00:08, Saturday, Jul 26, 2008 ×
怪談らしさはあるかなと思うが、それだけに展開が読めてしまう。
【アイデア】+1 【描写力】 0 【構成力】 0 【恐怖度】 +1
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名前: 猫塚イスマ ¦ 08:09, Saturday, Jul 26, 2008 ×
実話風で読みやすかったです。 これといって問題もない気もしますが、もうちょっと羽目をはずしてもよかったかもしれませんね。 創作ですし、ね。
【アイデア】 0 【描写力】+1 【構成力】 0 【恐怖度】+1
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名前: 華鹿 ¦ 21:39, Saturday, Jul 26, 2008 ×
そこそこの完成度があり、安心して読める反面、実話怪談をなぞって書いた作風に見えるために、創作でこのような作品をやる必然性があまり感じられず、作品を平凡な印象にしている。 また、主人公はこの事件をきっかけにして、見える人になったのだろうか。 作品のラストを読むと、普段使っている通勤路でありながら、この日を境に見えだしたという展開に思え、そこが作品にとって都合良く感じられる。怖さを演出した結果によるものと察するが、ありがちなオチになっていると同時に、怪異の設定が不十分であるように思える。
【アイデア】0、【描写力】1、【構成力】-1、【恐怖度】0 |
名前: 廻転寿司 ¦ 00:26, Monday, Jul 28, 2008 ×
よくありそうな・・・。
【アイデア】0、【描写力】0、【構成力】0、【恐怖度】0 |
名前: 尚休 ¦ 22:14, Tuesday, Aug 05, 2008 ×
腕が、巻き付いてる「首」は、 チャリの男性の方にだと気づくのに 最後までかかってしまいました…(^^;) 「その」がどちらにかかるのか、 判断付かなかった…。 日本語ってむずかしい…。 私がバカなだけか…。 |
名前: ちゅん ¦ 19:39, Monday, Aug 11, 2008 ×
「街路樹」の子どもでしょうか。白い腕に真っ赤な目と口というコントラストは美しいですが、怖いです。冒頭の「暗くなると雰囲気が一変するよな〜なんて考えながら歩いていると」は中途半端にノーテンキなところが、少々興を削ぐような気がします。
【アイデア】1【描写力】0【構成力】1【恐怖度】1
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名前: ひ ¦ 17:42, Thursday, Aug 28, 2008 ×
描写+1 構成+1 安心して読める良作だが、王道過ぎて物足りない。 遺伝元を知っていれば面白さが増すのだが、逆にいえばこの話だけでは不十分であるという事だ。 蛇足だが、真っ赤な歯茎だけ、よりも、切れた唇、折れた後の歯根や何本か残った歯、などあれば怖さは増したかも知れない。 |
名前: 戯作三昧 ¦ 14:34, Saturday, Sep 27, 2008 ×
盛り上がりがあるようで盛り上がってないというか、気付くと話が終わってたみたいな感じです。 充分巻き込まれる可能性はあるのに主人公が無傷で終わってしまったからでしょうね。作品自体非常に短いので事象だけを捉えた作り方だとどうしても物足りなさが残ってしまう。
【アイデア】0【描写力】±0【構成力】0【恐怖度】0 |
名前: 蓮 ¦ 20:35, Saturday, Sep 27, 2008 ×
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