遺伝記/2008
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なみるのおしょう
 間口一間の小さな門口に、瓦釘を手に、せわしなく駆け込んできた青年。
「和尚さーん!居ますかー!寅ですー。」遠慮の無い声で呼びながら奥行きの無い館へ上がり込む。と、
 書院の扉が音も無く開き、瞑目したままの僧形の初老の大男が、長い廊下を玄関へと現われた。
「寅吉くん。言葉は正しく正確に!和尚ではない。お!師!匠!」嗜めたところを、
「あら?皆さん《なみるの和尚さん》と呼んでますが?」と、寅吉。
 
 漸く目を開き、諦めの表情で「なみ流のお師匠様」と呟きながら、寅吉を奥へといざなった。
「相変わらずですな、寅吉くん。で、今日は、何事か、頼みごとか、な。」
「あ、いえ、頼みごとって程の事じゃないんで、ちょいとお尋ねしたい事がありまして。」

 と、話を聞くうちに、和尚(いや!師匠)の表情が、暗くなり、眼を開くなり寅吉を見据えた。
「呪術なんてものは、使わぬに越した事は無い!御主、其の辺は悟っているはずであろうが!」
「えー、まあそうなんですが、暫くご無沙汰してるうちに、忘れてしまいまして。」
「で、何が知りたい。」「丑の刻参りをひとつ。」
 説教と指導が「愚か者め!釘が違うわ!」始まった。

 本来は五寸釘である。長ければ良いと言うものではない。当然、和釘を使用する。針金を切った様な洋釘など、無駄なばかりか害を及ぼす。
 釘は、巻いて叩いてを繰り返し、何重にも鍛えたものである。故に、表面が錆びても、中心は堅固なまま、樹の寿命と同じだけ、いき続けるのである。
 (因みに、釘を打つ時に、口に銜えるのは、唾気による邪気祓いと、錆びによる固定の効果を得る為である。)
 
 次に、打ち込まれる樹であるが、所謂《御神木》と呼ばれているモノが選ばれるが、俗説は、勘違いをしている。
 そもそも、御神木とは、神の降りられる《ひもろぎ》の事であって、樹そのものに霊力なり、神通力なりが宿っている訳ではない!
 稀には、樹そのものが信仰の対象となり、神となるものも居るが、そんなモノに釘を打ち込んだりしたら、忽ち罰を当てられる。
 神霊の寄り代となる資格、能力を持った樹を探すのが第一である。
 
 樹に釘を打ち込む行為は、木剋金の相剋であり、木にとっての金は《死気》を司る鬼となり《殺気》を持った敵として対峙することになる。
 丑の刻は《陰の土気》であり、金輪の上に灯す蝋燭は《火気》の象徴で、木剋土・木生火を表しているのである。

 と言う事は、己が鬼と成らねば、術の成就は、叶えられん。
 ましてや、式を打っても、打ち返される事もあるのだ。己を犠牲にしてまで行う業ではない。
 尤も、其処までの恨みが生じた時点で、既に鬼と成っていようが、鬼以上に恐ろしい、モノも居る訳だ。
 其の辺は、御主も、散々と、(いや)知り過ぎるほど知っている筈であろうが。

「あ!待て!やめんか!おのれが人間になってしまうぞ〜!!」



06:29, Wednesday, Jul 23, 2008 ¦ 固定リンク ¦ 講評(18) ¦ 講評を書く ¦ トラックバック(7) ¦ 携帯


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知識がないせいか、読解力がないせいか、はたまた人間としての厚みがないせいかわからないが、さっぱり意味がわからなかった。牛の刻参りについて説明されているところも、初めてみる記述で、どこに根拠があるのかわからず納得できなかった。だいたい題名.... ... 続きを読む

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冒頭、五寸釘と瓦釘の間違いから、落語「粗忽の釘」を連想。和尚と寅吉は間違いなく横 ... 続きを読む

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なんとなく、サンデーのまんがにありそうな場面だなー、と思いました。立ったキャラ、挟まれるウンチク、そしてラスト。持って行き方は問題... ... 続きを読む

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落語仕立てにしたかったのかも知れないが、上手くオチまで誘導出来ていない。自分の中でわかっている分には良いだろうが、読む人の事を考えていないように見える。簡単に言えば、独り善がり。蘊蓄を披露したいがためだけに書いたとしか思えない。発想 −1描写 −1 ... 続きを読む

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「なみ流のお師匠」はちょっとウケた。句点がやたらに多くて読みにくいなぁ。オチは唐突を超えてコピペミスみたいになっている。捻ったといえば捻ったのかも知れないけど、捻りすぎてねじ切れてしまってはもうなんでもありになっちゃいますからね。正直言って、蘊蓄は嫌 .. ... 続きを読む

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文章のテンポは良く、調子良く読めるが、何だか意味がわからない。「奥行きの無い館」の「長い廊下」というあたりに、書物の中の世界の話かな?と思ってしまった。非現実感は豊かだが、もう少しだけ小説として面白くしてほしい。 なみるのおしょう アイデア +0 描 .. ... 続きを読む

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■講評

1
丑の刻参りの説明はおもしろかったが、最初と最後の掛け合いがわからなかった。
【アイデア】1 【描写力】0 【構成力】0 【恐怖度】0

名前: 如来 ¦ 11:43, Wednesday, Jul 23, 2008 ×


1
五行の話も絡めてなるほどと納得させられる魅力はあるのですが、最後の一文がよく解らず、後味悪くなってしまいました。
鬼より恐ろしいものが人間で、語りは鬼によるもの?という事でしょうか…?
なんかスミマセン…ちょっと私には難しかったです。

【アイデア】+1 【描写力】 0 【構成力】 0 【恐怖度】 0

名前: PM ¦ 19:26, Wednesday, Jul 23, 2008 ×


1
「なみ流」がわからなくて、そこで躓いてしまいました。検索してはみたんですが、答えには辿り着けずじまいです。
丑の刻参りの説明は面白かったです。
寅吉くんは鬼だったんでしょうか。どうして丑の刻参りをしたがってるのかは語ってほしかったです。

名前: 和田ゴッホ ¦ 20:10, Wednesday, Jul 23, 2008 ×


0
ご神木や五行説の解説は面白かったが、最後のオチがよくわからなかった。

名前: ナルミ ¦ 00:15, Thursday, Jul 24, 2008 ×


-2
ただ、丑の刻参りの説明をしているだけかと。何をもって恐怖とするかの作者の意図が全く読めませんでした。

【アイデア】0、【描写力】0、【構成力】-1、【恐怖度】-1

名前: 茶毛 ¦ 02:17, Thursday, Jul 24, 2008 ×


-1
説明は面白かったのですが、肝心な部分が非常にわかりにくかったので残念です。

【アイデア】0【描写力】-1【構成力】0【恐怖度】0


名前: ぼりす ¦ 16:38, Thursday, Jul 24, 2008 ×


-2
台詞回しに自信がある作者のように見受けられますが、この作品ではそれが仇になっているような気がします。
恐怖のポイントがぼやけてしまってます。
読者は台詞を楽しむわけではなく、ストーリーを楽しみたいのではないでしょうか。

発想・−1 文章・−1 構成・0 恐怖・0

名前: 暗沌子 ¦ 20:49, Thursday, Jul 24, 2008 ×


-4
 意味不明。
 蘊蓄が鬱陶しい。
 間口が狭くて奥行きのない館にある長い廊下。間取り図を書いてみて欲しい。

名前: ときの ¦ 11:47, Friday, Jul 25, 2008 ×


0
アイデア ±0 
描写力 ±0
構成力 ±0
恐怖度 ±0

冒頭部が何だか落語のようだが、私は言葉の柔らかい上方落語の方がスキ。

オチもようわからん。

名前: くりちゃん ¦ 17:44, Friday, Jul 25, 2008 ×


1
掛け合いはテンポが良くて面白かったが、内容が掴めなかった。


【アイデア】+1 【描写力】 0 【構成力】 0 【恐怖度】 0

名前: 猫塚イスマ ¦ 08:40, Saturday, Jul 26, 2008 ×


1
解説としては十分なのに、解説が足りないのでは?
小噺としては好きです。

【アイデア】+1、【描写力】0、【構成力】0、【恐怖度】0

名前: 尚休 ¦ 16:45, Saturday, Jul 26, 2008 ×


1
コントみたいで面白かったのですが、最後がわかりにくいです。

【アイデア】1 【描写力】0 【構成力】0 【恐怖度】0

名前: 華鹿 ¦ 22:12, Saturday, Jul 26, 2008 ×


1
 大変、勉強になりました。
 でもこれのせいで丑の刻参りの人が増えたらどうしよう。^^;;;

 オチは確かにわかりづらかったですかね。
 鬼より怖い人間ってのは面白くはあるんですが、実はネタとしてはそっちを上手く誘導する説明が必要だったのかもしれません。

【アイデア】+1 【描写力】 0 【構成力】 0 【恐怖度】 0

名前: ユージーン ¦ 20:05, Sunday, Jul 27, 2008 ×


-3
コント未満、小説未満のように思う。
まだネタ帳に綴られた程度にしか見えないので、これを原形として、もっと練り直してほしい。

【アイデア】0、【描写力】-1、【構成力】-1、【恐怖度】-1

名前: 廻転寿司 ¦ 01:32, Monday, Jul 28, 2008 ×


2
ん?済みません、
最後の一文で訳が分からなくなっちゃった…。
人間じゃないの?寅吉くん…。
名前からすると、ネコ?
ごめん、頭悪くて…。

名前: ちゅん ¦ 20:00, Monday, Aug 11, 2008 ×


0
まんま落語ですね。五行相剋はゲームなどでもお馴染みですが(笑)、オチはいきなり過ぎてわかりづらいです。寅吉は鬼なのでしょうか? で、丑の刻参りをやったら、鬼より恐ろしい人間に変身してしまうということ?  
 
【アイデア】0【描写力】0【構成力】0【恐怖度】0

名前: ひ ¦ 17:47, Thursday, Aug 28, 2008 ×


-2
アイデアー1 構成ー1
丑の刻参りの話は勉強になったが、講釈だけで終わってしまった。
オチも人間ではなかったという事なのだろうが、長い話で引っ張った割にお粗末である。
なみ流の師匠とは、結局何だ?

名前: 戯作三昧 ¦ 15:25, Saturday, Sep 27, 2008 ×


0
「人間=なりたくないもの」というのは広げ方次第で奥深いものが書けそうなアイデアだと思う。ただ、そのオチへの繋げ方が色々不明瞭な点が多く、蘊蓄に力が入ったため焦点が激しくぼやけてしまったような印象です。

【アイデア】1【描写力】0【構成力】−1【恐怖度】0

名前: 蓮 ¦ 16:21, Saturday, Sep 27, 2008 ×


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