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いつの間に寝ていたのだろうか。 気がつくと俺は知らない部屋に居た。 「確か気分転換に崖に来て景色を見ていたはずじゃ・・・」 服装はその時のスーツのままだった。 そこで俺は思い出した。 気分転換に船を見に来た崖で、帰ろうとした時に、以前先物取引で大損させた隣のばあさんや他にもシロアリ駆除やら霊感商法など俺の華麗な話術で騙した奴らに囲まれて、うっかり崖から落ちそうになったことを。
「まったく騙される奴らが馬鹿なんだよ・・・で、ここは」 コンクリートの打ちっぱなしの壁に囲まれた密室に俺はいた。。 天井から裸電球が一つぶら下がっている。 窓があったであろう場所には、コンクリートで埋めたような跡がある。 広さは6畳ほどだろうか、窓もないせいかやけに暑く、息苦しい。 背広を脱ぐと、ワイシャツに汗が染みているのがわかる。 崖から落とすと見せかけて、そのまま拉致監禁されたのかもしれない、そんな考えが脳裏を過ぎった。 「そんな馬鹿なことあるわけない」 俺はそんな不安を打ち消すように、何度か壁に向かって大きな声で叫んでみた。 外からの反応はない。 俺はその場に座り込んだ。 時計は外されており、時間の経過もわからない。 そのことが余計に俺の不安を煽った。 「人間しばらくは食べなくても何とかなる。でも水を飲まない状態で人間どれ位もつんだ・・・・。しかしこの暑さでは・・・・」 俺は焦った。 冷静になろうとすればするほど、じわじわと汗と一緒に不安がこみ上げてくる。 壁を壊せないかと体当たりしてみるが、壁はびくともしない。 諦めたら負けだ、そう思った俺はゆっくりと壁を確かめるように見て回った。 大きな何かを潰したような跡があり、大きなひびが入っている。 俺はそこに必死に指を入れると。コンクリートを剥がし始めた。 爪がはがれそうになり、激しい痛みが走った。 どのくらいそうしていただろうか。 コンクリートの奥からもとは入り口だったであろう、木製のドアが姿を現した。 「ここから出れるかもしれない」 俺はドアノブに手を掛けた。 ガチャガチャと鍵の掛かった音がした。 やはりドアは開かない。 俺は何度も体当たりしてみた。 ドアはびくともしない。 「ここも駄目か」 ため息をついて諦めかけた時だった。 そのドアに小さな覗き穴が開いている。 俺はその穴から外の様子がなにかわかるかもしれないと慌てて覗き込んだ。 遠くに青いものが見える。 どうやら海のようだ。 「あの崖からそう遠い場所ではないのかもしれない」 俺は希望の光がみえたような気がした。 気持ちを立て直すと、なんとかこのドアが壊せないかと、さらに何度も何度も蹴ったり、体当たりを繰り返した。 しかし何度試しても、木製のドアはやはり動かなかった。 あれからさらに、何日経っただろうか。 外の様子は穴から見えるものの、昼か夜かがわかる程度で、正しい時間がまったくわからない。 仰向けに大の字に寝ていると天井が回っているような錯覚に陥る。 空腹と喉の渇きがの激しい波が体を襲い、体内時計すら狂っていくのがわかった。 無意識に失禁していたようで、何ともいえない匂いが鼻につく。 「自分はもう駄目かもしれない。苦しい、楽になりたい」 自殺したいという願望が沸いてくるが、死のうにもここにはその道具すらない。 「舌を噛んだら本当に死ねるのか」 そんな考えで頭が一杯になった時だった。 ドアの外から、ガチャリという鍵を開ける音がした。 俺は最後に残った力で体を起こすと、ドアノブを駄目もとで回してみた。 ゆっくりとドアノブは右に回った。 俺は喜びのあまり、動物の奇声ような声を発しながら、勢いよくドアを開け外に飛び出した。 目の前にずっと見ていた海が広がっている。 その海の方に向かって走った。 すると俺の体は天国から一転、一気に地獄へ落ちるようにそのまま崖下の海へと放り出された。 どうやらあのドアは崖ぎりぎりに作ってあったようで、勢いよく飛び出した俺はそのまま崖から海へ落ちていった。
「・・・皆様、いかがでしょうか?こちらが弊社のご用意した、法で裁くだけでは納得できない方向けの刑罰の一番お安いコースになりますが。もしよろしければ男はこのまま海で溺れ死んでいただきますが・・・」 スーツ姿の女性がそう言った。 胸には『営業主任 鈴木』と書かれた名札がついている。 薄暗い会議室の中で、男の監禁の様子は完全にモニターされていた。 数十人の人間が薄暗い中でなにか話し合っている。 「あの男に騙されたせいで、うちの両親は亡くなりましたからねぇ」 「老後の資金も全部あの男に騙されたせいですべてパーですから」 「この程度ではちょっと罰としては温くないですか」 「わしの腹の虫はまだ収まらん」 そこに集まっているもの達が、口々に不満を漏らした。 「では今頂いている料金に追加ということで、次のプランを実行されますか?」 鈴木はそう声をかける。 「何が起こっているのかわからない不安で歪んだあの男の顔がもう少し見たい・・・それにもっと苦しんでもらわんと我々の気がすまんな〜。まぁ、この人数なら、料金も皆で負担になるからそれ程苦にならんし」 そういってから皆が首をうんうんと縦に振った。 「では一旦、男を海から救助します」 鈴木はそういうと、携帯から何処かに連絡を入れた。 「では次のコースの説明ですが・・・・・」 鈴木は話を進め始めた。
気がつくと俺は再び知らない部屋に居た。 先ほどまでの部屋とは違う、どこかの工房のようだ。 体がびっしょりと海水で濡れたまま、椅子に縛り上げられ、猿ぐつわを噛まされている。 「確か俺は崖から海へ落ちたはずでは・・・助かったのか・・・」 俺はなんとか逃げようと体を動かすと、ギシギシと軋んだ音がする。 「気がついたかい」 男が嬉しそうに何かを仕込んでいる。 「ベーコンを作ってるんだ」 俺の心は今度は何をされるのかと不安でいっぱいになった。 「そう騒ぐなって、首を括った枝でスモークすると格段に味が良くなるんだ、その中でも桜は最高なんだぜ」 男は嬉しそうにそう言った。 「一体なにが起こっているんだ」 俺は今の自分に何が起こっているのかわからないまま、次は首を括らされるのかという目の前の恐怖に怯えるしかなかった。
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受信: 11:37, Thursday, Oct 16, 2008
■講評
どうしても遺伝元の二つを結びつけた感が強いです。その為かせっかくの話が遺伝元に頼っている又は引きずられているという印象が拭えませんでした。作品としても、採点には関係しませんが誤字には注意しましょう。勿体無いです。あと、視点が主人公になったり、取り巻く環境になったりとする部分が気になります。どうせなら、主人公目線ではなく、「俺」を「男」と表して一つの目線から書き纏めた方がスッキリとした感じになったように思います。コンクリートを剥がす描写も現実的には思えなかったです。もう一つ、モニターを通して見ている数十人の人間の日数を追うごとの描写も少し書かれた方が違和感無く読む事が出来たと思います。(ずっと何日間もモニターを見続けるのは無理があると思うので、飲食状態や雑談の内容など取り入れた方が良かったのでは)全体を通して勿体無かったように思います。
【アイデア】0、【描写力】0、【構成力】-1、【恐怖度】0 |
名前: 茶毛 ¦ 15:20, Saturday, Aug 23, 2008 ×
アイデア +1 描写力 +1 構成力 ±0 恐怖度 ±0
仕置き人ですか。なかなか面白い発想です。
ただ白紙の状態でこの作品を読むと、そのまま面白いのですけれども、遺伝記/2008のベーコンの話を知っていると却って「無理矢理つなげた」感がしてしまう。
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名前: くりちゃん ¦ 20:34, Saturday, Aug 23, 2008 ×
なるほど。アイデアは良かったと思います。 ちょっと描写面において、少々くどさがあったように思います。 ベーコンのくだりも、あまりハッキリとさせずに異様な雰囲気を表現して、理不尽な体験が終わっていない事だけ伝えて終わってしまうのも手かなぁと思いました。
【アイデア】+1 【描写力】-1 【構成力】 0 【恐怖度】+1
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名前: PM ¦ 21:39, Saturday, Aug 23, 2008 ×
はははは。そう来ましたか。 ここまで書けば安易と言われずにすむんじゃないですかね。
桜のチップの男が出てきちゃうと次は本当に助かるの? ってちょっと心配しちゃうんだけどね(笑)。 でもまあ、確かにこれは遺伝元を読んでないとちょっと意味不明かな。 こういうのは自分がわかってるのと読者がわかるのの切り分けは難しいんだよね。 いきなり展開が変わる断層になってるのはおもしろくて良かったと思いました。
たぶん、この物語で一番ブラックなのは、詐欺の被害者たちが加害者を罰するためにさらに大金を取られるって所だと思うんですよ。 詐欺の被害者は往々にしてその被害を取り戻そうとして2重3重に詐欺に引っかかる。 その上で、さらに復讐でもぼったくられるってところがポイントになる。 ここをね、もっと強調したらさらにさらに良くなったと思いますね。
最初の監禁部屋は「どうやら天井のあのドアから入れられたらしい」って一言あれば良かったでしょう。
私は視点の切り替えは気になりませんでした。
特にここを減点ってポイントはないんですが、私の場合、最後の一点は加点制という事にしています。 私が好きだと思えるポイントも残念ながらありませんでした。 こればっかりは好き嫌いですので、次の作品でまた楽しませて下さい。
【アイデア】+1 【描写力】+1 【構成力】+1 【恐怖度】 0 |
名前: ユージーン ¦ 21:40, Saturday, Aug 23, 2008 ×
-長所- ・遺伝元の設定を組み合わせて、無間地獄を味わうことになった主人公の話を作り出したのは面白い。 ・加害者と思しき「俺」に無間地獄を与えている被害者の一団が、現在の法では裁けない苛立たしさが出ていて、世相に対する風刺もきいている。
-短所- ・四方がコンクリの部屋に主人公はどのようにして(何者かに)入れられたのか、最初の設定にちょっと無理があるように感じた。ヒビがあるとはいえ、硬いコンクリ部屋の壁面を剥がす事も容易に出来そうな気がしないので、最初から木製のドアがあるとしても良かったのでは、と思う。 ・序盤と終盤は主人公の「俺」がこの話を語っているのに、中盤で急に他の語りが挟まれて混乱する。「俺」がこの話を語る場合は、別の場所で起こったことを語れないので(「俺」がその場にいないから)、「俺」の妄想のように読めてしまう。妄想を意図したのではなくて中盤で単純に場面の切り替えをしたかったのなら、「俺」で語る形式は選ばない方が良いと思う。 ・怪しげな会社が用意した地獄プランはアイデアとして面白かったのだが、様々なリスクを考えると結構金がかかっているように見えるので、それを被害者の一団が分担して払える額なのかどうか、被害者の状況を思うと、そのあたりの現実的なところが少し気になった。
【アイデア】1、【描写力】-1、【構成力】1、【恐怖度】0 |
名前: 廻転寿司 ¦ 23:23, Saturday, Aug 23, 2008 ×
エンドレスな感じはいいと思うのですが、もう少し工夫して読みやすくして欲しかった。 消化不良な感じがする。
【アイデア】 0 【描写力】-1 【構成力】 0 【恐怖度】+1
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名前: 華鹿 ¦ 00:04, Monday, Aug 25, 2008 ×
二つのネタを繋ぐためだけに創作されたような作品。 そのために使われた手法があまりに陳腐で涙が出る。 しかも通常おそらくは監禁された状態で理由もなくドアの鍵が開いたとしたら、疑って慎重に行動するものではないのか。すぐ目の前に海があることも判っているのだし。 第一、何日も飲まず食わずだったのなら、走ることも覚束ないだろう。そこに対する描写も、海ぎりぎりに作っていながらドアを開けて海に向かって走った、とある。一体どこを走ったのだろう。
何と言っても致命的なのはホラーとしてちっとも怖くも面白くもないこと。極限状況に置かれた恐怖を描き出したいのならもっともっと緻密な描写でじわじわと描き出していかなければ怖さには繋がらない。現状ではただのプロットを書いているに過ぎない。 |
名前: ときの ¦ 10:53, Monday, Aug 25, 2008 ×
無理やり繋げた様な感じがしてしまった。
【アイデア】0、【描写力】0、【構成力】0、【恐怖度】0
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名前: 尚休 ¦ 15:55, Tuesday, Aug 26, 2008 ×
騙されたものたちの復讐劇ですね。金を払ってでも復讐したい。わかるようなわからないような気がいたします。 設定やアイデアは面白いと思います。私は結構愉しんで読ませていただきました。 【アイデア】1 【描写力】1 【構成力】0 【恐怖度】1 |
名前: 如来 ¦ 16:07, Wednesday, Aug 27, 2008 ×
タフ過ぎませんか、この男。 憎まれっ子世にはばかると言いますが…。 「孤独」と「空腹」には人間めっぽう弱いですよ。 崖がどの程度の物かも分かりませんが、 高さによってはコンクリに叩きつけられたのと 同じ衝撃になるのですし、 その時点で死ぬんじゃ? そうでなくとも、ピンピンしているワケも無く もっと、弱って行く感じを描写して、 それを喜ぶ面々を描いて欲しかったですね。 矛盾を上げればきりがないので、点数はナシです。 |
名前: ちゅん ¦ 11:38, Wednesday, Sep 03, 2008 ×
遺伝元を知っているのとそうでないのとでは評価が全然違ってくる というこの遺伝記システムの恐ろさ。私は後者でしたがそんなに 不自然さは感じませんでした。更にエスカレートするであろう罰が もっと読みたかったくらいです。遺伝元を繋ぐ試みと挑戦の姿勢も いいなと思います。
【アイデア】1 【描写力】0 【構成力】±0 【恐怖度】0
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名前: 蓮 ¦ 23:43, Monday, Sep 15, 2008 ×
発想は面白いのですが、男の衰弱していく様子の描写が甘いような気がします。
空想の話だからこそ、リアルな面は徹底的に調べ尽くすべきだと思います。
発想・1 文章・−1 構成・−1 恐怖・0 |
名前: 暗沌子 ¦ 20:20, Saturday, Sep 20, 2008 ×
復讐に手間を掛ける人たちの方が怖かったりしますね。もっとネチネチいじめても良かったかも。
【アイデア】+1 【描写力】0 【構成力】0 【恐怖度】+1
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名前: 猫塚イスマ ¦ 18:57, Thursday, Sep 25, 2008 ×
アイデアー1 構成ー1 最初のエピソードはオチが読めてしまう。 最後もただ遺伝元と繋げただけになってしまっている。 |
名前: 戯作三昧 ¦ 21:27, Monday, Oct 13, 2008 ×
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