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互いの言いぶん

Subject: もうやめてくれ
Date: Tue, 21 Aug 2008 20:23
To: ミキ


ミキ、君と会ってから毎晩悪い夢を見るようになってね、夜中に目が覚めてしまうんだ。毎晩同じ夢を見るんだよ。ミキ、君が出てくるんだよ。

 僕はとある家の仏間に座っている。大きな仏壇に向かって正座しているんだ。現実の世界では見た事も行った事も無い家なんだけれど、夢の中の僕はミキの実家だと認識している。
 その仏間はやけに静かで、暗くて部屋の隅の暗がりに何かが潜んでいるような気配がする。僕をいろんな角度から、誰かが見ている気がするんだ。部屋の四隅、天井の角、箪笥と壁の隙間……。僕は得体の知れない恐怖に怯え、耐える事しか出来ないんだ。なぜか頭の中から「逃げる」という言葉、行為が欠落しているんだよ。だから僕はそこに座っている事しか出来ない。
 目の前の仏壇で線香が2本、煙を上げている。僕は仏壇の線香から立ち昇る煙をじっと見つめ続ける。部屋に充満する気配から意識を逸らせる為に集中しているんだ。僕の視界には線香しか映っていない。僕は線香が燃え尽きるまで、じっとしているんだ。
 線香が燃え尽きるのと同時に、突然仏間から光が無くなり暗闇になる。目の前の仏壇や、自分の身体さえ見えない程の暗闇だよ。でも僕は声もたてずにただ、じっとしている。頭の中は恐怖で一杯なのに。
そこで妙な音が聞こえてくる。何かが畳の上をザリザリと擦る様な音。

ザリ…ザリ……ザリザリ……ザリ…

音は僕の左側から背後を通り、右側へと移動している。

ザリザリ…ザッ……ザリ…ザリ……ザリザリザリザリッ……ザリ…ザリ……

音は速くなったり遅くなったりしながら僕の背後を右へ左へと動き回っていたが、ふいに気配を消した。僕は背中に意識を集中して、気配を探る。
 暫くの間探ってみたが、もうどこにもそれらしい気配を感じなくなった。僕は詰めていた息を一気に吐き出す。恐怖から解放された安心感からね。

 でも、これで終りでは無いんだ。

 僕は、一度姿勢を正そうと身体を動かそうとするが、動かない。頭の中では身体は動いているのに、実際は動いていないんだ。僕は体が熱くなるのを感じる。
と同時に、僕の真上に強い気配が現れる。何とも形容し難い、嫌ぁな気配。頭の先がモヤモヤと、痒くは無いのだけど無性に掻きむしりたくなる様な、本当に嫌ぁな気配なんだ。
すると、僕の意識とは関係無く勝手に顔が上を向いて行く。ゆっくりと。
 だんだん、暗闇の中に蒼白いモノが見えてくる。
 ゆっくりと、ゆっくりと。
 蒼白いモノの全貌が見えた時、僕は愕然とするんだ。天井と思しき場所に、ミキ、君が四つん這いになって張り付いているんだよ。僕から見ると逆さまにね。
暗闇の中、天井はおろか、僕自身の身体さえ見えないのに、ミキの姿だけが浮き上っているんだよ。しかも蒼白く光っているのに、その光を受けている物は何も無いんだ。ミキの姿だけが光っているんだ。
僕を見下ろしているミキはとても恐ろしい顔をしていてね、ミキからは見上げている格好なんだけど、白目を剥いて嬉しそうにニヤついているんだ。本当に、いやらしい笑顔を浮かべて僕を見ている。
 僕は顔を背けたいんだけど、身体に上手く力が入らないんだ。まるで首を動かす為の力の入れ方を忘れてしまった様な感じなんだよ。
 正座をした体勢のまま真上を向いていると、喉が突っ張って口を閉じているのが辛くなってくる。呼吸もしづらくなってきてね、その内僕は口を大きく開けてしまうんだ。
 ミキは僕の口が開くのを待っていたかの様に、自分も大きく口を開ける。白目を剥いたまま、大きく口を開いたミキの顔は本当に不気味で、あれ以上人間の顔を恐ろしいと思う事なんて無いだろうと思うよ。
 そして、大きく開かれたミキの口の中から「カッ!カハッ!」という音と共に何かが出てきている。それは長い紐で、途中にいくつも、ヒラヒラとした羽の様な物が生えている。
 それは徐々に徐々に僕目掛けて伸びて来るんだ。近くなるにつれて、その紐が何なのかが解ってくる。
 蔦さ。
 蔦が、ミキの口の中から生えてきているんだ。ミキの唾液に濡れて、ヌメヌメと蒼白く汚らしい光を帯びている。蔦の先から時折、ミキの唾液が僕の口の中に落ちてくる。気持ち悪くてたまらないよ。それでも僕は1mmだって顔を背けたり、口を閉じたり出来ないんだ。
 蔦は伸び続けて、やがて僕の口に進入してきた。僕は、ミキの唾液で臭くてヌルヌルしたその蔦を飲み込んでいく。僕の意思じゃ無い。飲まされているんだ。臭くてたまらないんだ。
 蔦はミキの口からどんどん生えてくる。僕はそれを全て飲み込んでいく。吐き出したくても、吐き出す事が出来ない。吐き出す方法が解らない。その時の僕は、飲み込む方法しか知らないんだ。嗚咽を漏らしながら、僕は蔦を飲み込み続けるしかないんだ。
 自分でも信じられない位、大量の蔦を飲み込んでいると思う。腹がパンパンに膨れ上がってしまった。もう限界だ。これ以上蔦を飲み込み続けたら僕は破裂してしまう。そう思った時、一瞬、蔦の動きが止まる。
 涙でぼやけた目で蔦の先を見ていると、また蔦が動き出す。でもさっきまでとは違うんだ。蔦の動きに合わせて、少しづつミキの身体が下がって来ているんだ。少しづつ、少しづつ、まるでミキの身体が天井で立ち上がる様な感じで伸びて来る。少しづつ、少しづつ。
ミキが中腰になった頃にやっと解るんだ。この蔦の先端がミキの舌に繋がっている事が。
いや、繋がっているというより、舌そのものの様だった。
やがてミキが完全に立ち上がった時、ミキの恐ろしい顔は僕の目の前に迫っている。
「カッ…ケッ……」と、喉を鳴らしながら、白目のまま僕の目の前にぶら下がっているんだ。
だけどミキの動きは止まらない。そのまま下がり続けて……ミキの唇が僕の唇をねぶり……、そして、そのまま下がり続けて……ミキの頭がどんどん細くなって……僕の口の中に、僕の身体の中に、僕の中に……。

毎回ここで、目が覚める。
僕はこんな夢を毎晩見ているんだ。目を覚ました時、暗い部屋の中にはミキの気配が満ちている。僕が寝ている間、ミキが僕に何かしているとしか考えられない。人影を見た事だってあるし、カーテンが揺れていた事だってあるんだ。

もう嫌なんだ。もう僕はこれ以上耐えられそうもない。頭がおかしくなってしまいそうなんだ。お願いだ。もうこれ以上僕に付き纏うのはやめてくれよ。

 お願いします。

 草野和哉




Subject: Re:もうやめてくれ
Date: Tue, 21 Aug 2008 20:28
To: ミキ

どうしたの?どうしてそんな事言うの?
私達うまくやれるでしょ?
ずっと幸せに過ごせる様に、毎晩カズヤ君にキスのお呪いしてるんだよ?
でも、やっぱりバレちゃったんだね。
このお呪い、ホントはバレちゃったら効果が無くなっちゃうらしいんだけどね。


でも大丈夫。私達、きっとうまくやって行ける。
ずっと幸せでいられるはず。

だって、カズヤ君の事すっごく愛してるんだもん。

ずっと一緒だよ。

愛するカズヤ君へ
幹雄より




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受信: 16:20, Tuesday, Nov 18, 2008

■講評

 そういうオチかい。^^;;;

 とりあえず前半の描写を読み続けるのがつらい。
 キチンと読んでもらうのは難しいでしょう。
 ネタが1つなんでこういうのは短く書くしかないですね。

【アイデア】+1 【描写力】 0 【構成力】 0 【恐怖度】 0

名前: ユージーン ¦ 19:42, Thursday, Aug 28, 2008 ×


う、そう来たか…。
読み終えた後にさらに気持ちの悪くなる、後味の悪い話ですね。ええ。
和哉も、“ミキ”と呼ぶ辺り、まんざらでもないような気が…。
これって、メールですよね?
メールの割りに、ちょっと内容が演出過多、説明過多のように思います。
この辺、もう少し簡潔にそれっぽくまとめていれば、読み易かったかなぁと思います。

【アイデア】+1 【描写力】 0 【構成力】 0 【恐怖度】+1

名前: PM ¦ 20:24, Thursday, Aug 28, 2008 ×


-長所-
・相手をミキと書いているところが、いい感じに読者を騙している。

-短所-
・和哉のメールは文章量が多くて描写も細かいのだが、前半で延々と続く和哉のメールに対してのオチが、夢の種明かしとミキの正体をばらす為の一捻りしかなく、長い割には作品の仕掛けが小さいように思う。
・メインのオチと思われるミキの正体に対して、もう一つのオチであるミキの呪いについては、夢の描写に仏間のシーンを入れた為に、ミキの呪いが中途半端な印象を受ける。「カズヤ君の事すっごく愛してるんだもん」に繋がる強烈な内容であれば、ミキの思いの異様さが増して良かったのでは。
・こういう付き合いのメールであれば、カズ、ミキのように互いに名前を明かさないままで書くのでは、という気もする。もっとカズヤとミキの関係にも触れてあれば、更なるドロドロ愛憎劇が期待できたかもと思う。

【アイデア】0、【描写力】0、【構成力】0、【恐怖度】-1

名前: 廻転寿司 ¦ 23:04, Thursday, Aug 28, 2008 ×


すいません。大変読みづらかったです。前半の描写の長さは恐怖を伝えようとして書かれた事は解りますが、ここまでは必要無いように思います。整理するとすっきりして読みやすくなりますよ。オチがオチなだけにテンポよくさっくりと仕上げたほうが、そうきたか!と読者を上手く裏切れたと思います。

【アイデア】+1、【描写力】-1、【構成力】-1、【恐怖度】0

名前: 茶毛 ¦ 01:54, Friday, Aug 29, 2008 ×


長いし読みづらい、文体を統一して。不快感と恐怖感は違うと思うのだが・・・。現代風な小道具が逆に作用してしまったか。ごめんね久々に不愉快です。

【アイデア】-1、【描写力】-1、【構成力】-1、【恐怖度】-1

名前: 尚休 ¦ 22:00, Friday, Aug 29, 2008 ×


メールの書き出しは結構いいアイデアで期待したのだが・・・
メールの割にはいかにも作り物っぽい感じが強い。
演出過多。

【アイデア】+2、【描写力】-1、【構成力】0、【恐怖度】0

名前: 華鹿 ¦ 03:38, Saturday, Aug 30, 2008 ×


アイデア +1
描写力 +1
構成力 ±0
恐怖度 ±0

古代ギリシャでは至高の愛とされた事ですからねえ、男同士の愛。個人の嗜好の問題ですので愛の形式についてはとやかくは申しませんですよ、ハイ。
この作品がメール形式でなくてはならない必然性はないと思う。

名前: くりちゃん ¦ 22:27, Saturday, Aug 30, 2008 ×


いい年した男が友人の事をミキと呼ぶことに
気持ち悪さを感じたのは私だけでしょうか。
裏切られたと言うよりは
「お前もホモかい!」
と突っ込みたくなっただけで、
読み疲れた…。

名前: ちゅん ¦ 15:10, Thursday, Sep 04, 2008 ×


メール形式に最初は期待したものの、表現方法や長さが逆に徒と
なってしまった気がします。しかもこのオチが使いたいが為の展開
だったとすれば、更に評価が下がるところです。

【アイデア】±0 【描写力】−1 【構成力】±0 【恐怖度】0

名前: 蓮 ¦ 15:21, Sunday, Sep 14, 2008 ×


メールを模った作品にしたいのであれば、一度自分自身に送ってみるのが一番です。
こんな長文のメール、最後まで読むかどうか知れたもんじゃありません。
オチもありきたりです。

発想・−1 文章・−1 構成・−1 恐怖・0

名前: 暗沌子 ¦ 01:45, Tuesday, Sep 23, 2008 ×


オチの気色悪さが格別です。

メールが長いよ。


【アイデア】+1 【描写力】0 【構成力】0 【恐怖度】+1

名前: 猫塚イスマ ¦ 01:17, Friday, Sep 26, 2008 ×


アイデア+1 描写+1 恐怖+1
ミキ怖えー。キモい。しかも男。
緊張感のある描写で恐怖が伝わってくる。読みづらさは感じなかった。
メールでのやり取りという設定にするなら、短いやり取りを何度もする、不自然な擬音を省く等した方が良かったか。

名前: 戯作三昧 ¦ 04:47, Wednesday, Oct 15, 2008 ×


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