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希少価値
 その時の私は自暴自棄になっていた。
何もかも上手く行かず、やる事なす事が全て裏目に出るような毎日だった。
(死んでしまおうか…)
そう考えていた。
一度そう思ってしまうと、『生きる』という考えは既に私の頭の中には存在しない言葉になっていた。

 覚悟を決めてある場所へと向かう。
隣町にある自殺の名所とされていた樹海だった。
存在は知っていたが、自殺の名所と言われているのを知ったのはごく最近、本で知った。
その樹海は訪れた人を触手で襲い、快楽を与えた末にその肉体を貪り食うという。
嘘か本当かは分からないが、誰にも相手にされなくなった今の自分には、触手に襲われながら殺されるというのも良いかもしれない。まして気持ち良く死ねるのなら願ってもない事だ。

 念入りに化粧をし、服も買ったばかりの一番のお気に入りを着ていった。
樹海の場所はすぐに分かった。
一呼吸し森の中に入ろうとすると、管理人らしき人が近くの小屋から覗いているのが見えた。だが何か言ってくる風でも無く、ただ舐めまわすように私の身体をジッと見ていた。
その視線を背にし、私は森の中へと深く入っていった。

 30分程歩いたであろうか。
いつの間にか、降りだした小雨とともに深い霧に覆われていた。そういえば、辺りの木々の様子もさっきとは何だか違う気がする。異常な程の静寂の中、私は確信めいたものを感じた。
(…来る…)
 その時、突然、私の身体に無数の枝が巻きつき衣服をビリビリと引き裂いた。
(あぁ、新しい下着をはいてきて良かった…)
ぼんやりとした意識で私はそんな事を考えていた。
枝は、すでに裸同然の姿になった私を弄ぶかのようにしつこい位あちこちを嬲り、高く持ち上げた。
(なんか…気持ちいい…このまま死ねれば幸せかも)


 そう思った途端、いきなり地面に強い力で叩きつけられた。
余りの痛みと驚きの為、動く事の出来なかった私に更に追い討ちをかけるかの如く、一本の枝が目の前にスーッと伸びてきて私の頬に思いっきりビシッバシッと往復ビンタをかましてきた。
(何?なんなの?)
呆然とする私を置いて、枝はヒュルヒュルと元に戻っていくと、あっという間に辺りは見慣れた景色になり、霧もすっかりはれてしまった。
気付くと、私の周囲は木の一本どころか、雑草さえも逃げるようにいなくなり、ただ地面の土のみがあらわになっていた。

 訳がわからず、しばらくその場にへたり込んでいたが、いつまでもこうしてはいられない。
まずは管理人のいた小屋を目指してとぼとぼと歩いた。
裸同然で戻って来た私を見た管理人は、驚いて小屋から飛び出してきた。そして開口一番こう言った。
「あんた、食われなかったのかい!?」
コクンと頷いた私に更に畳み掛けるように言った。
「…いるんだよねぇ。何年かにいっぺんは。何故か無事に戻ってきちゃう人が…」
管理人は私をまじまじと見ると、ハーッと溜息をついて小屋に戻っていった。

 どうやら私は、お気に召してもらえなかったようだ。



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受信: 17:41, Monday, Nov 24, 2008

■講評

アイデア +1
描写力 +1
構成力 ±0
恐怖度 ±0

読みやすい文章だが、素っ気なく感じる。もう少し膨らませて枝葉をつけた方が感情移入しやすくなるのではないだろうか。
題名で何となく先が読めてしまった。残念。
恐ろしい樹海に食べられない人もいるというのは面白い発想だと思う。


名前: くりちゃん ¦ 07:16, Tuesday, Sep 02, 2008 ×


語りだけだと男性かと思ってしまった。
ちょっと弱いかな。

【アイデア】0、【描写力】0、【構成力】0、【恐怖度】0

名前: 尚休 ¦ 18:12, Tuesday, Sep 02, 2008 ×


 死神にも無視されるって悲しいねえ。
 って言いながら笑っちゃったんだけど(笑)。


【アイデア】+1 【描写力】 0 【構成力】 0 【恐怖度】 0

名前: ユージーン ¦ 19:52, Tuesday, Sep 02, 2008 ×


読みやすくはあったと思います。
食われなかった理由が気になりますね。
それよりも裸のまま管理人にもほっとかれた主人公の今後が気になりますね。

【アイデア】 0 【描写力】+1 【構成力】 0 【恐怖度】 0

名前: PM ¦ 20:20, Tuesday, Sep 02, 2008 ×


-長所-
・語り手の性別が男か女か定かでないのだが、それを計算に入れた上で(実は女ではなかった)の設定だと考えて樹海に拒まれた、と読むなら、この作品は面白い。

-短所-
・上記の理由であればこの作品は面白いのだが、作中にそれを感じさせる要素が強く出ていないために、単純に樹海に拒まれたとしか読めない。唯一そのオチを思わせるのが終盤の「管理人は私をまじまじと見ると」に含まれているように思うのだが、ぼかしすぎてこのオチへ誘導できなかったのでは、とも思う。

【アイデア】0、【描写力】0、【構成力】0、【恐怖度】0

名前: 廻転寿司 ¦ 21:35, Tuesday, Sep 02, 2008 ×


女?の人の容姿に一切触れずに書かれている作品ですね。淡々と進み、ビンタまでされた挙句気に入られないなんて。管理人のハーッもいい味出しています。内容は小粒なんですが、気に入られない者もいるという発想と主人公が曖昧なので色々と想像できる面白さがあると思います。個人的には厚化粧のオカマさんでイメージしていました(笑)

【アイデア】+1、【描写力】+1、【構成力】0、【恐怖度】0

名前: 茶毛 ¦ 00:23, Wednesday, Sep 03, 2008 ×


オチは結構好きです。
人が死のうと思う、そこまで追い込まれる状況をもっと詳しく書いたほうがよかったかも。
少しコンパクトにまとまり過ぎかと思います。

【アイデア】+1 【描写力】 0 【構成力】 0 【恐怖度】 0

名前: 華鹿 ¦ 21:47, Saturday, Sep 06, 2008 ×


何故お気に召さなかったのか、
想像することさえ出来ない情報の少なさが、
決定的に致命的です。
わけわからんわ!もう!というむちゃくちゃさも
ない丁寧な文章だけにそこが目立ってしまって
いるような…。
文章に一点。

名前: ちゅん ¦ 22:19, Monday, Sep 08, 2008 ×


往復ビンタをかまされる所がいいですね。どうせなら服を引き裂く前にしてくれれば。
拒否られた理由も明らかにされない所もいいと思います。

【アイデア】1【描写力】0【構成力】1【恐怖度】0

名前: 蓮 ¦ 16:59, Monday, Sep 22, 2008 ×


確かに希少ですが、価値があるかどうか(笑)

男女をハッキリさせた方が良いのかな?
うーん…

発想・1 文章・0 構成・0 恐怖・0

名前: 暗沌子 ¦ 18:22, Tuesday, Sep 23, 2008 ×


舞台が面白いですね。展開も予想を超えているというかなんと言うか。


【アイデア】+1 【描写力】+1 【構成力】0 【恐怖度】0

名前: 猫塚イスマ ¦ 23:09, Friday, Sep 26, 2008 ×


アイデアー1 描写ー1 構成ー1
岩だらけの樹海で地面に叩きつけられれば、手足の一本くらい折れていてもおかしくはないと思われる。少なくとも無傷では済まないだろう。
とはいえ面白ければ良い。が、不備な点を吹き飛ばすだけの魅力は無い。
(あぁ、新しい下着をはいてきて良かった…)というジョークも完全にスベッてしまっている。

名前: 戯作三昧 ¦ 11:00, Friday, Oct 17, 2008 ×


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