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高校からの友人の翼がいきなり訪ねてきた。 「久しぶり。どう最近は?」 車で十五分程の所に住んでいるのだが、社会人になってからはお互いに忙しい日々を過ごしていたので、今では年に数回しか会わなくなっていた。 「今日来たのは、これこれ。はい、いやげ物」 何ともいえない笑顔で俺に手渡す。安っぽい包装紙で包まれた箱状の物は、結構な重さがあった。 いやげ物とは相手が嫌がる御土産の事だ。どこかに旅行に行った際にはいやげ物を買ってきてプレゼントをし合うのが俺達二人の決まりだった。お互いに独身だった事もあり、結婚するまでは贈られたものは部屋に必ず飾るのがルールだった。 お蔭様で俺の部屋には『沖縄のペナント』『東京タワーの文鎮』『便器の形の卓上ライター』『グリップに漢と書かれたコルク栓を飛ばす玩具の鉄砲』など自分では決して買わないものが所狭しと陳列されていた。勿論、俺も似たような嫌がる物を数多くプレゼントしてきたのだが。 「早く開けてみろよ。気に入るぞ〜」 翼はニヤニヤしている。 包装を破り、箱を開けると出て来たのは三十センチ台の『木彫りの熊』だった。 「いいだろ〜。ちゃんと鮭まで咥えているんだぞ〜。あれ、お礼は?」 呆れた俺の表情を見て、喜んでいる様だ。 「はいはい。ありがとね。よくもまあ、これを買ったなあ。高かっただろう?」 「良く知ってるな。普通は六万円するところをなんと、驚きの三万円です。私、わざわざ直売所で買って参りました」 (アホだ、コイツ。直売所があるのも驚きだけど、いやげ物如きに三万円もかけるコイツの神経に呆れるよ、全く) 「オッケ〜。驚く顔を見れたので私、大満足であります。という事で帰ります。それでは次回にも乞う御期待を」それだけ言うとサッサと帰っていってしまった。 (はあ〜。また邪魔な物が一つ増えたよ。場所を取らない物にしろよな) とりあえず、過去最高値のいやげ物は玄関の靴箱の上に飾る事にした。 次の日、出社しようとした時に異変に気付いた。 木彫りの熊の周りに小さい木片が散らばっている。よく見ると鮭が無くなり熊が大きく口を開けている。 (えっ、熊が鮭を食ったの?そんな馬鹿な) 遅刻しそうだった事もあり、そのままの状態で出社した。 仕事中も頭からその事が離れない。 (何か仕掛けがあるのでは…そうだ、翼はやけにニヤニヤしていた。帰ったら調べてみよう) 終業の時間をむかえるとそそくさと家に帰った。 アパートのドアを開けて驚いた。 あの熊が居ない。と同時に靴箱が無くなっている。靴が玄関に散乱し、小さい木片も散らばっている。 (泥棒?いや、靴箱を持って行く泥棒がいる訳が無い) 玄関先で暫し考えた。 動くのが危険なように感じられたからだ。 バキッ、バキバキッ… 居間から音がする。手にしている鞄を盾代わりにして、そーっと室内を覗いた。 いた。あの熊が。 フローリングの床を爪で剥ぎ取りながらバリボリと噛み砕いている。大きさも一メートル位になっていた。 (冗談じゃねえ。部屋はメチャメチャになってるし、あの熊どうしろって。勝てるわけねえ) そんな事を考えているうちに熊に気付かれた。 ゆっくりと狙いを定めて近付いてくる。目の前まで来ると前足を上げて立ち上がった。 (で、でけえ!やられる!) 目をギュッと閉じて、全身に力が入った瞬間 タァーンッ… 乾いた音が部屋中に響き渡った。 ゆっくりと目を開けると、目の前には木彫りの熊が横たわっていた。 眉間には一つの小さな穴が開いていた。 (助かったぁ〜) へたり込む俺のすぐ横にはコルク栓を飛ばす玩具の鉄砲が落ちていた。 翌日、リフォーム会社に連絡を取り、フローリングの張り替えと靴箱を作ってもらった。管理会社には理由など言えるはずもないし、内緒の作業だった。 日数にして三日間。金額は三十五万円もかかった。痛い出費だった。 木彫りの熊は業者の方でバラバラに壊してもらい、廃材と一緒に処分してもらった。 玩具の鉄砲は毎日、磨き上げている。理由は解らないが俺の命を救ってくれた大事な品だ。一生、大事にしていこうと思う。 玩具の鉄砲を磨きながら考えていた。 もう少ししたら有休を使い、旅行に出ようと。 バリ島、インドネシアなどいいなぁと思っている。 まだ、あちらでは呪術が盛んらしいし。 今回の件は翼には勿論話していない。アイツが意図して行なった事なのか、今となってはどうでもいいことだ。 俺が本当のいやげ物をプレゼントしてやる。金に糸目はつけない。 俺以上の恐怖と苦痛を…アイツに…
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» 【0】心のこもったプレゼント [遺伝記澱奇から] × いまいち。「いやげ物」は面白いけど、翼君にそこまでの悪意はないと思う。だとすると、高校からのいやげ物友達、つまり「いやとも」である翼君に、自分以上の恐怖と苦痛を与えてやるためなら金に糸目をつけない、というところまで怒りの気持ちが盛り上がる.... ... 続きを読む
受信: 23:19, Wednesday, Sep 03, 2008
» 【+1】心のこもったプレゼント [せんべい猫のユグドラジルから] × 熊こええwいやげ物の応酬が暴走して、殺意とは若干違う悪意に変貌したのかなぁ。題名はそのものずばり「いやげ物」の方が良かったかも。... ... 続きを読む
受信: 20:36, Thursday, Sep 04, 2008
» 【+3】心のこもったプレゼント [I'd like to tell you something about ...から] × 破天荒な展開で面白かった。 >玩具の鉄砲を磨きながら考えていた。 命の恩人がコルク銃というのが、個人的にツボでした。それを磨い�... ... 続きを読む
受信: 22:13, Wednesday, Sep 24, 2008
» 【+1】心のこもったプレゼント [薩摩乃塩ぶろぐ/2008から] × 悪ふざけがエスカレートして意地になっていく、という感じだろうか。いやげ物の発想は面白い。もうどうせなら、徹底的にやりあったらいいんではなかろうか。思い切りエスカレートさせてぶっ飛んでしまうのも手かも知れない。展開次第で如何様にも転がせられるので楽しみな ... 続きを読む
受信: 19:19, Thursday, Sep 25, 2008
» 心のこもったプレゼント [恐怖の脳みそ(改)から] × 「いやげ物」というアイデアも面白いし、全体のテンポも良いのだが。暴れる木熊が登場したあたりで、作者がお馬鹿な展開にするかどうかで迷ってしまったような印象を受けた。オチで友人への復讐を誓う描写にも、いささか説得力が足りない。心のこもったプレゼントアイデ .. ... 続きを読む
受信: 16:09, Tuesday, Nov 25, 2008
■講評
アイデア +1 描写力 +1 構成力 +1 恐怖度 ±0
熊の彫り物に用いた木の来歴が気になるところです。 最後は仕返しのようなことを考えていますが、貰ったおもちゃの「銃」で救われたんだからそんなに悪意は無かったと思いましたが。 善意の贈り物だったら気の毒ですけど、人の心の闇は深いので知らないうちに恨みを買うような出来事があったのかも。
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名前: くりちゃん ¦ 18:27, Wednesday, Sep 03, 2008 ×
いやげ物は嫌だねえ。笑ったけど。
全体的に何もかもが理不尽で意味不明。 それゆえにさらっと流れて印象に残らない感じですかね。 どこかで上手く伏線が張れると良かったんですが。
【アイデア】+1 【描写力】 0 【構成力】 0 【恐怖度】 0 |
名前: ユージーン ¦ 19:58, Wednesday, Sep 03, 2008 ×
ちょっと笑えましたが、なんか惜しい気がします。 なんか色々出てきてるのに、それを上手くまとめきれなかった感がありますね。 どうせならこう、玩具の鉄砲以外にもこう、みんなで協力して熊を退治するみたいな感じでも良かったかなぁという気もします。 …いや、これもどこかで聞いた展開ですね…。…あ、さるかにg
【アイデア】+1 【描写力】 0 【構成力】 0 【恐怖度】 0
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名前: PM ¦ 20:13, Wednesday, Sep 03, 2008 ×
-長所- ・いやげ物のディティールの細かさが良く出ている。また、主人公の動作や心理も自然で読みやすい。
-短所- ・変なおみやげをもらったリベンジのみが話の軸になっているために作品が盛り上がらない。この作品を通して何を伝えたいのかを意識して作品を設計するようにした方が、話の軸が太く定まるのではと思う。文章自体は読みやすくて芸も細かいので、ネタ次第でもっと良い物が書けるのでは。
【アイデア】-1、【描写力】0、【構成力】0、【恐怖度】-1 |
名前: 廻転寿司 ¦ 22:13, Wednesday, Sep 03, 2008 ×
うーん。いやげ物ですか。発想と登場するアイテムは面白いと思います。ただ、ストレートに書きすぎた感が。恨みを持つ過程の話や、お互いの家で巻き起こるいやげ物のバトルなどを描かれても良かったような。発想が良かっただけに残念。
【アイデア】+1、【描写力】0、【構成力】0、【恐怖度】0 |
名前: 茶毛 ¦ 00:49, Thursday, Sep 04, 2008 ×
面白くて笑ってしまいました。最後までばかばかしさがあれば・・・。
【アイデア】0、【描写力】0、【構成力】0、【恐怖度】0
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名前: 尚休 ¦ 16:10, Friday, Sep 05, 2008 ×
いやげ物はおもしろいけど、 悪意のなさそうな友人に、 金に糸目をつけない嫌がらせは、しない。 最後が全く理屈に合わなかったので、 全てが台無しになった気が…。 発想に1点。 |
名前: ちゅん ¦ 22:36, Monday, Sep 08, 2008 ×
玩具の鉄砲で助かるところは少し強引で苦しい。 お互いにこんなことをし合っている仲って、友人ではないだろうと思うと可笑しかった。
【アイデア】+1 【描写力】 0 【構成力】 +1 【恐怖度】 0 |
名前: 華鹿 ¦ 13:08, Wednesday, Sep 10, 2008 ×
木彫りの熊にコルク弾はちょっと無理があるかなぁ; 熊が大暴れしている所が何となくかわいくもあるのですが、最後はブラックに終わっているのでその差がまた微妙。それまでの雰囲気がオチに反映されなかったのがちょっと残念でした。
【アイデア】±0【描写力】0【構成力】0【恐怖度】0 |
名前: 蓮 ¦ 16:07, Monday, Sep 22, 2008 ×
発想は素晴らしい。もう少し広げても良かったと思います。 今までのいやげ物を総動員する闘いに発展させるとか…
発想・1 文章・1 構成・−1 恐怖・0 |
名前: 暗沌子 ¦ 19:15, Tuesday, Sep 23, 2008 ×
木彫りの熊がこんなに凶暴だったら怖いですね。
エスカレートするいやげ物合戦が見たかったかも。
【アイデア】+1 【描写力】+1 【構成力】0 【恐怖度】0
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名前: 猫塚イスマ ¦ 23:55, Friday, Sep 26, 2008 ×
アイデア+1 いやげ物とは面白い。 玩具の鉄砲でクマを撃退するというのも意外性があって良かった。 ただこの作品の場合、変に恐怖オチに持って行くより、いやげ物のくだらない面白さをもっと前面に押し出していっても良かったのでは? |
名前: 戯作三昧 ¦ 17:54, Friday, Oct 17, 2008 ×
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