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 手束第二小学校女子サッカー部のツートップ、TとKは二人とも小柄だったが、抜群のコンビネーションを誇っていた。一方がドリブルをすれば、他方はスペースに走りこむ。阿吽の呼吸でパスを通し、得点の山を築く。
 かと思えば、足を骨折した時も、仲良く左右の脛に罅を入れて松葉杖をついて二人三脚で歩いていた。
 ある日練習を終え、チームメイトと別れて一緒に帰った二人は、それきり家に帰らなかった。
 心当たりを探し電話をかけ回り、学校とも相談し、夜遅くなって、二人の家族はようやく警察に捜索願を出した。

 新田長市は別の小学校の近くで喫茶店を経営していたが、ボランティアで参加した近隣の小学校が集まるサッカー大会で、たまたま二人の試合の審判を勤めて、一目で二人の足に惚れた。ちょこまか走り、ぴょんぴょん跳ね、ボールに吸いつき、戯れる、しなやかで敏捷な二人の足に魅了され、どうしても自分のものにしたくなったのである。
 長市はその日、「ちょっと出かけてくる」とだけ言って、妻に店を任せ、行き先も告げずにステップワゴンに乗って出かけた。山道で車を止めて待ち伏せた。
 TとKの二人がひそかに背を伸ばそうと、練習帰りに毎日牛乳を飲みに山の小さな牧場に寄り道することも調べてあった。
 人通りは極端に少ない。長市は用意していたスタンガンで二人を眠らせると、車に積んで隠れ家に運んだ。
 あらかじめ見つけておいた場所は、近くの神社の裏にある祠から行ける洞窟だった。
 そこは少し変わった神社で、狛犬ではなく対の丸石が鳥居を護っていた。年に一度のお祭りの時期以外は全くと言っていいほど人の姿は見かけない。宮司は常駐しておらず、草刈りなどの手入れも疎かになっていたから、思うさま枝を伸ばしたイチョウやクスノキの大木に隠れ、まわりには雑草が生い茂り、小さな祠はさらに見つけにくい。祠は洞窟の入り口を隠すように建っていた。
 長市は神社のわき道をずっと登って車を林の中に隠し、TとKを一人ずつ担いで洞窟に運んだ。
 林の入り口に立って振り返ると、鬱蒼とした木々の闇に隠れて車は見えず、枯葉の寝床にかすかに轍が残っただけだ。

 洞窟の内部は結構広い。鑿の跡の残る通路をしばらく進むと、昔は儀式の折にでも使っていたものか、床と壁に板を張った謎めいた小部屋に行き着いた。
 長市はランタンを灯すと、投げ出されたかっこうのままぐったりと動かない獲物にまだ息があるのを確かめた。
 神社の祭具などの保管所として使われていたのかもしれない。部屋には何に使うのだかわからない道具が布で巻かれ、雑然と積んである。その中から長市が選んだのは大きさは全然違うが一種の擬牝台、種牛の精子を採取する時に使う張子の牝牛の模型のような器具だった。
 木製の骨組みに革を張った古いもので、模型だけに小学生を縛り付けると、ちょうどうまい具合に牝牛が交尾する体勢に固定できた。
 TとKはジャージもお揃い。シューズのサイズも同じなので赤と白の色違いを左右とりかえっこして履いていた。
 長市は靴を履かせたまま、二人を脛から先だけ動くように台に縛りつけると、気付けにアンモニアを嗅がせて目を覚まさせ、
「いいか、これからゲ−ムをする。助かりたかったらおとなしく言うことを聞け」
 と寝たふりをして、目を閉じたままの二人に向かって告げた。
「はじめるぞ。そら、赤上げて、白上げないで赤下げない」
「どうした? やらないか。返事をしなきゃただじゃすまんぞ」
「言われた方の足を上げるんだよ」
「そうだ。ほら。赤上げて」
「反対だ! お前らのシューズは左右逆だろ」
「小賢しい足め。手で旗を上げるより得意ってことか」
「白上げて、赤上げて、白下げないで赤下げない」
 ふくらはぎの筋肉がひきつって、痙攣が目に見えるまで。
 長市は何度もくりかえし、負けた方の服を鋏でジョキジョキ切り裂いて、じっくりと嬲りながら二人を裸にしていった。全裸にしてもシューズだけは脱がさない。
 TとKは荒い息をつくのがやっとで、悲鳴をあげる元気もなかった。
 長市がふくらはぎにそっと手を添わせると、Tはびっくりして尻を閉じ、背をそらし、身を硬くして、ゲボゲボとミルクを嘔吐した。
「いやっー」Kが泣いた。
「うるさい」
 わき腹にタバコの火を押し付けると、
「ぎゃぁあーーあああーーーっ」
 縄をねじきるばかり。Kはとんでもない悲鳴をあげる。失禁した。小便は断続して飛沫をあげ、脚をつたって流れ、震えながら、止まった。
「ああ。びしょびしょだ」
 性器に人差し指を突っ込んで、
「どうれ」
 さすがに、きつくて全部入らない。
「こっちはどうかな」
 指がズブズブとめり込んで、処女膜で止まった。
「うわぁ、小便くせえ。って当たり前か。お前はいい母親になるよ。腰つきも安産型だしな。こっちはいい売女になる素質がある。男からさんざん搾り取れそうだ。まあ、売女だろうと、母親だろうと、お前らが大人になることは絶対ないけどな」
 長市は立ち上がって言った。
「さあ、遊びはこれくらいにして、足が元気なうちに、本番といこうか。

 拘束されたTとKは靴を履いている以外は全裸だった。
 長市は美しい脚を惜しむように、臀部から太腿を撫でさすり、唇を押しつけ、舌で舐め、膝をつかみ持ち上げたふくらはぎを堪能し、最後の最後にシューズを脱がし、衣服の残骸とは一緒にせずに長持の中に放り込んだ。
 別れの口づけを一つして、鋸の刃を足首に当てた。
 刃が皮膚に食い込む寸前の冷たい感触に、
「い、あ、あああっ」
 少女が涎を垂らし、悲鳴をあげる。
 長市が鋸を一気に引くと、バチン、と激しい音を立てて腱が切れ、ビューと噴き出した血が小部屋の天井までとどいた。
 刃は骨に当たり、関節に食い込んで、いったん止まる。
「いたい」「いだ」「たい」「いちゃい」悲鳴だか言葉だかわからない連続する金切り声が耳障りだ。
 ねっとりとした軟骨をかきわけて、隙間を広げ、刃が自由に動ける余地を作ると、いくぶん鋸は引きやすくなる。
 ストン、と切り落とした。
 鼓膜が破れそうな悲鳴はすぐに消える。
 Kは失神したのだ。
 Tは目をそむけるどころか、瞬きもしない。瞳の色は薄れていた。もう、ボールを追ってくるくると動くこともないだろう。
 両足首を切り取られても、Kはまだ生きている。ほとんど意識はないのに、突発的に足首から先のない脚をばたつかせる。死にかけた蝉のような悪あがきが面白くて、長市は大声で笑った。
 どくどくと大量の出血が床を濡らし、見る間に肌から血の気が失せて、かわりに古びた床板が真っ赤に染まる。朱塗りの板の間は神社にふさわしい。
 まさかと思ったが彼が笑ったせいだろう、Tが正気を取り戻し、天地がひっくり返ったような大声で、
「いやぁぁぁあああああああっーーー」
 と凄絶な悲鳴をあげた。
 小便と一緒にゆるみきった肛門から大量の茶色い液体が噴き出した。
「やめて、ちがうの。あたしじゃない。やだ。たすけて」
 顔に血がはねていた。
 Tはつぶらな瞳に涙をためて、ようやく搾り出したかすれた声でくりかえし訴える。
「やめて。たすけて、やめて。たすけて、やめ」
 か細い声。消え入りそうな、生きているうちから亡霊のような。
 かまわず、切断に取り掛かる。
 さっさと済ましてしまおう。

 長市はすべての作業を終えると、手水舎で体を洗い、服を着た。
「まったく静かだな。鳥の声も聞えない」
 長市は独り言を言った。
 独り言を言いたくなるほど、異様な静けさだった。
 山の緑は濃く、むくむくと湧き上がる入道雲のように社殿に迫り、血も汚物も腐りかけた肉も鬱蒼とした木々の放つ香気にまぎれ、掻き消され、完全に呑み込まれて、誰にも見つからなくなってしまうだろう、確かにそう思えたほどだ。
 長市はビニール袋に入れて二重に包んだ四つの足首を胸に抱えて、上機嫌で神社の階段を下り始めた。
 何事もなく鳥居をくぐり、丸石の前にさしかかったところで、長市は固まった。
 猿か、それくらいの大きさの、人の顔をした生き物が、石の上にうずくまって、じっと長市を見つめている。
 裸で、腰蓑をつけただけ。胸は扁平で、子供のようだが、性別まではわからない。顔は茶色い産毛で覆われている。大きな目はふくろうのように黒目がちで、まったくの無表情だ。
 なんだ、こいつは。
 気味が悪い、と長市は思う。いつだってそうだが、こんな時こんな場所では、どうあろうとも絶対に係わり合いになりたくない。
 さっさと通りすぎようとしたが、脚が前にでない。階段から手が生えて、長市の足首をつかんでいた。小さな手だが、がっちり握って離そうとしない。
 長市はそこから一歩も動けなかった。

 警察が捜索に訪れた時、神社の階段には長市の足首だけが残っていた。
 丸石は台座から転げ落ちている。
 洞窟の小部屋には少女たちの腐乱した遺体が、獣か何かに食い荒らされたように散乱していた。原形を留めたものは何一つなかった。



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どうもエログロ描写に全てを頼りすぎて、話に骨格がないように思います。発生した怪異も唐突かつ遺伝元への依存度が高く、よりまとまりのな... ... 続きを読む

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グロい部分の描写は上手いのだが、話の筋立てが不自然というか、ちゃんと練り上げる前に書いてしまった感がある。言い換えれば、グロ部分以外の描写がかなり雑に見える。ラストに現れた妖かしも、神社にまつわる話として出現前に多少は絡ませておけば、少なくとも取って .. ... 続きを読む

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後半の残虐な場面は気味の悪いほどの迫力で成功しているが、肝心の長市の心理に説得力が無い。「しなやかで敏捷な二人の足に魅了され」た事から残虐行為に辿り着くまでに、もう少し具体的な設定があれば良かった。これでは遺伝元の作品に寄りかかりすぎだろう。オチも唐 .. ... 続きを読む

受信: 23:55, Tuesday, Nov 25, 2008

■講評

アイデア ±0
描写力 +1
構成力 ±0
恐怖度 +1

ストーリーよりも痛めつける場面を書きたかったのではないか、と思えるくらい気持ちの悪い描写は凄いのですが。
少女達の呼称はイニシャルよりも和名の方が馴染みやすい。
物の怪の出現が唐突なので恐怖よりも「?」の方が勝ってしまう。

名前: くりちゃん ¦ 19:50, Wednesday, Sep 03, 2008 ×


 細かい描写に迫力がありますね。

 お話としては特にひねりもなく、最後に謎の怪物が出て終わりなので、この辺をもうちょっと膨らませるとよかったかもしれませんね。

【アイデア】 0 【描写力】+1 【構成力】 0 【恐怖度】 0

名前: ユージーン ¦ 20:13, Wednesday, Sep 03, 2008 ×


全体的に読みづらい気もしましたが、グロシーンはなんていうか見事でした。
ただ、最後に出てきた何かが前半との因果性を感じず、ちょっと唐突な感じがして戸惑ってしまいました。
どうも無理矢理展開させてしまったような印象です。

【アイデア】 0 【描写力】+1 【構成力】 0 【恐怖度】+1

名前: PM ¦ 20:26, Wednesday, Sep 03, 2008 ×


-長所-
・淡々とした語りで残虐シーンが緻密に描かれ、読んでいてぞっとさせられる。
・単に足を切り落とすだけでなく、気味悪い道具や旗揚げゲームなど、どこか洋画ホラーを思わせる仕掛けがうまく考えられている。

-短所-
・ラスト手前まではかなり期待して読み進めていたのだが、最後がありがちな終わり方になっていて残念だった。登場人物の背景にも設定がもっと練られていれば、この話をまた違った形で面白くできていたのでは、とも思う。

【アイデア】0、【描写力】1、【構成力】0、【恐怖度】0

名前: 廻転寿司 ¦ 22:36, Wednesday, Sep 03, 2008 ×


硬い文体で、物語は進んでいく。ただ、あまりにもラストの展開が話を終わらせる為に、取ってつけた感が否めません。
作品としてみると、中盤の狂気の行為を書きたかっただけのように思えて仕方がありません。申し訳ありませんが、こういう表現は私個人として、好みではありません。のでこの点数で。

【アイデア】0、【描写力】-1、【構成力】-1、【恐怖度】0

名前: 茶毛 ¦ 00:56, Thursday, Sep 04, 2008 ×


グロは嫌い。オチが唐突。纏まりが無いように感じて・・・。

【アイデア】-1、【描写力】0、【構成力】-1、【恐怖度】0

名前: 尚休 ¦ 16:20, Friday, Sep 05, 2008 ×


煽っといて煽っといて、
スコーン!の急転直下。
なんじゃそりゃ〜。
緻密な描写に迫力があっただけに、
強姦と殺人のシーンが書きたかっただけで、
書いたら後はどうでも良くなっちゃった(てへっ)
って感じがします。
拙かろうが、ぎこちなかろうが、
作品にするつもりがないのなら、
そういう夢想は、脳内だけにして欲しいです。
故に点は付けません。

名前: ちゅん ¦ 22:48, Monday, Sep 08, 2008 ×


怖いより不快。
単にグロい話を書きたかったようにしか感じない。

【アイデア】0、【描写力】-1、【構成力】-1、【恐怖度】0

名前: 華鹿 ¦ 13:12, Wednesday, Sep 10, 2008 ×


この謎の怪物はいったい…?(笑) 素朴な疑問なのですが一体何をテーマに書きたかったのでしょう。ラストがこんなにさらりでは、こだわりのグロ描写がまったく活きてこないじゃないですか。長市の葬り方もあっさりしすぎててがっかり。中途半端な描写ではなく徹底的にやってほしかったです。すんごく長くなってしまいますがこの際仕方ないでしょう。

【アイデア】±0【描写力】0【構成力】−1【恐怖度】−1

名前: 蓮 ¦ 15:58, Monday, Sep 22, 2008 ×


残念。これだけのグロ描写が可能ならば、起承転結も練り込めた筈ではないでしょうか。
怪物が出てきて終わり、では夢オチと大差ありません。

発想・−1 文章・0 構成・−1 恐怖・0

名前: 暗沌子 ¦ 19:21, Tuesday, Sep 23, 2008 ×


最後の化け物がよくわからなかった。
内容的に読むのが辛いです。


【アイデア】0 【描写力】0 【構成力】0 【恐怖度】0

名前: 猫塚イスマ ¦ 00:10, Saturday, Sep 27, 2008 ×


アイデア+1 恐怖+1
後半の凄まじい描写が、作者の人格さえも疑わせる。
旗揚げゲームはイカれたアイデアで、長市の異常性を極めて効果的に表現する事に成功している。
それだけに、エログロシーン以外の細かい描写や構成の不備が惜しまれるところ。
私もサッカーをやっていたが、脛に罅というのは余程の事である。まして小学生のサッカーであるから、捻挫くらいに留めておくべきだった。
拉致方法ももう少し練る必要があるだろう。子供とはいえ俊敏な二人を同時に拉致するにはそれなりの計画と戦略が要る筈である。
スタンガンで眠らせた、とあるが、あくまで一時的に動きを止める程度のものであるから、子供とはいえ、縛りもせずに車内に放置すればそのうち目を覚ましてしまい、逃げられてしまうかも知れない。
何より結末が問題である。
妖怪は不気味な雰囲気があって良いと思うが、長市の最後がどうにも典型的で、エログロシーンにこだわったものの、巧い結末を思いつかなかった様子である。

名前: 戯作三昧 ¦ 18:52, Friday, Oct 17, 2008 ×


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